通貨安競争から見る世界情勢について
- naganoteru
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【発端】
日米欧が通貨安競争に走っているからなのだろうけど、通貨危機のリスクを抱えているだけに、同じように金融緩和に走ることができないんだろうな。 → 「世界景気低迷にウォン高、苦境に立つ韓国経済」 http://t.co/gVdm6OuA
2012-10-29 12:17:23ウォンが弱いからこそ、ウォン高になっているのだけど。 → 「強いウォン」で明暗分かれる韓国企業 http://t.co/mJeUoxRh
2012-10-29 17:47:41【考察】
そうか、これまでは基軸通貨のドルだけが、世界で唯一、伝家の宝刀「弱いドル」という切り札を好きなタイミングで切っていたってことなのね。ユーロの誕生で、GDPでアメリカをしのぐユーロが「弱いユーロ」カードを切り始め、それに触発される形で日本もようやく「弱い円」カードを切り始めた、と。
2012-10-29 19:49:47ドルは、通貨安によって国内産業を守れるだけでなく、国際間決済がドルで行われるわけだから、ドル安によるデメリットは他の通貨よりも小さいよな。恐るべしだな、基軸通貨。
2012-10-29 19:53:30もしかして、そんな乱暴な手段が許されるのは、基軸通貨だけだという神話が、各国の金融当局にはあったのかもしれないな。基軸通貨は金の価値そのものだけど、その他の通貨は相対価値でしかないから。
2012-10-29 19:55:59けれど、ユーロの誕生でその神話が崩れた、と。国際的に十分重要で流通量の多い通貨であれば、通過安誘導をしたところで、ハイパーインフレを起こすわけでもなければ、通貨危機を招くわけでもないことが分かっちゃったわけね。
2012-10-29 19:58:33中国の影響もあるかな。通貨安誘導を長期間にわたってやっているという意味では、あの国もおんなじだから。もっとも、円やユーロと違って、超絶的なスピードで経済成長しているという前提での話ではあるけれど。
2012-10-29 20:05:14なので、ここではあえて元までが「事実上基軸通貨化した」とは言わないのだけど、もはや、円とユーロは、金融領域では基軸通貨も同然だよな。実物経済での取引がドル建てで行われているというだけであって、通貨の発行自体が国内産業保護とセットで価値を生んでいるわけだから。
2012-10-29 20:10:37もっとも、アメリカは、どんなに借金が増えたところで、最後は自国通貨を発行さえすれば決してデフォルトしないという意味では無敵なんだけどな。円やユーロは、どんなに信任されていようがそうはならない。裏返して言えば、信任されている範囲においてのみ、あたかも基軸通貨のように振る舞える、と。
2012-10-29 20:18:26でもって、円やユーロが信任を得続けるためには、自国経済の国際収支が安定していることが必要になる。なにもずっと黒字でなければならないわけではないのだけれど、ずっと赤字であることは許されない。そこが、ドルとの大きな違い。
2012-10-29 20:26:31幸いにして、日本やEUの経済には、国際収支を安定させられるだけのメカニズムが内在している。それは、両方とも、輸出産業を抱えているということ。日米欧の3極の豊かさはほぼ同じなので、輸出が好調であれば通貨高に、通過高になると輸出が不調に、輸出が不調になると通貨安がめぐってくる。
2012-10-29 20:30:41したがって、この「輪」から外れないことが決定的に重要になる。同じくらいの技術力、同じくらいの労働生産性、同じくらいの内需。そして、国内に「安全弁」としての輸出産業を抱えているということ。ひとたび日米欧の水準まで達してしまえば、あとはミスさえしなければ、構造的にその地位にいれる。
2012-10-29 20:36:48だからこそ、先日もつぶやいたとおり、中進国から先進国になるためのハードルって高いんだよなあ。なにせ競争相手の先進国たちは、「すでに豊かである」という圧倒的な競争優位の位置にいるわけだから。一挙に先進国並みのものを手に入れない限り、その仲間入りするのはとてつもなく難しい。
2012-10-29 20:41:04だから、後進国が中進国になるのは「順番待ち」の問題で、中進国が先進国になるのは「途方もない幸運」に恵まれない限りありえないんだよな。歴史や地理や文化といった、今生きている人たちの努力だけではどうにもならないようなものも含めて。
2012-10-29 20:43:28象徴的なのは韓国だけど、順番がめぐってきたことで順調に中進国まではたどり着いたのだけど、いつまでたっても先進国入りできない「万年新興国」がいかに多いことか。
2012-10-29 20:45:25ちなみに、かつて世界経済を支配したイギリス様は、今まさにその「輪」から滑り落ちようとしております。それはなぜか。イギリスは、「先進国永続メカニズム」の大前提である輸出産業を捨て去ってしまったからです。金融立国は、豊かになれるかもしれないけれど、永続性に問題がある。と思う。
2012-10-29 20:50:31ちなみに、日本もその「輪」から滑り落ちる懸念があって、その最大の原因は金融当局の円高放置。日米欧の「輪」は、同じくらいの経済力でときどき順番が入れ替わるくらいがちょうどいいわけで、円だけがひたすらに高いという状態は異常なのであります。輸出産業が空洞化してたらと思うとぞっとするわ。
2012-10-29 21:15:28現在の世界経済を見る限り、ドルとユーロと円だけが、自国通貨安を誘導しても大丈夫な国だと言えるわけです。対する新興国は、そういうわけにはいかない。彼らは、輸出産業の保護のために通貨安を誘導しようとすると、信任そのものが崩れ去り、経済の破たんに追い込まれる可能性があるからです。
2012-10-29 21:22:2090年代までのアメリカが、単独で「弱いドル」カードを切り続けていたのは、輸出(入)の競争相手がもっぱら日本とヨーロッパだったからなわけで、新興国が主たる競争相手となった今は、「弱いユーロ」カードだろうが、「弱い円」カードだろうが、切ることができてしまうわけです。
2012-10-29 21:25:42日本の国益という観点からは、この世界情勢を前提にすると、日米欧の先進国3地域が一緒になってあうんの呼吸で通貨安誘導をしていればいいのではないか、と思います。先進国の「輪」の中の地位の維持は、その獲得よりも簡単なわけですが、このあうんの呼吸は、その地位をさらに強固にしてくれるので。
2012-10-29 21:30:28自国経済の調子が悪くなってくると、申し合わせたように通貨安誘導を行い、発展途上段階にある新興国の輸出産業を叩く。物真似が得意な彼らが真似のできないことであるのをいいことに。そうしてさえいれば、日米欧はずっと豊かでいられる、と。チャレンジャーにハンデを課すやり口ではありますが。
2012-10-29 21:33:58逆の立場から見ると、元々、中進国から先進国の仲間入りをするためのハードルがむちゃくちゃ高いところへきて、先進国の連中がちょっと景気が傾いたくらいで公然と新興国叩きをしてくるわけなので、それはほとんどイジメと言ってもいいくらいに写っていると思うんですけどね。
2012-10-29 21:36:43