山本義隆著「福島の原発事故をめぐって いくつか学び考えたこと」のポイントまとめ~原発問題が俯瞰できる!

福島原発の惨事が引き起こされた原因をいくつかの観点から分析しています。大国としての面子から核武装潜在能力を保持したい政治家・官僚、科学技術信仰から全体的視点や主体性を失う科学者、手厚い保護の元マスコミや学者を抱え込む電力会社、そして、最も注目すべきは、そもそもなぜ人類は自然への畏怖の念を喪失したか?なぜ科学技術は道を誤ったか?の分析です。
12
前へ 1 2 ・・ 5 次へ
花盗人 @nusubito_hana

22.2010年7月21日の朝日新聞は「日本は国内に核兵器1250発分に相当する10トンのプルトニウムを貯めこんでいる。これは米路英仏についで世界で5番目で、アジアでは断トツに多い。」・・・世界の核不拡散の秩序づくりに参画するという姿勢と完全にベクトルが逆。

2012-01-01 20:21:08
花盗人 @nusubito_hana

23.まとめれば、潜在的核保有国の状態を維持し続け将来的な核兵器保有の可能性を開けておくことがつまるところ戦後の日本の支配層に連綿と引き継がれた原子力産業育成の究極の目的であり、原子力発電推進の深層底流。とするなら、脱原発・反原発は、同時に脱原爆・反原爆でなければならない。

2012-01-01 20:27:14
花盗人 @nusubito_hana

24.【重要】そして、このように「産業政策の枠わ超え」る「外交、安全保障政策」の問題として位置づけられているのであれば、経済的収益性はもとより技術的安全性さえもが、二の次、三の次の問題となっていまうのは必然だろう。

2012-01-01 20:30:01
花盗人 @nusubito_hana

25.原子力発電の未熟について/米政府と米大企業トップのバックアップで進められたマンハッタン計画は、最短時間で原子爆弾を作り上げることを唯一最大の目的としており当然多くのことを犠牲にし多くの問題を未解決に放置して成し遂げられた。戦後「平和利用」と称し民生転用された技術も同様。

2012-01-01 20:38:46
花盗人 @nusubito_hana

26.そもそも・・・科学技術とは科学理論の生産実践への適用であるが、実験室の理想化された環境で十分に制御された微少な対象によって検証された理論から、さまざまな要因が複雑に絡み合った大規模な生産までの距離はきわめて大きい。

2012-01-01 20:41:16
花盗人 @nusubito_hana

27.例えば、化学理論から化学工業までの距離は大きく、そのため“公害”を生み出し、事故も生じた。しかし、原子核物理学から原子核工学-核兵器生産と原子力発電-までの距離はもっと大きく、そのため化学工業で露呈したものよりずっと大きな困難と問題を内包している。

2012-01-01 20:45:22
花盗人 @nusubito_hana

28.また、米の民生用原子力利用を推進においても「原子力の未来を約束し進歩を強調する一方、災難や問題点をたえず小さく見せ“否定する”習慣が自然に対する原子力推進の第2の性になってしまった」つまり、当初から危険性や欠陥より有用性や企業としての将来性が重視され問題は放置されていた。

2012-01-01 20:50:24
花盗人 @nusubito_hana

29.核分裂で生ずる核分裂生成物質「死の灰」は、現在の平均的出力の原発1基を1年間稼動させたとして、広島級原爆の死の灰の千倍に達する。これは最終的に安定的な原子核に落ち着くまで人体に有害な放射線(α線β線γ線)や中性子を放出し続ける。

2012-01-01 20:59:25
花盗人 @nusubito_hana

30.また、中性子を吸収したウラン238は、自然界には事実上存在していなかった猛毒性のプルトニウム239に変わる。これらは燃料棒の中に蓄積されている。使用済核燃料は多くのウランとプルトニウムその他の核分裂生成物を含み、きわめて危険であり隔離した状態で冷却し続けなければならない。

2012-01-01 21:03:10
花盗人 @nusubito_hana

31.これら有害物質を完全に回収し無害化しうる技術が伴ってはじめてその技術は完成したことになるが、放射性廃棄物が有毒な放射線を放出する性質は原子核の性質つまり核力による陽子と中性子の結合のもたらす性質であり化学的処理で変えることはできない。つまり無害化も寿命短縮も事実上不可能

2012-01-01 21:07:24
花盗人 @nusubito_hana

32.核分裂生成物(死の灰)を含む使用済み核燃料は隔離状態で数ヶ月かけて(多く野電力を消費して)冷却され、再処理され(残存するウラン235や生じたプルトニウム239を抽出してから)、ないしそのまま永久保存用に処理される。⇒これが「高レベル放射性廃棄物」

2012-01-01 23:04:40
花盗人 @nusubito_hana

33.その他に原子炉メンテナンスや定期検査の家庭で生ずる取り替えられた部品や作業員の防護服等の「低レベル放射性廃棄物」も大量に発生。原子炉自体も何年かの使用後にはいずれ廃炉にされるが、強い放射線に長年晒されてきたその炉心も高いレベルの放射性廃棄物となる。

2012-01-01 23:07:58
花盗人 @nusubito_hana

34.半減期2.4万年無害化まで50万年のプルトニウムの他にも廃棄物は半減期数千数百年といった長寿命のものがあり貯蔵といっても事実上永久的。1978年米の書では「過去30年間何億ドルという巨額の研究費が使われたにも関わらず恒久的で安全な廃棄物処理と保管方法はまだ発見されてない」

2012-01-01 23:22:24
花盗人 @nusubito_hana

35.東大工学部原子力工学科を出、東電副社長と原子力本部長を務めた榎本聡明曰く「処分場閉鎖後、数万年以上というこれまでに経験のない超長期の安全性が求められます。」正気で書いているのか疑わしい。「数万年以上」にわたる「超長期の安全性」をいったい誰がどのように「確保」しうるのか?

2012-01-01 23:29:38
花盗人 @nusubito_hana

36.使用済核燃料の再処理工場は放射能の大きな汚染源。再処理過程は放射性物質を多量に含む使用済み核燃料を剥き出しで処理しなければならない。そしてもちろん、その全過程で多くのエネルギーを、しだかって多くの石油を、必要としている。

2012-01-01 23:34:50
花盗人 @nusubito_hana

37.20年原発の現場で働いた平井氏曰く「定期点検が終わると、海に放射能を含んだ水が何十トンも流れてしまうんです。定検の時だけではありません、原発はすごい熱をだすので、日本では海水で冷やしその水を海に捨てていますが、これが放射能を含んだ温排水で、1分間に何十トンにもなります。」

2012-01-01 23:39:16
花盗人 @nusubito_hana

38.つまるところ原子力発電は、日常的に地球環境を汚染し、危険で扱いの厄介な廃棄物を生み出し続け、その影響を受益者の世代から見て何世代、いや何十世代も先の人類に負の遺産として押し付けているのである。

2012-01-01 23:42:16
花盗人 @nusubito_hana

39.電力会社は、たとえ異常が生じてもなかなか原子炉を停めようとしない。なぜか?「原発を一日止めると、何億円も損になりますから、電力会社は出来るだけ止めないのです。放射能というのは非常に危険なものなのですが、企業というものは、人の命よりもお金なのです」

2012-01-01 23:47:25
花盗人 @nusubito_hana

40.元技術者菊地洋一氏曰く原発は「配管のおばけ」「原発内部はあまりにも多くの重い配管が複雑に配置され、しかも非常に不安定な支持機構しか持っていない」「本来想定して計算に組み込むべき要素、地震波と鉄骨の共振などが考慮されていない上に、人間のミスがいくらでも入り込む余地がある」

2012-01-01 23:54:01
花盗人 @nusubito_hana

41.膨大なパーツの製造には多くのメーカーが関与しているので、わずかな手違いで事故につながりかねない要因が数多く潜在。位置計算、取り付ける部材の設計、製造、機能テスト、施工、それらを行うのは全て別の人間、複数の会社。すべてを把握しメンテナンス状況まで知っている人はおそらく皆無。

2012-01-01 23:57:59
花盗人 @nusubito_hana

42.「もんじゅ」も、図面の基準が「日立は0.5ミリ切り捨て、東芝と三菱は0.5ミリ切り上げ、日本原研は0.5ミリ切り捨て」と違いがあったため、配管が図面通りに作られたにも関わらず、百箇所も集まると大変な違いになり、合わなくなった。

2012-01-02 00:03:41
花盗人 @nusubito_hana

43.「現場の業者が工事ミスをメーカーや東電側に伝えることはほとんどない。本当のことを言えば煙たがられ次から使ってもらえないから。当然過酷事故につながりかねない欠陥は放置される。菊地氏自身、六号機で重大な欠陥を見つけ、品質管理責任者に報告したが結局「安全性に問題なし」とされた」

2012-01-02 00:11:16
花盗人 @nusubito_hana

 44.もちろん、もっと程度の低いミスも多く見られる。「原発でも、原子炉の中に針金が入っていたり、配管の中に工具を入れたまま配管を繋いでしまったり、いわゆる人が間違える事故、ヒューマンエラーがあまりにも多すぎます。」

2012-01-02 00:14:49
花盗人 @nusubito_hana

45.設計者が行う安全性解析はソフトメーカー作成の安全性解析プログラムでシミュレーションするだけ、そのプログラム作製に際して想定されているモデルの範囲内のことしか教えてくれない。そのプログラム自体幾つかの更なる下請け孫受け作製のサブルーチンを数多く含み全体を見通すのは極めて困難

2012-01-02 00:23:51
花盗人 @nusubito_hana

44.原子炉暴走時の命綱と言われているECCSも、過酷事故に繋がりかねない状況を現実に作り出すわけにはいかないため、実際の実験でその働きを検証することは不可能、その信頼性はコンピューターによる模擬実験に依拠。ECCSで炉が最終的に守られているというのは一つのフィクション。

2012-01-02 00:27:35
前へ 1 2 ・・ 5 次へ