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太田忠司 @tadashi_ohta
昨日の三次会で大矢博子さんから提示された「なぜハードポイルドというロールモデルは人気がなくなってしまったのか?」という問いかけについて朝から考えている。昨日は酔った勢いで適当に何か喋ったと思うのだけど、まだ自分の中では回答が見いだせていないのが本当のところ。
太田忠司 @tadashi_ohta
かつてはマーロウに代表される「ハードボイルドな男」というのは男子の憧れのロールモデル、つまりお手本であった。だから小説だけでなく映画でもテレビでもハードボイルドな男たちがあふれていた。それが今は絶滅してしまったかのようだ。もう、ああいうかっこ良さは受けないのか。
太田忠司 @tadashi_ohta
自分たちが求める本格ミステリが書かれなくなっていると感じたとき、当時の若者たちは自分なりに納得できる本格を書き始めた。それが新本格の始まりだった。同じようなことがハードボイルドでも起こすことができるのか。今それをやったとして、受け入れてくれる器(出版社と読者)はあるのか。
太田忠司 @tadashi_ohta
僕は自分なりのハードボイルドとして阿南や甘栗、そして女性版としての藤森涼子などを書いてきたけど、まだハードボイルドに届かないような感触が拭えない。いつかど真ん中のハードボイルドが書けるだろうか。
大矢博子 @ohyeah1101
@tadashi_ohta 私が不思議なのは、同じ頃に人気だった3Fの「男社会で自立する女性」というモデルは役割を終えたことが社会のありようから明確なのに、ハードボイルドはそういう状況の変化が見られないにもかかわらず廃れつつあるということなんです。もしくはパロディにされるという。
杉江松恋@新刊『博麗霊夢、ごめんなさい』 @from41tohomania
太田忠司さん @tadashi_ohta が書いておられる「ハードボイルドというロールモデルの衰退」問題については、10年近く前に「ユリイカ」でノワール特集号の執筆をしたときに自分と霜月蒼との間で話し合い、一応われわれなりの結論を出したことがある。答えは「形式の不徹底」だった。
杉江松恋@新刊『博麗霊夢、ごめんなさい』 @from41tohomania
つまり、「ハードボイルド」は、センチメタリズムな心情を描くのには適しているが、非情さや狂気といった日常世界からの逸脱を描くためのツールとしてはいささかエッジが鈍っているという理解であった。もし「ハードボイルド」を蘇生させるのであれば、現代なりのチューンナップが必要である。
杉江松恋@新刊『博麗霊夢、ごめんなさい』 @from41tohomania
そのチューンナップとは「よりかっこいいヒーロー」といった方向ではなく、現代を描くための「より精緻な視点」という方向に行かなければいけないのではないか、と今より10歳ばかり若かった霜月と私は話し合った。そして今必要なのは「ノワール」である、という結論に至ったのである。
杉江松恋@新刊『博麗霊夢、ごめんなさい』 @from41tohomania
くだんの「ユリイカ」特集が正統的なハードボイルド作家をも「ノワール」の書き手に含めているのはそのためである。ハードボイルド小説がこの世に出でた原点に立ち戻り「犯罪」や「狂気」といった特異点が社会に出現したとき、個人にそれが理解することが可能なのか、という小説として(続く)
杉江松恋@新刊『博麗霊夢、ごめんなさい』 @from41tohomania
ハードボイルドという小説形式をとらえなおそうという試みだったと私は理解している。そうした観点でこの小説形式を理解すれば、ノワールとの間の境は限りなく低くなる。個人が社会と対峙する、という構図は同じだからである。(続く)
杉江松恋@新刊『博麗霊夢、ごめんなさい』 @from41tohomania
この図式をつきつめ、普遍的な小説読解のありようとして定着させていきたいという試みを、霜月と私はずっと続けてきたように思う。さらに徹底すればこれは、北上次郎「活劇小説」論や、本格ミステリ評論にもどこかで接続するはずだ、と私たちは考えていたのである。
杉江松恋@新刊『博麗霊夢、ごめんなさい』 @from41tohomania
実作でいえば馳星周『ブルー・ローズ』はハードボイルドとノワールの越境的な作品であった。その先進性を理解するためには、ハードボイルドを情緒ではなく、構造で読み解く試みが必要になる。そうした読みの更新によって、ハードボイルドはまだこの世に命脈をつなぎうる、と私は考えるのだ。
杉江松恋@新刊『博麗霊夢、ごめんなさい』 @from41tohomania
以上のツイートで主語を「私」ではなく複数形で用いた部分があったが、これは厳密に「霜月と私」を意味している。かつ一連のツイートの中で主語が「私」である部分は、霜月に責任なく、私のみの考えである。
杉江松恋@新刊『博麗霊夢、ごめんなさい』 @from41tohomania
私は「われわれ」で思考する習慣を持たないが、この問題については霜月とほぼ一体化するほどに議論を重ねた。そのことを今となっては懐かしく感じる。
あびこ @sukiyapotes
@tadashi_ohta ぼくはあんまり疑問に思ったことがないんですけどね。第一には「いわゆるハードボイルド」が陳腐化した、ということ。第二に「日本ではそもそも欧米流のものは根付かなかった」ではないでしょうか。たまたま同時期に北方謙三や志水辰夫が出た、ということがあっただけで。
太田忠司 @tadashi_ohta
@sukiyapotes ハードボイルドが好きな読者層は一定数いるはずだと思っているのですけどね。今でもチャンドラーが読まれているんだし。
あびこ @sukiyapotes
@tadashi_ohta 「ハードボイルドタッチ」の物語はすでに多方面に拡散し、浸透はしていると思うんですよね。あくまでも「私立探偵小説」としてのハードボイルドが日本ではそもそも難しく、無理矢理やるとカリカチュアになってしまいがちなのだと思います。
芦辺 拓 @ashibetaku
日本にはハードボイルドが根づかなかったについての太田忠司さん@tadashi_ohtaと我孫子武丸さん@sukiyapotesの対話。そもそも西部小説のヒーローの流れをくむ私立探偵はあまりにアメリカに特化したもので、言語をほぼ同じくするイギリスですら階級社会ゆえに成立しない。
芦辺 拓 @ashibetaku
(続き)ノワールという言葉が普及する以前から、フランスのギャング物のアメリカと異質な陰惨さは知られていた。それぞれに国民性や物語の蓄積がある。中国と華人文化圏では「探偵」ヒーローは、侠義小説の文脈でとらえられているという。まして日本への移植などそもそも無理だったのかもしれない。
芦辺 拓 @ashibetaku
(続き)そんなことを言ったら本格ミステリ自体が非日本的きわまりないわけだが、僕は「名探偵」という存在が非論理的で情緒的で組織第一な日本だからこそ書かれねばならないと思っているので、ハードボイルドもまたそうなのでは考えたい。それこそ乱歩の言う「一人の芭蕉」が必要なのかも。
芦辺 拓 @ashibetaku
(続き)何十年も前に「日本におけるハードボイルドの主人公は、私立探偵ではなく刑事なのではないか」という意見があったが、これにはちょっとうなずけないところがある。組織の中で淡々と己の道を行く男はいかにも日本的だが、それはそもそもハードボイルドちゃうやんけと思われるのだった。(終)
大矢博子 @ohyeah1101
昨日の最後は太田さんとふたりで、バーで結構濃い話(ハードボイルドの話ね)になったわけだが、けっこう深いところまで話したような気がする割にはふたりとも酔っぱらっていたので、一晩経ったら話の中身をまったく覚えていない。
大矢博子 @ohyeah1101
@toko_miyazaki 忘れた話はその程度のことだからそのままでいい、と @mizukihiromi さんも昨日のトークイベントでおっしゃっていたではないですか。
大矢博子 @ohyeah1101
あーでもその前に @tkmr_kato さんと並んで止まり木でギムレット飲みながら、お店の人に「ライムジュースの他に何入れてますか」と微に入り細を穿って聞き出したのは覚えている。ガムシロを入れる店もあるが、昨日の店ではパウダーシュガーを入れていた。味がキリっとするのだそうな。
大矢博子 @ohyeah1101
覚えてることだけ書くと、 @tkmr_kato さんとはハードボイルドの「生活感」についてちょっと話した。サム・スペードとマーロウの視点の違いだけでも大きな変化だったが、こと生活感という点では、営業努力をするアルバート・サムスンがもたらしたものの影響とか。

コメント

GunzDesignWorks @bazheadz 2012年10月8日
ハード「ポ」イルドって新しいジャンルかと思っちゃった。
ワス @wsplus 2012年10月9日
ゴルゴで充分ですよ
高橋雅奇 @TakahashiMasaki 2012年10月9日
ハードボイルドだど (内藤 陳氏のご冥福をお祈りします
T.U.Yang @tadatsome3 2012年10月9日
主人公の生きざまに焦点を合わせるのと、ストーリーの設定が混同されているのが、そのまま「ハードボイルド」概念の混乱の原因かと思う。
Sim @tamashirosama 2012年10月9日
銀魂があるじゃないか。
サティス(CV:花澤香菜) @satis_ 2012年10月9日
ウィキペディアで調べてみたら『感傷や恐怖などの感情に流されない、冷酷非情、精神的肉体的に強靭、妥協しないなどの人間の性格』とあった。暁美ほむらは間違いなくハードボイルド。
橋川桂(CV・山下大輝) @hashikawa_kei 2012年10月9日
青少年期にハードボイルドにかぶれることに「中二病」みたいな名前をつけたいなぁ。
愛・蔵太(素人) @kuratan 2012年10月10日
東直己ぐらいですかね。あの人は軽ハードボイルドか。「「なぜハードボイルドというロールモデルは人気がなくなってしまったのか?」」