【二次創作な】「フロム・ネオサイタマ・ウィズ・ニンジャ」#4

ニンジャスレイヤー(@njslyr)の二次創作小説です。
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欺瞞動画の会社 @naclaqns

「フロム・ネオサイタマ・ウィズ・ニンジャ」#4

2012-10-29 12:47:48
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(あらすじ:ソウカイ・シンジケートのスパイニンジャである「サボター」は、重要人物「エニ・ジョーレン」の護衛任務に失敗。エニの身柄は武装革命組織イッキ・ウチコワシに奪われた。サボターは謎のニンジャ「モスキート」と手を組み、彼女の奪還を目指しイッキ・ウチコワシ秘密基地へと潜入する。)

2012-10-29 12:49:51
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(一方ソウカイ・シンジケートの首魁「ラオモト・カン」のオフィスにニンジャ「ダークドメイン」が襲来。ダークドメインは「ザイバツ・シャドーギルド」を名乗り、ラオモトとソウカイヤに宣戦を布告した。)

2012-10-29 12:51:50
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(あと、今回モスキートはあまり戦わない。プロット構成をミスったので次回になります。)

2012-10-29 12:52:33
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ネオサイタマ市境から北東におよそ一五〇キロ、イルマ廃基地はタマチャン・ジャングルの最中に位置している。先の電子戦争で一円の防空を担っていたこの基地は、大戦末期のウイルス・EMP複合攻撃によりネットワーク上から完全に切り離され、放棄された。今やその廃墟の存在を知る者も少ない。1

2012-10-29 12:59:44
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鬱蒼と茂るバイオバンブーとバイオパインが陸路を、新たな生態系の頂点に君臨するバイオスズメが空路を塞ぐ陸の孤島。だがそれは組織化されたアナキストにとっては理想のアジトだった。彼らは打ち捨てられた施設をツギハギ修復し、更にタマ・リバーによる水運での交通ルートを確立させたのだ。2

2012-10-29 13:04:04
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イッキ・ウチコワシの根城と化した廃基地、そして牙城に挑むスパイが二人。夜更けのタマ・リバーに浮かぶ二本のシュノーケルは、基地の船着場へと音も無く接近してゆく。彼らのニンジャステルス性は水中に潜む巨大ドジョウの耳目すら欺き、時折水面に投げかけられる漢字サーチライトを難無くかわす。3

2012-10-29 13:08:52
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「傾注!」「警戒!」互いに呼びかけ合う二人の歩哨。しかしその習慣めいたシュプレヒコールが、彼らにとって決して聞き逃してはならない水音をかき消した。直後、一人の頭部がフクロウのように一八〇度回転し、もう一人は首筋に刺さった何かを確認する間も無く永遠に意識を失った。インガオホー。4

2012-10-29 13:17:29
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代わって闇から現れたのは二人のニンジャ。彼らは潜水服を脱ぎ捨て、それぞれ本来の装束姿となった。大柄な一人はニンジャバトルスーツにタクティカルバッグ、頭部をロシア帽メンポで覆う。痩身矮躯のもう一人は緑のニンジャ装束にガスマスク、背部には試験管シリンダー。両者とも油断ならぬ風情だ。5

2012-10-29 13:24:01
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「ブリーミャ、まさかこの基地にまた来るとは思わないでした」「フィヒッ?サボター=サンは初めてではないのか、初耳だ」「戦争の頃の話ですね、随分昔です」「何にせよ土地勘があるのは素敵だ…して、どうするかね?」「私陽動する、モスキート=サン目標確保。ブリーフィングの通りです」6

2012-10-29 13:32:33
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サボターと呼ばれたニンジャは今更確認するまでもないという風に言った。これは実際理に適った作戦である。二人はそれぞれスパイニンジャではあるが、得意分野が微妙に異なる。サボターは名の通り破壊工作に長け、矮躯のニンジャ、モスキートは潜入あるいは隠密がその本分だ。合理的な布陣である。7

2012-10-29 13:42:30
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彼らの目的はこの基地に捕らえられたあるVIPの奪還だ。名はエニ・ジョーレン、ネオサイタマブディズム界の重鎮タダオ・ジョーレンの一人娘。サボターは課せられた任務を完遂するため、モスキートは欲望と誇りが等量ずつ入り混じった彼独自の信念のため、彼女を無事救出する必要がある。8

2012-10-29 13:49:36
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彼らは手早くIRCチャネルを同調させ合流地点を確認する。まるで年季の入ったバディのようだが、二人は同陣営に属しているわけではない。それどころかサボターにとってモスキートの正体は未だ不明である。利害の一致と互いのプロ意識だけがこのコンビを繋いでいる、しかしそれは強固だ。9

2012-10-29 13:56:06
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二人は音も無く散じ、再び闇の中へと紛れた。数十秒後、格納庫が炎を吹き上げ爆裂した。10

2012-10-29 13:57:13
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「我らザイバツ・シャドーギルドは、邪悪なるソウカイ・シンジケートの僭主、ラオモト・カンに対し宣戦を布告する」ダークドメインが至ってフラットな声でマキモノを読み上げる。対面のラオモトはオフィスチェアに深く腰掛け、暗黒メンポの奥に隠されたダークドメインの無表情を伺っている。12

2012-10-29 14:04:54
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「ムッハハハハ!ムッハハハハハハ!」ラオモトは仰け反るようにして笑った。「どこのネズミ共かは知らぬが…アイサツに来た事だけは褒めてくれる。して、ダークドメイン=サン。貴様はどうする?メッセンジャーボーイめいてこのまま帰るか?」「それはそちらの出方次第だ。俺の仕事は終わった」13

2012-10-29 14:11:51
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「ムッハハハ!何たる無欲!この首を持ち帰れば、ロード・オブ・何とやらも実際喜ぼうに!」「それでは面白くなかろう?ザイバツ・シャドーギルドはいきなりキングを取るような無粋はせぬ。着実に戦力を削ぎ、然る後王手をかける」「なるほど奥ゆかしいな。…キョート・ハイソサエティめいている」14

2012-10-29 14:19:50
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ダークドメインの無表情は微動だにしない、しかし瞳孔が僅かに開いた。ラオモトはそれを見逃さない。「図星だな。…貴様は実際重要な情報を漏らした、このまま帰ったのでは処罰は免れまい?どうだ、せめてワシの指一本なりとミヤゲにしなければ…グランドマスターだったか?その立場も危うかろう」15

2012-10-29 14:26:55
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やはり動じぬダークドメイン、その心中を見透かすかのようなラオモトの眼光。両者の間に横たわるタタミ三枚分の空間は、圧倒的アトモスフィアに歪み圧縮されてゆく。果たして最初に動いたのはどちらのイクサ・マニアクスだったか?いずれにせよ、抗争の火蓋は切って落とされた。16

2012-10-29 14:34:15
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「イヤーッ!」ラオモトはイスからそのまま飛び出すように床スレスレの低空突撃、同時に腰の二刀「ナンバン」「カロウシ」を抜き放つ!その姿は地を這う魔蝎の如し!「イヤーッ!」対するダークドメインは虚空に手をかざして超常の穴を開け、その暗黒の中から黒くスパークする奇怪な剣を引き出す!17

2012-10-29 14:42:02
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「イヤーッ!イヤーッ!」ラオモトのサソリバサミめいた横薙ぎがダークドメインのスネを狙う!非常識な底姿勢から繰り出される斬撃は実際対処し辛く、ダークドメインはバックステップでこれを回避する他無い!だがラオモトは突撃の勢いを緩めずピタリと張り付くように追い縋る!18

2012-10-29 14:50:25
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ラオモトの大きく開いた両腕はそれぞれカタナを水平に保持している。これは…サソリ・ニンジャクランに伝わる暗殺ケン・ジツの構えだ!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」左右からの間断ない攻撃は一瞬でも気を抜けば全身を切り刻まれる!ダークドメインは冷静に後退回避を続ける!19

2012-10-29 14:58:01
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ダークドメインが右手に握る剣は「アンタイ・ウエポン」である。禁忌の次元より召喚されたこの反物質兵器は、物体に当てると虫食いめいた穴を穿ち対消滅する。しかし彼はこのヒッサツの武器を使おうとはしない、何故ならラオモトのカタナが余りにもハヤイなのだ!ダークドメインは失策を悟る!20

2012-10-29 15:07:11
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もしそのアンタイ剣でラオモトのカタナを受ければ?アンタイ剣の体積はカタナのそれを僅かに上回る程度、それらはラオモトの手首から先を巻き込み対消滅するであろう。だがラオモトは二刀流、一方に対処すればもう一方のカタナが間髪入れず丸腰のダークドメインを襲う。簡単な詰めショーギだ。21

2012-10-29 15:11:23