ザ・スターダストボウリングPV
ソロパート歌唱時に歌ってるメンバーの顔が撮れていなかったり、いろいろまずい点はあるものの、改めて入江悠監督の最新作としてチームしゃちほこ「ザ・スターダストボウリング」PVを見てみると、出来栄えとは別に入江監督作品として見逃せない要素を孕んでいると思われる。
2012-10-17 22:09:13入江監督の作品は『サイタマノラッパー』3部作と『劇場版神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』の4本を見ただけだが、そのどれもが「父権主義への抵抗」を題材にしている。
2012-10-17 22:10:18『SR』シリーズでは、いい歳してラッパーになることを夢見る青年に年長者からの忠告が繰り返され、『かまってちゃん』では大学に進学せず棋士を目指す二階堂ふみに、シングルマザーの森下くるみに、先鋭的なバンドのかまってちゃんに、それぞれ現実を見るように忠告がなされる。
2012-10-17 22:11:09父権主義的な物言い、ひいては「空気を読む」ことが美徳であるかのような息苦しい現代日本への抵抗として、映画として多少粗削りな点はあるものの、それを上回る魅力を放つのが入江監督作品が支持されている理由の一つであろう。
2012-10-17 22:11:46その入江は、チームしゃちほこのメジャーデビューシングルのPVを撮るにあたり、自らのテーマである「父権主義への抵抗」を描くことを選択する。
2012-10-17 22:12:42チームしゃちほこが他のチーム、あるいはしゃちメン同士でボウリング対決をしてはももいろクローバー「ミライボウル」PVと同じになってしまう、という事態を回避する方策として「ボウリングのピンと対決」させる裏技を用いたのである。 。
2012-10-17 22:13:11このPVに出て来るボウリングのピンは、もちろん見たままのピンと捉えることも出来るが、入江作品を見た者ならば、チームしゃちほこに突如襲い掛かるピンの着ぐるみの姿を、青少年に向けられる「父権主義の介入」の比喩、と見る誘惑に抗し得ない。
2012-10-17 22:13:57となれば、マッチョ志向の男権=男根の象徴たるボウリングのピン(御丁寧に髭まで生えている!)が、秋本帆華を宙吊りにするポルノチックなシーンが挿入されていることも、男権=男根=父権主義の醜悪なイメージを喚起するために必要なショットであることも納得されるのであり、
2012-10-17 22:15:36咲良菜緒・安藤ゆず・坂本遥奈が鉄籠に捕らわれるショットも必要以上にポルノ チックなイメージを帯びる。それら、所謂仁侠映画的な主役が我慢を重ねるシーンの後だからこそ、しゃちメンがピンを倒していく格闘シーンが爽快なカタルシスとなるのである。
2012-10-17 22:16:00インディーズ時代のA面曲では過剰なまでに同じ事務所の姉たちを意識していたチームしゃちほこに、世間にはもっと強大な敵がいるのだ、と伝えることが「抵抗の映画作家」たる入江悠からの餞の言葉なのであろう。もちろん、メッセージとPVの出来については別の問題であるのだが。
2012-10-17 22:16:34しかし、『かまってちゃん』のライブシーンが昨年2月の渋谷AXでのももいろクローバー(当時は無印)との対バン時のものであることを思うと、なにやら因縁を感じずにはいられないのである。(文中敬称略・代筆妻)
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