名古屋文芸創作 同時多発詩ツイート企画まとめ4(最終)
- k_escargot
- 2621
- 0
- 0
- 0
もしいつか君が敵になっても最後までわたしが許すから いっぱい歳をとって幸せといっしょに泡が消えるみたいに少しずつ世界を忘れていつかわたしも消えてしまっても その時はもう一度出逢えばいい きっと何度も逢えるから あの映画みたいに鳩を飛ばすから(剥離) #文芸空白
2012-10-30 15:29:10「『さみしい』と言うのだけが本物で、『好きだ』なんて言うものはこじつけです。」巻き戻されては繰り返すテープレコーダーの前、剥がれ落ちたのち、乾燥昆布みたいな遺体。(剥離) #文芸空白
2012-10-30 15:44:14窒息しそうに包まれた愛の隙間から顔を覗かせ、現実の風を感じる。怖い場所だよ、そう教え込まれた世界は鮮やかで、思わず手を伸ばす。突き刺すような痛みに驚き、身をよじると光の中へと落とされた。ここは今までと何かが違う、ただそれだけが分かった(剥離) #文芸空白
2012-10-30 16:19:40その日私はとても可愛らしい仔猫を拾いました。長い毛足に愛嬌のある顔をしておりました。私はその白く濁った瞳に手を伸ばしそっと其れを引き抜きました。そして瞳を宝物の様に両手で包み慈しんだ後、コクリと飲み込んだのです。至福を覚えた私の膝では仔猫が喉を鳴らしております。(剥離)#文芸空白
2012-10-30 16:59:30貴方は誰を待つのかしら。 甘い囁きかしら 低い溜息かしら 真っ黒の口紅かしら 真っ赤な眼差かしら 毒かしら 薬かしら 一枚一枚めくってみたら? 案外同じかも知れないわ。 (剥離)#文芸空白
2012-10-30 23:02:32皮膚を脱いで 脱いで 滲んだ色褪せを漂白剤に浸ける 洗濯物干場 靡くわたしの真っ白い皮膚(剥離)#文芸空白 http://t.co/O02IrXnX
2012-10-30 23:13:04塗装職人だった祖父は、下地作りから塗装まで、あらゆる壁に塗料を定着させる技を持っていたが、その壁だけはどうしてか、何度塗っても剥がれる箇所があり、この世のありとあらゆる塗料の剥がれ落ちる、色の無い壁があると云う。(剥離) #文芸空白
2012-10-30 23:17:07暁光を食べる蟲がいるらしく、朝を包む薄い膜がはらはらと落ちるのを、溶けるまえに食べ尽くし、腹がわずかに灯る頃、朝と夜の境界に向かい一斉に羽ばたくと云う。 蟲は百年生きると云い、暗い海に小さな灯りが落ちて来る百年目の朝を、むかし祖母と一度だけ見たことがある。( 剥離) #文芸空白
2012-10-30 23:18:16あれは僕だった 僕自身だった 肉を削り血で煮詰めた僕だった とても大切だから彼女にあげた ああ そっと掌に包まれていたら(剥離) #文芸空白
2012-10-30 23:34:18昨夜私は風呂場の樹海で臙脂のランドセルと遺影が映るテレビと食べ忘れた朝食を担いで改札を通った そこで脚の無い踊子と耳が無い兎を食べて蛍光灯を変えた どうやら満月の様で子宮が剥がれ落ちて河になった 私は泣くことすら出来ない 目が醒めたらまた違う世界で(剥離) #文芸空白
2012-10-30 23:42:54白昼夢へ戯れ言 無意味が傷跡に染みようと幾度も幾度も繰り返す 分離した意識へ飽きもせず投げ掛けるのは××しているから(剥離) #文芸空白
2012-10-30 23:44:33いつかわたしが白皮症の蝸牛か透き通らないクラゲかオブジェになる頃君は立方体になっている事でしょう 剥離を繰り返し全身をステリーテープで処置されて/左右の脚を縫合しましたから動物界軟体動物門腹足綱に 入れて下さい 入れて下さい (剥離) #文芸空白
2012-10-30 23:44:59僕の心は取り残されて ただ記憶だけが僕を苦しめる 疾うに脱ぎ捨てた筈の記憶は ただの一つも僕を赦してはくれない 忘れたい 忘れたくない どちらを選べば── 僕は笑って、前へ進めるのだろう (剥離) #文芸空白
2012-10-30 23:57:31さよならと つぶやくたびにはらはらと はがれおちてく なくなっていく (剥離)#文芸空白 #tanka #jtanka
2012-10-31 00:06:34とるえんの においのなかで ほうわした とけたほほえみ いまちにおちて (剥離)#文芸空白 #tanka #jtanka
2012-10-31 00:08:28わたしを離れ毎日生まれ変わる細胞。 日々再生を繰り返す。 何度も何度も打ち寄せては消える想い。 無くすばかりで増えぬのか。 欲しいのは…新たな道。 (剥離) #文芸空白
2012-10-31 00:21:21頑張れば頑張るほどに 君との距離が広がって 向き合えば話しあえば でも解決は見えず 互いに欲する安心も心地よさも もう与えあえないのか だけど諦めるわけにはいかない契約と 置き去りにした誰かの涙を見て 僕は僕を知る 頼り切りにしていたこと 君に不満を抱いたこと (剥離)#文芸空白
2012-10-31 00:22:20研ぐほどに剥がれる爪。 洗う度流れる皮膚。 留めておけない時間と貴方。 いつまでわたしの物でしょう。 引き剥がされる刻が近づく。 (剥離) #文芸空白
2012-10-31 00:28:04幼い頃の写真なら全部燃やしてしまいました。 私には過去がありませんので家族も踝という名の猫もおりませんし、時間と共に消えてしまう未来というものにも疎いのです。(剥離) #文芸空白
2012-10-31 00:48:59目が覚めたら全身は白く染まっていて頭に蝸牛を載せて喫茶店へ出掛ける アイスミルクにガムシロップ入れる派ですか?の刹那 視界から概念が剥離する/世界は錯覚 概念が下眼瞼から垂れ幕の様にだらんと垂れている 剥離した世界を眼球に 静かに戻す朝(剥離) #文芸空白
2012-10-31 00:53:31