キュヒョン長編 「Truth of Past」 #TOP #SJで妄想

キュヒョン長編 「Truth of Past」 #TOP #SJで妄想
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미* @umechan0110

76.お兄ちゃんが寝ていた形跡が残るベッドで、私はしばらくぼうっとしていた。思い出すだけで、顔が熱くなるのが分かる。駄目だよね…だって、お兄ちゃんなんだから。血の繋がった家族なんだから。だけど誰かにこんな感情を抱いたのは初めてで、困惑した。 #TOP

2012-11-03 22:27:04
미* @umechan0110

77.この感情を、どう扱ったらいいのか分からない。いろんなお兄ちゃんを知る度に、どんどん強くなって行くから…。「そうだ…」久々に、あそこへ行こう。私の、育った孤児院へ。先生や、みんなに会いに行けば、何かが分かるかな? #TOP

2012-11-03 22:28:14
미* @umechan0110

78.「ジョンス先生!」私は、懐かしい孤児院へ足を運んだ。先生は私がいた頃と変わらない笑顔で出迎えてくれて。「よく来たね~!すっかり、大人っぽくなって」「ちょっと…まだ、そんなに経ってないでしょ?」お兄ちゃんと居る時とは、また違った安心感があった。 #TOP

2012-11-03 22:29:39
미* @umechan0110

79.「それで、どうしたの急に」先生は部屋で暖かいお茶を出してくれて、向かいの椅子に座った。「お兄さんとは上手くやってるみたいだね」「どうして分かるの?」「分かるよ。小さい頃からずっと見て来たんだから…幸せそうな顔、してるよ」そう言って笑う先生を見て、さすがだと思った。 #TOP

2012-11-03 22:30:18
미* @umechan0110

80.「実は…その事で先生に聞きたい事があって」なんだか先生にこんな話をするのは、恥ずかしかった。でも私の周りに頼れる大人の人は先生しかいなかったから。「あのさ…先生、恋した事ある?」先生は少し驚いたような顔をしたけど、すぐに笑って「そりゃあ、あるよ」と答えた。 #TOP

2012-11-03 22:31:03
미* @umechan0110

81.「その時、どんな気持ちだった?その人とはどうなった?」「ん~…やっぱり、いつでも会いたいと思ったり、一緒に居るとドキドキしたり。先生が好きだった人は…この院を一緒に建ててすぐに天国に行っちゃったんだけどね」いけない事を聞いてしまった…思わず黙り込む。 #TOP

2012-11-03 22:32:11
미* @umechan0110

82.「はは、もう何年も前の話だよ。気にしないで…それで、君は…今、恋してるんだ?」そう、私は多分、恋をしてる。好きになってはいけない人を…。「先生、私…どうしたらいいのかな…いけない事だよね」血の繋がった兄を好きになるなんて、狂ってる。あってはいけない事だよ。 #TOP

2012-11-03 22:32:38
미* @umechan0110

83.「何言ってるの。人を好きだって思う気持ちに、間違いなんて無いよ」先生は腕を伸ばして、私の頭を撫でた。「でも…だって、絶対結ばれないのに…?」言葉にする事で、それがより一層悲しい事だと実感して涙が出た。「愛し方は、色々あるんだ。結ばれるだけが、愛じゃない」 #TOP

2012-11-03 22:33:20
미* @umechan0110

84.「その人の事を想って、幸せにしてあげようとする事も愛だよ。だから、悪い事じゃないんだ」止まらない涙を拭いながら、先生の顔を見ればいつもの笑顔があって。「そうかな…?」「そうだよ。そんな風に想える家族が居る事は、幸せな事だよ。お兄さんを、たくさん愛してあげればいい」 #TOP

2012-11-03 22:33:51
미* @umechan0110

85.「うん…分かった…」「ほら、泣かないで。知ってる?君の笑顔は、人を幸せにする事が出来る笑顔なんだよ」そう言われて、涙でぐしゃぐしゃの顔で精一杯笑った。私は、お兄ちゃんを幸せにしてあげられるかな?お兄ちゃんの為なら、何だって出来る気がするんだ。 #TOP

2012-11-03 22:34:51
미* @umechan0110

86.自分の気持ちに、正直に生きればいい。そうやって背中を押された気がした。「ありがとね、先生」「また、いつでもおいで。ドンへ達も、寂しがってるから」私には、いつでも帰って来られる場所がある。そう思えば、傷付く事なんかちっとも怖くなかった。 #TOP

2012-11-03 22:35:32
미* @umechan0110

87.「で、鑑定の結果…どうでした?」「…どうだったと思う?」ソンミンさんは笑う。そんな意味の無い問答は必要無いと、俺は軽く彼を睨んで無視した。「相変わらずつまんないな…結果、お前の正解だったよ。まあ、お前頭良いからな…間違いない位に調べ尽くしてから連れて来たんだろ」 #TOP

2012-11-03 22:41:08
미* @umechan0110

88.「まあ、そうですけど…確信を得たいじゃないですか」「そういうとこ、まだトラウマになってるんだ?」認めたくは無かったが、その通りだった。常にいつ殺されるか分からないという狂った状況の中、俺はソンミンさんたちと生き抜いて来た。「それで、お前これからどうするの」 #TOP

2012-11-03 22:42:24
미* @umechan0110

89.「どうもしないですよ。このまま、何事も無く過ごせたらそれでいい…」腕に残った傷を眺める。「それでいい?お前は、許されたいだけだろ」脳の奥がズキズキと痛むのが分かった。「償ってるつもりになってるだけだ…馬鹿馬鹿しい」本当にこの人は、人の古傷を抉るのが上手いと思った。 #TOP

2012-11-03 22:43:48
미* @umechan0110

90.「ソンミンさんこそ、いつまで組織の裏で生きるつもりですか…そんな腕があるのに」俺は嫌だった。昔の彼を、良く知っていたから。「…俺の腕は、人を殺す手だ。人を救う手じゃない」「貴方はそうやって逃げてるだけだ」「違う…黙れ」またいつものように、銃口を向けられると思った。 #TOP

2012-11-03 22:45:05
미* @umechan0110

91.だけど久々に昔を思い出すような話をしたからか、そんな気では無かったらしい。「…俺はもう、金しか信じない」冷たく言い放って、部屋から出て行った。俺はソンミンさんの残した鑑定書を眺めて、手を握り締めた。やっぱり、彼女はそうだった。俺に、彼女を幸せにする権利があるのか? #TOP

2012-11-03 22:46:42
미* @umechan0110

92.そんな事を思ったが、もう、ここまで来てしまった。いくら真実を誤魔化しても、出来る事をやるだけだ。最後に俺だけが不幸になったって構わない。むしろ、そうなるべきだ。そう考えると、今自分のしている事が全く無意味に思えた。そう、俺は、許されたいだけだ。 #TOP

2012-11-03 22:47:50
미* @umechan0110

93.今夜も俺は、彼女の待つ家へ帰る。少し位、俺も幸せを感じてもいい筈だ…そう自分に言い聞かせて、俺は事務所を後にした。 #TOP

2012-11-03 22:48:07
미* @umechan0110

94.お兄ちゃんと過ごすようになって、気付いた事がある。それは、自分の気持ちを偽るのはとても難しいという事。今まで私はたくさん先生から愛を貰ってきたし、ヒョクチェやドンへからもそうだった。それと同じくらい、私も彼らを純粋に大切にしていた。 #TOP

2012-11-04 22:11:58
미* @umechan0110

95.怒られた事もたくさんあるし、怒った事だってもちろんある。そしてそれと同じ位に家族として過ごす大切な人として接して来た。だけど今私は、お兄ちゃんに対して別の感情を抱いてしまっている。それを気付かれずに過ごす事は、とても難しかった。 #TOP

2012-11-04 22:12:51
미* @umechan0110

96.それでも先生が背中を押してくれて、彼を大切にすればいいと教えてくれたから。私はその通りに生きよう、そう思っていた。「やっぱり、整理してあるか…」その日私はなんとなく。ただなんとなく、初めてお兄ちゃんの部屋の掃除でもしようと思っただけだった。「何だろう、これ」 #TOP

2012-11-04 22:15:07
미* @umechan0110

97.きちんと整理された本棚の上に、不自然に置いてあったのは古い新聞記事だった。「20年も前の…」自分でそう呟いた瞬間、胸がざわつく。「もしかして、これ…」震える手で新聞を開けば、大きく載っている交通事故の記事。読まなくたって分かる。これは、両親が亡くなった時の物… #TOP

2012-11-04 22:16:44
미* @umechan0110

98.そこには、大きく【衝突事故】と書いてあった。初めて自分の目で見る両親の死亡事故の記事。心臓がぎゅっと締め付けられる思いがした。「車2台が衝突…」相手方の車に乗っていた夫婦も亡くなったんだ。新聞を持つ自分の手が、どんどん温度を失って行く。 #TOP

2012-11-04 22:17:43
미* @umechan0110

99.【郊外で乗用車2台が衝突】【運転席、助手席に乗っていた夫婦は既に死亡しており…】どうして私達を置いて、先に行っちゃったのかな。どうして衝突事故なんて起きたのかな。私とお兄ちゃんは良く、こんな大きな事故の中死なずに済んだな…。今私達が生きている事自体、嘘みたいだ。 #TOP

2012-11-04 22:19:14
미* @umechan0110

100.そして、私の思考は完全に停止する文章を見た。「え…なんで…」心臓の音が聞こえそうだ。【後部座席に乗っていた女児は奇跡的に無傷で…】待って…この記事おかしいよ…。【調べによると、女児は亡くなった夫婦の一人娘で事後、引取り手が無く孤児院へ預けられ…】ねえ、なんでよ… #TOP

2012-11-04 22:20:10
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