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「はー・・・」今日も今日とてふーは星十字過負荷の拠点を掃除して回っていた。だが、その表情は少し暗い。「こんちゃーっすwwwふーさんお疲れさまーっすww」そこに空気も読めない男。キンが姿を現した。いつにも増して小憎たらしい。「ああ、おはよう。キン」ふーがめんどくさそうに返事をした。
2012-10-09 21:36:26「ふーさんどうしたんですかww元気ないっすよwww」キンは相変わらず空気の読めない事を抜かしている。 「いや、大したことじゃあ・・・、いや、それなら・・・。 キン、少し頼まれてくれるかな」何か思いついたような表情でふーが訪ねた。
2012-10-09 21:38:15「なんなんッすかwwwふーさんの頼みならなんでもイイッすよwww」 相も変わらず神経を逆撫でする笑い方だ。 と、ふーは思った。しかし、今は四の五の言っていられる状況ではない 「ああ、実は私、今月のノルマが厳しくてね。今日中にみそぎクラスタの首を50万は持ち帰らないといけないんだ」
2012-10-09 21:39:24ふーが淡々と事情を説明し始めた。キンは珍しく黙って聞いている。だからといって星十字過負荷の拠点の掃除を怠る訳にはいかないだろう?。これは私の生きる意味だからね」ふーはわざと大仰な素振りをしてみせた。キンの様な者を騙すには視覚的に誘導した方が早いことを知っているのだ。
2012-10-09 21:40:48「ほうほうwwそれでそれでェwww??」キンは次の言葉を促したが、恐らく会話の内容は理解できていないだろう。「そう、それでね、キンには私の代りに50万のみそぎクラスタの首を取ってきてほしいの」 ふーは簡単そうにそう告げた。
2012-10-09 21:45:29「はぁ!?俺だけで50万・・・!?無理に決まってるじゃないですか!」キンは思いもよらない無茶な要求に思わず声を上げる。それもそうだろう、キンは新参も新参。50万の人間を殺したことなどありはしない。「うーん、そうだねー・・・。キンにはやっぱり無理かな・・・」
2012-10-09 21:47:50ふーが残念そうな顔をした、流石のキンにもそれは伝わったが キンは完全に臆病風に吹かれている。ここは諦めてもらおう。そう考えていた。 「よぉ、なにしてんだよカス共」 そこに威勢の良い声と共に現れたのはががまるクラスタ最高クラスの武闘派、阿呼だった。
2012-10-09 21:49:07「阿呼さんおはようございます。そういえば阿呼さん、今から暇ですか?」ふーがおそるおそる尋ねる、同じががまるクラスタといえ、阿呼の機嫌を損ねると 一体どんな目に合うか分からない。そういえばこの間拠点に荷物を届けにきた佐川のおっさんの態度が気に入らなかったために佐川急便を滅ぼしている
2012-10-09 21:50:45「あぁ・・・私は今日は特になにもないけど」阿呼がやる気のなさそうな声で答えた。「それは良い、ちょうどキンを戦場に出そうとしていたところなんですよ、そこで阿呼さんにお願いなんですけど、コイツの御守りしてもらえませんねぇ・・・?」ふーが阿呼に向かってそう言った。
2012-10-09 21:52:06もしも阿呼がキンと共に出撃してくれれば ががまるクラスタでの一番の好戦派である阿呼とそこにいるだけで空気を壊すキンを同時に追い出せるという魂胆も含まれていた。勿論、阿呼に悟られないように、ふーは表向きは下手に出ている。
2012-10-09 21:53:11「へー、キンの野郎、ついに実践にでんのか」阿呼はあくまでどうでもよさそうに答える。「ちょっ、ちょっと!俺抜きで話を進めないでくださいよっ!」蚊帳の外だったキンが喚く。
2012-10-09 21:53:50その時だった、ふーがキンに対して斬撃を繰り出したのだ。 だがこの斬撃は遅い、キンですら見切れた。(これなら避けられる・・・!) 咄嗟にキンはそう判断した、が、キンは一歩も動けなかった。 (!?)そして動けぬままのキンの首を剣先が両断する――かに思えたが剣先は寸前で静止した
2012-10-09 21:55:15「おい、キン、お前はこの中で「一番弱いんだ」立場を弁えろよ」ふーが冷たい声でそう言い放った。阿呼は何故か腹を抱えて大笑いしている。「は、はい…」キンは状況を理解できないままでいた。今の彼は頷く機械と化していたからだ。そう、強さが全ての「星十字過負荷」でキンは余りにも「弱すぎた」
2012-10-09 21:56:32キンは阿呼に連れられ、みそぎクラスタの巣へ赴いていた。「はぁーっ、ここがみそぎクラスタの巣っスか」キンは感嘆と共に素直な感想を呟いた。「あんまり離れんなよ、ここ、もう既にみそぎクラスタの巣の中心だから」阿呼がウザがりながらも警告する。
2012-10-09 22:00:38「へっ?だったらもうみそぎクラスタが襲ってきてもおかしくないんじゃあ・・・」キンにしては珍しいまともな意見だ。素直に阿呼はそう評価した。「もう来てるよ、そのたびに俺が殺してるんだけどな。もう1000人は殺した」阿呼は当たり前の様に言い放った。そして、それは厳然たる事実である。
2012-10-09 22:01:41現にこの空間に入ってから数百のみそぎクラスタが矢を放ち、罠を発動させ、策を弄しているが。阿呼はそれをもとのもせず 確実に攻撃を仕掛けたみそぎクラスタをひとり、また、ひとり。と葬っている。 「す、スゲーーー!!!阿呼さん流石やでぇ!!!」キンがいつもの通り大声をあげた。
2012-10-09 22:03:32その刹那、キンの膝を矢が貫いた。「ぐ、ぐぇええええ~~~wwwww」 たまらず叫び声をあげるキン、その姿は滑稽なピエロと表す他、ない。
2012-10-09 22:04:11「ああ、悪い、今の矢は撃ち落とせたんだけどな。なんかムカついたからお前に当てたわ」阿呼はみそぎクラスタを殺しながら、そう言い放った。 口振りそのものは不愉快そうだが、阿呼の顔は喜びに歪んでいた。 「ひ、酷いじゃないっすか~~~阿呼さんよぉ~~~~???」
2012-10-09 22:04:54キンは負傷から立ち直り、半狂乱の様子でそう言った。 しかし、矢を受けて、即時再生する辺り、最弱とは言え やはり彼も「ががまるクラスタ」なのだろう。
2012-10-09 22:05:31「おい、黙っとけ、キン。・・・まぁここらへんでいいだろうな」 阿呼は冷たい声で言い放ちながら、自らの霊圧を地脈に集中させた。 無防備になった阿呼に無数の矢が放たれるがこれを阿呼はものともしない。全て阿呼の体に直撃する寸前に放出される霊圧に耐え切れず消し炭になっている。
2012-10-09 22:07:08「―――あああアアアアアッッッ!!!」阿呼がそう叫んだ瞬間、地が割れ、天が裂け、空間はデタラメに引き千切られていく――無数のみそぎクラスタがそれに呑まれる、呑まれた物は醜い声を上げながら無残に死んでいく。いや、死という概念すら烏滸がましい程に、酷く、惨い姿となり、そして「消える」
2012-10-09 22:09:05「――――!?!?!?」 キンは理解が及ばず声がでない。 これが、選ばれた者達。ががまるクラスタの力なのか・・・!? キンとて理解していなかった訳ではない、激しい戦いも実際この眼で見てきた ががまるクラスタが理も原理も節理も超えた存在であることは十分に理解していたはずなのだ。
2012-10-09 22:10:01しかし、キンの眼の前で起こった「惨劇」は、そんなキンのぬるま湯思考を沸騰させるには十分な光景であった。 「ふん、これでちょうど50万。ふーのクソ野郎もこれで満足だろ」 阿呼は何事もなかったかの様に、息一つ乱さずそう言い捨てた。
2012-10-09 22:11:05――そう。この凄絶な力でさえも彼女の力の10%にすら満たない。 まさに朝飯前、いや、彼女にとって、人間を殺すなど息をするよりも簡単で日常的なのだ。「おい、キン。いつまで呆けてやがる。帰るぞ―――」 キンに向けてそう言い放つと同時に、「轟」が空より飛来した・・・!
2012-10-09 22:12:03「――――!!!」 阿呼は即座に危険だと判断し、キンを抱えその「轟」の機動から外れようとしたが、その「轟」は阿呼の動きを察知していたかの如く、阿呼の移動先に先行し 阿呼の肩を貫いた・・・!「―――――ァカッ!!」阿呼は声にならない声をあげる。幸い、意識は途切れていない。
2012-10-09 22:14:40