同題ssTBその他まとめ

微糖 @cEzE_LYAarhou

読心術を覚えていなくても触れれば分かる。鍛えられた腹筋に両手をつき耳を寄せる虎徹を見て、ジェイクが可笑しげに喉を鳴らした。「何してやがる」「おまえに触れてる」素っ気なく答えて虎徹は眼を閉じる。触れた先から伝わる熱と質量。ああ、この男はまだ生きている。/触･ジェイ虎 #同題ssTB

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隣で談笑する上司の横顔を盗み見る。酒の席で上機嫌なメンバーは手元にまで目が行かない。そっと手を伸ばし、イスに置かれた男の手へ。しばしの逡巡の後、虎徹は伸ばした手を引いた。濃厚に身体を繋げることはあっても、こんなむず痒い触れ合いが２人に許される筈がない。/触･ロイ虎 #同題ssTB

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「あの、虎徹さん」「どうした？」「指輪、替えたんですか？」 /色･ロイ虎 #同題ssTB

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重厚なデスクの向かい側で延々と説教を続ける上司の顔を盗み見る。肘をついた手が今日はやけに神経質に唇をなぞっている。知らずほくそ笑むと、男はふと隣に立つ相棒を見やって。「バーナビー君は戻っていいよ」にこやかに告げた後に、沈んだ色の瞳が、こちらを睨んだ。/餓え･ロイ虎 #同題ssTB

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くちゅくちゅと卑猥な水音が下肢から響く。「ひ、ぅ」ひっきりなしに訪れる快感に息を詰まらせると、耳元で笑い声がした。「だいぶ慣れてきた、」そのまま耳たぶを甘く噛まれて悲鳴が漏れる。情けないと目を閉じた。男のせいで、耳元に響く音まで性感帯になってしまった。/音･ロイ虎 #同題ssTB

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「電気、消させて」「ダメ」覆い被さった男が笑顔で囁く。この類の頼みは聞いて貰えたことがない。「可愛い愛人の痴態を見たいからね」男の台詞に知らず顔をしかめて。例えば己が恋人であれば、明りを消して貰えたのだろうかと。降り注ぐ無機質な光からそっと目を背けた。/光･ロイ虎 #同題ssTB

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「記念日だから、妻に何か贈ろうと思ってね」端末を眺める男のデスクを隣から覗く。「毎年花束というのもねぇ」「うーん…服とか食べ物とか？」首を捻ると視線が合った。「一緒に考えてくれる？」「んじゃ仕事終わってから話します？」「ホテルで？」「ええ、ベッドで」/贈る･ロイ虎 #同題ssTB

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「夢を見たんです。この関係をやめる夢」シーツを被ったまま呟くと、既に支度を済ませた男が笑う。「それはキミの願望？」「さあ。案外そうかも」つられて笑うが軽口の応酬は続かなかった。男に指先で示され、自らの頬に触れる。ぬめった感触に、ああ失敗したと自覚した。/夢･ロイ虎 #同題ssTB

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ドアベルの音を背中に夜の街へと足を向けて。「行くよ」片手を伸ばす男を眉を顰めて見やると苦笑が返ってきた。「来ないの？」ゴールド地区の大通りが狭く険しい路地裏に思える。引き返すには骨が折れるが、前へ踏み出すのも難しい。虎徹は笑う。今日は多分、戻れない。/隘路･ロイ虎 #同題ssTB

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「っう、」中へと押し込まれる感覚は未だに慣れない。「キツいよ」「い、っ」息苦しさに喘ぐこちらと裏腹に男は楽しそうだ。「他で使ってはいないね、ここは相変わらず」狭いままだと囁く。「他のヤツなんて、ん、」入れる訳がないと抗議する前に、唇をキスで塞がれて。/隘路･ロイ虎 #同題ssTB

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「さっきはついよそ見してただけで」頭を掻きながら先程の出動要請について弁解する男の、よく回る舌を指先で捉える。彼は眉根を寄せたが抵抗もせずにこちらを見下ろしてきた。「言い訳じゃなく謝罪は？」虎徹は答えず笑う。それは既に、説教の後のお仕置きを待つ表情だ。/舌･ロイ虎 #同題ssTB

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「バニー、」ふと鼻腔を擽る甘い匂い。顔を上げると、ベッドに横たわった男の指先から腕から肩から見る間に枝葉が生え、鮮やかなピンク色の花を咲かせていく。一瞬のうちに目を奪われたこちらに男は笑ってぺろりと花弁を吐き出した。「見ろ、俺の地元で一番綺麗な花だ」<桜/苗床> #同題ssTB

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「ロイズさん、報告書」言いながら片手で開け放った扉の向こうはがらんとしていた。そういえば出張だと聞いた気がする。人気のない室内に、微かに残った香水の匂い。胸を抉られたような心持ちで無意識に顔をしかめた。しかめて愕然とした、今自分は何に胸を抉られた？＜依存＞ #同題ssTB

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[─「散り際が、見てみたいね」男の一言で虎徹は、すべての延命治療を断る決心をした。バーナビーの制止も聞かずに。残り短い苗床の命が終わる瞬間を、あの男に見せると誓った夜から。虎徹の思考は、いかに、美しく、散るか。ただそれだけに、支配されたのだ。(ロイ虎･苗床)]

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[─「セックスは結婚してからでもいいと思うんだ」腕の中で素肌を寄せた弟が呟く。今更何を、と呆れたのが伝わったのか彼は笑みを漏らした。「俺、紳士だから」「何言ってんだ」適当にあしらった俺の台詞に、弟はまた笑い声を漏らして。「でも、永遠に家族になれない場合は例外だ」(コウルカ)]

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[─「脱がしてくれませんか」「こんな場所でセックスなんてしないよ」「じゃあ、脱がしてくれませんか」「聞いてる？ 人の話」「勿論。でもアンタがきっちり責任取ってくんねぇとこっちが困る」「私も困るよ。こんな場所で部下の立場を弁えない愛人はね」「ヒデェ人だ」「自覚はあるよ」(ロイ虎)]

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[─心地好い感触に微睡んで薄く目を開けると、見慣れない位置に男の首筋。腕枕をされているのだと知るのに数秒かかる。素肌の温もりは気持ちいいが、すぐに腕は離れてしまうだろう。片手で携帯電話を弄る彼から目を逸らし虎徹は瞑目する。瞑目し、男が己を手放すときをじっと待つ。(ロイ虎・腕枕)]

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[─素肌に覚えた感触に、無意識に頭を抱き寄せる。気持ち良さそうに擦り寄ってくる身体と声に違和感を覚えて見下ろすとそこには、この位置からは見覚えのない黒髪。ああ間違えたのだと認識するくらいには正気だ。しかし、この腕枕を解く気にならないくらいには溺れている。(ロイ虎・腕枕について)]

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[─それは出動を終えた後の儀式にも似ている。「来なさい、」上司の呼びかけに虎徹は黙って身を寄せ、怪我をした片腕を差し出した。ちり、と刺すような痛み。同時に、傷口に這わされた赤い舌が濡れそぼっているのを見下ろすと、知らず背筋が粟立つ。虎徹は嘆息し、祈るように目を閉じた。(ロイ虎)]

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[─「力抜いてろよ」囁いて、露になった太腿に啄むようなキスが落とされる。擽ったい感触とは裏腹に今から与えられる行為のことを思うと知らず背筋が震えた。月明かりの下、己を見下ろす男の顔は昼間とは別人のようで。「バニー、おまえから誘ったんだろ」その表情が目の前で困り顔に歪む。(虎兎)]

微糖 @cEzE_LYAarhou

[─夜空の銀河に向かって飛んだ紙飛行機の中に、母へ綴られた思いが詰まっていることを知っている。屋根の上に登った父は、力を失って再び手元に落ちる手紙をひどく淋しげに掴んだ。ああ、今夜も独りで泣くのだろうか。私のことなど気にせず、早く新しい恋人を見つけてくれて良いのに。(鏑木親子)]

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[─サイドテーブルに置かれた携帯電話。今夜は鳴ることのないそれに目を留めていると、顎を取られ視線を戻される。間もなく照明が落ち、シャツを脱がされた肌へと長い指が這わされるだろう。鮮烈な記憶に思いを馳せれば、知らず渇いた唇を舐めて。浮気とは斯くも魅力的なものであったか。(ロイ虎)]

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[─(言える筈がない)(言える訳がない)(僕から言うのは真っ平だ)(俺から言う資格はない)(どこにいる？)(何をしてる？)(聞きたい)(聞けない)(もうダメだ)(限界だ)(あなたは違うんですか？)(おまえは違うのか？)(ねぇ)(なぁ)『このままじゃ、苦しいだろう？』(虎兎)]

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[─一度箍が外れてからは、こいつはよく泣く。よく怒るし、よく拗ねる。ついでによく落ち込むので正直扱いづらいことこの上ない、ヒーローがそんなメンタル弱くてどうすんだ。全く、そんなに表情を変えることが出来るなら、もう少しだけ俺に向かってよく笑うようになれば良いのに。(虎→兎)]