軽水炉技術の評価をめぐる齊藤誠教授との対話

『原発危機の経済学』の著者、齊藤誠一橋大教授が原発機器の製造をごらんになって、その先進性に感銘を受けられた。齊藤教授は、かねてから事故を起こした原発が旧式であることが事故の一因と見て、旧式原発を廃炉にし、新鋭原発を再稼働し、電力会社の経営立て直しと、事故による日本経済への悪影響を克服すべきだと主張しておられる。 これに対して原子力の周辺にいて、原子力の技術革新の宿命的遅延性、保守性を見ていた飯泉がコメントし、そこから何度かの意見の交換が行われた。 齊藤教授が最後に書いておられるように、議論の土台が重ならず、すれ違いになったが、一連のツイートをまとめて、記録に留めておくには意味があろう。
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@makotosaito_v3

加圧水型用の蒸気発生器の最新鋭の製造ラインを見学させてもらい、工程の精度に感銘を受けた。同じ製作所で作られた福島第一の原子炉は、40年前の製造ライン、当然、その技術水準は格段に古かった。古いもので起きたことにケジメをつけて古きが新しきを道連れにする状況は何としても避けないと。

2012-10-26 22:21:57
@makotosaito_v3

蒸気発生器の製造ライン、ミクロの半導体基板の製造ラインを10メートル台に引き延ばした感じ。ロボットも巨大でクレーンもでかい。当然、クリーンルームの中。とても整然。ただマニュアル部分も少なくない。こうした先端的な生産現場の底力を活かすのは、経営の力なのだと思う。考えさせられる。

2012-10-27 08:53:14
飯泉 仁 @aquamasa

@makotosaito_v3 原発の主要機器の製造現場をごらんになっての感想を興味深く拝見。確かに福島第一の製造・建設(米国直輸入・技術習得)時期と現在(自前の熟れた技術)では大きく違う。しかし私の印象としては原発技術の進歩は他技術と比べて非常に鈍い。蒸気機関車に匹敵しようか。

2012-10-27 21:42:46
@makotosaito_v3

『原発危機の経済学』の論点、①収益事業として軽水炉発電を継続、②極端に古い技術の切り分け、③収益事業としては再処理を断念、④使用済核燃料の長期地上貯蔵、⑤福島第一廃炉の国家事業化、⑥東電の更生処理による賠償費用の捻出、どれも概ね妥当で、いずれは、この方向に収まるのだと思う。

2012-10-27 09:13:54
飯泉 仁 @aquamasa

妥当には同意。収まる、には疑義。②がクリアカットにできるか。むしろ立地・防災が決め手か。③、④は難航しそう。⑤、⑥は曖昧。 RT @makotosaito_v3: 『原発危機の経済学』の論点、①収益事業として軽水炉発電(cont) http://t.co/K0rdKMGc

2012-10-27 21:55:59
@makotosaito_v3

@aquamasa ①から④は、今日明日ということではなくて、10年単位だと思います。⑤や⑥は、きわめて長期の課題について、経済原則を無視していれば、結局は見直さないといけなくなるということをいっているだけです。

2012-10-27 22:14:18
飯泉 仁 @aquamasa

先生の主張の批判ではなく、①ー⑥に照らして、現状から将来展望を予測してみたのです。 RT @makotosaito_v3: ①から④は、今日明日ということではなくて、10年単位だと思います。⑤や⑥は、きわめて長期の課題について、経済原則を無視していれば、結局は見直さないと…

2012-10-27 22:25:48
@makotosaito_v3

@aquamasa 原発技術のコアは同じですが、原発施設を一つの巨大プラントと考えて、それを構成する部分の製造技術、配置や安全等に関する設計思想も飛躍的な進歩だと思います。私は現地を見たことがないですが、図面や写真をみるだけでも隔世の感を感じます。蒸気機関車の比喩、落胆です…

2012-10-27 22:24:40
@makotosaito_v3

@aquamasa モノを作る(広義の)技術の進歩と、原発プラントを支える技術の進歩は、同時進行だと思います。福島第一・一号炉の機器が所狭しとぎっしり詰まった格納容器の写真をはじめて見たとき、機能美とは真逆のベクトルの ugly さに唖然としました。

2012-10-27 22:39:43
飯泉 仁 @aquamasa

軽水炉技術は初期の設計から大規模化・安全対策・運転上の工夫など「改良」はあったが、革新的な進歩は何一つ無かったのでは。 RT @makotosaito_v3: 原発技術のコアは同じですが、原発施設を一つの巨大プラントと考えて、それを構成する部分の製造技術、配置や安全等…

2012-10-27 22:37:36
飯泉 仁 @aquamasa

@makotosaito_v3 蒸気機関車の例を引いたのは現在でも世界各地に19世紀後半に製造されたSLが現役で走っている。そのおもちゃみたいなSLと20世紀半ばの最終型と基本的には何も変わっていないことの類比として。原発技術では開発に要する時間と費用が莫大。大胆な革新の足かせ。

2012-10-27 22:57:13
@makotosaito_v3

@aquamasa 蒸気機関車でも、同じ基本技術のもとで能力上の飛躍的な進歩があったように思います。ただ、科学的にみれば量的な程度の問題にすぎないのかもしれませんが、そこに価値が生まれる限り経済的な意味はあります。

2012-10-27 23:11:07
@makotosaito_v3

@aquamasa 安全で効率的な運転をしっかり支えてくれる技術が、経済社会にとって必要なのであって、技術が革新的かどうかは、研究者にとってはもしかすると意味があるのかもしれませんが、経済社会にとっては非本質的なことです。

2012-10-27 22:42:22
飯泉 仁 @aquamasa

冷却喪失対策のもろもろのシステムは無理矢理で技術的に美しくない。それが破綻。大出力化を断念し受動安全性をとるべきだったか。技術史の要。 RT @makotosaito_v3:安全で効率的な運転をしっかり支えてくれる技術が、経済社会にとって必要なのであって、技術が革新的かどうかは…

2012-10-27 23:08:25
飯泉 仁 @aquamasa

技術には馬鹿力(ブルート・フォース)で実現するもの、自然の摂理を素直に使っていて美しいものの両極端があり、核分裂によるエネルギー発生自体は後者と考えますが、現行軽水炉特に安全確保は前者かと。ちなみに核融合は前者だと私は考えています。技術進歩の遅い例に引いたSLはじつは後者。

2012-10-27 23:25:04
@makotosaito_v3

@aquamasa 議論の土台が重なっていないので、これ以上はやめます。現在の状況を考えるに当って与件としていることの集合が、先生のものに比べ私の方がかなり大きいと思います。そもそも論の議論の重要性は認めますが、自分はそこに軸足を置けません(置ければ随分明解になれるのですが…)

2012-10-27 23:26:35
飯泉 仁 @aquamasa

了解。意見交換感謝。 RT @makotosaito_v3: 議論の土台が重なっていないので、これ以上はやめます。現在の状況を考えるに当って与件としていることの集合が、先生のものに比べ私の方がかなり大きいと思います。そもそも論の議論の重要性は認めますが、自分はそこに軸足を置けま

2012-10-27 23:33:46