山本義隆著「福島の原発事故をめぐって いくつか学び考えたこと」のポイントまとめ~原発問題が俯瞰できる!
- nusubito_hana
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福島の原発事故を引き起こした本質的な原因は人類が「自然に対する畏怖の念」を喪失し、自然を支配しその力を己の思うがままに利用できると思い上がっているからだと思います。こうした科学技術万能信仰が、このような制御不能、廃棄物処理不能な“怪物”を作り出したのだと思います。
2012-01-01 18:27:38その意味で、人類は「自然に対する畏怖」の感情を思い起こす必要があります。自然との共生や同化に長けた日本人なら可能でしょう。この辺りについて、分析した山本義隆氏の「福島の原発事故をめぐって いくつか学び考えたこと」http://t.co/qPYl8Pgfを紹介していきたいです。
2012-01-01 18:31:11山本義隆氏http://t.co/IPIUh1KY は、かつて東大全共闘の議長をされた方で、彼の科学や物理学に関する書「磁力と重力の発見」「一六世紀文化革命」の一部を読んだのですが、まさに目からウロコの凄い内容です。原発を止めるなら、まずなぜこうなったかの分析は不可欠です。
2012-01-02 17:13:04山本義隆氏の「福島の原発事故をめぐって」から、なるほど!と思う箇所をつぶやいていきます~特に興味深いのは、近代科学技術の成立過程での人間の増長の部分(自然支配思想の形成)ですが、まずは「日本における原発開発の深層底流」からです。
2012-01-01 18:36:461.戦後アメリカが提唱した「原子力の平和利用」は、原爆開発のマンハッタン計画の延長にある。米英は当初核技術を秘匿し、核兵器の独占を目論んでいたが、ソ連が予想以上に早く核開発の成功したことから、開発競争に勝つためある程度技術を公開し原子力発電を開放する戦略に転換した
2012-01-01 18:43:242.原子力発電用に技術を公開することで、専門的な核技術の維持とその不断の更新、そして核技術者の養成を民間メーカーと電力会社に担わせる戦略。同時に、原子力発電プラントと燃料用濃縮ウランを外国に売りつけ、グローバルな市場拡大するという米政府と背後の金融資本の狙いもあった。
2012-01-01 18:46:263.米英ソによる核独占に基づく戦後の世界支配体制は、「核兵器所有がとりもなおさず大国の条件になる」というかつてなかった国際政治の情況を作り出した。米がヒロシマとナガサキで原爆実験を行なったのも、第二次世界大戦後の世界秩序確立に向け、大国としてその主導権を握るため。
2012-01-01 18:53:064.日本において原子力基本法を成立させた中曽根康弘ら国家主義的な政治家も、将来的なエネルギー政策の観点からだけではなく、それ以上に“パワー・ポリティックス”の観点から、核をめぐる戦後国際政治の情況を敏感に捉えていただろう。
2012-01-01 18:58:095.中曽根ら国家主義的政治家の思惑としては、「核の技術を産業規模で習得し、核武装という将来的選択も可能にしておく」という大国の夢だった。それゆえ、日本の原発は、政権党の有力政治家とエリート官僚の強いイニシアチブによって推進されてきた。
2012-01-01 19:00:506.原子力発電のアクセルを踏んだ岸信介曰く「原子力技術はそれ自体平和利用も兵器利用も可能。どちらに用いるかは政策であり国家意思の問題。日本は平和利用一本槍だが平和利用にせよ技術が進歩するにつれ兵器としての可能性は自動的に高まってくる。それにより国際的発言力を高めることができる」
2012-01-01 19:06:197.つまり、この時点で原子力発電(原子炉建設)の真の狙いは、エネルギー需要に対処するというよりは、むしろ日本が核技術を有すること自体、すなわちその気になれば核兵器を作り出しうるという意味で核兵器の潜在保有国に日本をすることに置かれていた。
2012-01-01 19:09:148.岸にとって、核開発は大国化の条件であり、核技術-核兵器生産能力-の習得は国際社会において発言権を得る必須の手段と思われた。(これまで中曽根や正力による原発推進の意図は利権が主かと思っていましたが、こうした国際政治上の理屈があったということですね。)
2012-01-01 19:13:259.学者サイドはどうか?米の原爆開発「マンハッタン計画」を率いた物理学者オッペンハイマー曰く「自然界をコントロールしその光りと価値とにしたがってそれを扱うために、可能な限り大きな力を目一杯引き渡すのはよいことだと思うでしょう」と原爆製造にも関わらずあくまでもポジティブだった。
2012-01-01 19:20:2510.原爆を投下された日本でさえ、その6年後にマンハッタン計画の公式報告書が翻訳された「原子爆弾の完成」の帯びには「原子力開発という人類の偉業は、いかにして発芽し、いかにして育成され、いかにして完成されたか?科学技術の成果を後世に伝える不滅の記録である」と賛美。
2012-01-01 19:27:1511.日本の多くの科学者が戦争への「反省」として語ったのは米との「科学戦」に敗北した力不足。最先端の科学に基づき幾多の困難を克服して核エネルギーの「実用化」を達成したことはまさしく「人類の偉業」にして「科学技術の精華」であり、それが大量破壊兵器の製造だということは二の次だった。
2012-01-01 19:31:4612.物理学者福田信之もノー天気に「技術的には困難が予想それるが本質的な困難はないと思われる。船舶、汽車、航空機などの動力として利用される日もそう遠くない。有害な中性子やその他放射線をどう防止するかが将来に残された課題。台風の進路を左右するのも夢でない、宇宙旅行も・・・」
2012-01-01 19:37:4413.物理学者の認識はこの程度の薄っぺらなものだった。マスコミの世界もその他もほぼ同様のレベルにあった。も1952年に連載開始した『鉄腕アトム』で手塚治が主人公で原子力を動力とするヒューマンな心の持ち主アトムの妹をウランと命名したことが象徴的。
2012-01-01 19:41:0214.つまり、◎このように『科学技術幻想』にとらわれている限り、権力者の側からの原子力開発に対して有効に対抗できないことは明らか。(なぜ科学技術幻想なるものが登場したか?また、科学者が社会性や主体性を喪失したか?は、続きで明らかになっていきます。)
2012-01-01 19:43:3015.その後、岸の語った核開発の意義は継承、1969年に外務省公式組織作成の文章には「核拡散防止条約に参加すると否に関わらず、当面核兵器は保有しない措置を取るが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(潜在能力)は常に保有するとともに、これに対する掣肘を受けないよう配慮する」
2012-01-01 19:50:2016.1982年、中曽根とレーガンによる新日米原子力協定により、プルトニウム規制は緩められ、使用済み燃料から核分裂性物質を抽出し再利用する核燃料サイクル形成に向け再処理施設、高速増殖炉、ウラン濃縮施設の建設にゴーが出、プルトニウム大量保有国への道が開かれた。
2012-01-01 19:56:1417.核燃料の再処理によりプルトニウム239とウラン235が抽出される。つまり、再処理及びウラン濃縮は共に核兵器の材料(核分裂性物質)の生産と直結している。つまり核燃料サイクルの実現は同時に日本の潜在的核武装化に繋がる途を改めて開けることでもあった。(もんじゅが存在してる理由)
2012-01-01 20:00:1318.2010年7月2日の朝日新聞には外務省初代原子力課長の発言「必要なら持てる力が抑止力になる。中曽根さんはそういう意見でった。」
2012-01-01 20:06:4919.1992年11月29日の朝日新聞「日本の外交力の裏づけとして核武装選択の可能性を捨ててしまわない方がいい。(核兵器の)保有能力は持つが、当面政策として持たないという形でいく。そのためにもプルトニウムの蓄積と、ミサイルに転用できるロケット技術は開発しておく」外務省幹部の談話
2012-01-01 20:09:2420.元通産省審議官でアラビア石油社長務めた坂本吉弘曰く「核燃料リサイクルは産業政策の枠を超えて、外交、安全保障政策と統合して対処していくことになる」・・・経済的合理性もなければ技術的展望も見えないにも関わらず、日本がいまなお核燃料サイクルに固執している一つの理由。
2012-01-01 20:15:0621.日本は何基もの原発を可動させることで原爆の材料となるプルトニウムを作り続け、既にかなりの量を蓄積、ウラン濃縮技術をゆうし、人工衛星打ち上げに何度も成功・・・つまり、その気になれば何発もの核弾頭とその運搬手段としての超距離弾道ミサイルを比較的速やかに作り出すことができる。
2012-01-01 20:17:41