キュヒョン長編 「Truth of Past」 #TOP #SJで妄想

キュヒョン長編 「Truth of Past」 #TOP #SJで妄想
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미* @umechan0110

51.今更になって、ここに来た日にお兄ちゃんが『誰が来ても開けるな』と言った事を思い出した。「で、キュヒョナは?」「いないです…誰ですか…!」そのままリビングまでずかずかと入り込んで、部屋の中を見回していた。「そうか…あいつ、今は仕事か…」ぶつぶつと小さく呟く。 #TOP

2012-11-01 22:24:33
미* @umechan0110

52.「で、お前が例の妹?」今度は振り向いて近付いて来ると、そのまま乱暴にソファに押し倒された。「や、…!」「暇だったから来てみたけど…へえ、結構可愛いんだね?」首に手を掛けられて、恐怖で息が出来なかった。その人は、指一本で的確に喉の苦しい部分を抑えて来て。 #TOP

2012-11-01 22:26:02
미* @umechan0110

53.助けて、お兄ちゃん…心の中で、必死に叫んだ。一瞬で恐怖を植え付けられて、狂ったような瞳に支配される。「ソンミンさん!!」殺されるかもしれない。そう思った瞬間に、聞き慣れた声と一緒に体の上の重圧が消えて。気付けば、お兄ちゃんに抱きかかえられていた。 #TOP

2012-11-01 22:27:40
미* @umechan0110

54.「何してるんですか!」「何って…お前が頼んで来たんだろ?」「違います、こんな事…」無意識にお兄ちゃんにしがみ着いて震える体を抑えた。突き飛ばされた体勢を整えながら、ソンミンと呼ばれた人はつまらなそうに私の瞳を捉える。「…少しふざけただけだよ」そして、妖しく笑った。 #TOP

2012-11-01 22:28:32
미* @umechan0110

55.「ふざけないで下さい…」「怒ってるの?つまんないなぁ」彼が言った、お前が頼んで来たという言葉が引っかかったけど、それよりも今は恐怖の方が大きくて。震える私の背中を優しくさするお兄ちゃんの手を、黙って感じていた。「まあいいよ…キュヒョナ、今日はもう帰る」 #TOP

2012-11-01 22:29:35
미* @umechan0110

56.「また会おうね」玄関を出る直前、またソンミンさんは冷たい狂った瞳で私を見つめた。「…大丈夫?」しばらくお兄ちゃんに抱き締められて、あまりの安心感に泣いてしまった。「怖かった…」「だから、開けるなって言っただろ」「…ごめんなさい」「無事で良かった」 #TOP

2012-11-01 22:30:28
미* @umechan0110

57.嫌な予感がして、帰って来たんだとお兄ちゃんは言った。「あの人は…俺が昔からお世話になってるソンミンさんっていうんだけど…少し変わった人なんだよ」ソファに私を座らせて、飲み物を差し出す。「元医者なんだ」だからあんなに的確に、息が出来ない場所を抑えて来たんだ…。 #TOP

2012-11-01 22:31:26
미* @umechan0110

58.さっきまでの感触が残っている喉をさすった。「すごく腕の立つ医者だったけど…辞めてから本人は追放されたって言って、それ以外は何も教えてくれない」ゆっくりと横に座って溜息を吐く。「お兄ちゃんが…あの人の事呼んだの?」あんな怖い体験をしたのは初めてだった。 #TOP

2012-11-01 22:33:52
미* @umechan0110

59.「ああ、ちょっと仕事で頼んだ事があったんだけど…まさか、こんな事になるとは思わなくて」首元をさする私の手に自分の手を添えて「ごめん…怖い思いさせたよな。もう少し、注意しておけば…」と撫でてくれた。「お兄ちゃんが来てくれて、よかった」目が合って、自然と顔が近付く。 #TOP

2012-11-01 22:34:57
미* @umechan0110

60.余りにも距離が近くて、心臓がさっきとは違う感情で大きく跳ねた。「……」思わず目を瞑ると、頭に優しくキスをされた。「ごめん」小さく謝るお兄ちゃんの声。まさか、唇にキスをされるかもなんて考えてしまった自分が恥ずかしくて俯く。兄妹なのに、何考えてるんだろう。 #TOP

2012-11-01 22:37:15
미* @umechan0110

61.だって余りにもソンミンさんが訪ねて来た事が恐ろしくて、そこへ助けに来てくれた時の安心感が自分でも驚く程大きかったから。「また仕事戻るけど…今日は、早く帰って来るから」自分の中が、どんどんお兄ちゃんでいっぱいになってくよ。「うん…待ってる」これは、いけない事だよね? #TOP

2012-11-01 22:38:04
미* @umechan0110

62.その日お兄ちゃんは本当に、早くに帰って来てくれた。私はまだ恐怖が抜けず、一緒に寝たいとわがままを言った。「本気で言ってるの?」「うん…やっぱり、だめ?」困ったような、照れたような顔をしながらお兄ちゃんはいいよと答えた。 #TOP

2012-11-01 22:41:18
미* @umechan0110

63.シングルのベッドは当然二人で入れるサイズには設計されていない。私たちは、遠慮がちに寄り添って布団に包まった。「寒くない…?」「大丈夫…お兄ちゃん、今日はあったかい」照れてる顔を見られたくなくて、お兄ちゃんの胸元に顔を埋めれば優しく抱き締めてくれて。 #TOP

2012-11-01 22:42:08
미* @umechan0110

64.お兄ちゃんと一緒に居る幸せが鼓動を早くさせた。「どうしたの?」「ごめんなさい…なんか、緊張しちゃって」耳を澄ませれば、お兄ちゃんの心臓も驚く程大きく動いていた。「お兄ちゃんも?」そう言って顔をあげれば、少しねと照れながら笑う。それだけで胸がぎゅっと締め付けられた。 #TOP

2012-11-01 22:42:51
미* @umechan0110

65.「あのさ、私…お兄ちゃんの事、大好きだよ」不器用な優しさとか、たまに見せる笑顔とか。全部が、不思議なくらい嬉しくてたまらない。「…早く寝ろ」お兄ちゃんは私の言葉には返事をせずに、後頭部を抱き寄せて言った。それが肯定を意味する事を、私は知っていた。 #TOP

2012-11-01 22:43:27
미* @umechan0110

66.「うん…おやすみなさい」「おやすみ」最初は心臓がうるさいくらいに鳴っていたのに、それとは比べ物にならない程の安心感に包まれて私は眠った。次の日の朝、目を覚ませばそこにはもうお兄ちゃんは居なくて。いつもだったら必ず気付くのに、それ位深い眠りに就いていたようだった。 #TOP

2012-11-01 22:44:05
미* @umechan0110

67.俺が目を覚ました時、隣では妹がぐっすりと眠っていた。腕枕をゆっくりと外し、起こさないようにベッドから降りる。「…お前の事、幸せにするからな」自分に言い聞かせるようにして、閉じている目から伸びる長い睫毛を見つめた。「行ってきます」そして、彼女の額にキスをした。 #TOP

2012-11-02 22:18:35
미* @umechan0110

68.彼女と過ごすようになってから、生活にまるで色が付いたようだった。今まで誰からも必要とされずに暗闇を生きて来た自分には、余りにも眩しすぎる彼女を初めは直視出来なかった。それでも、だんだん心の中に入って来る彼女を拒む事なんて出来なくて。 #TOP

2012-11-02 22:20:05
미* @umechan0110

69.むしろそれが、一種の生きる喜びのような感覚に変わって来ているのは紛れもない事実だった。俺には、彼女を幸せにしなければいけない義務がある。例え嘘を吐いても、裏切ったとしても…。「ソンミンさん…何で昨日、あんな事したんですか」仕事場に現れた彼の目を見ずに言葉を発した。 #TOP

2012-11-02 22:21:44
미* @umechan0110

70.「ふふ…まだ怒ってたんだ。ふざけただけって言ったでしょ」椅子に腰掛けてテーブルに脚を乗せる彼は、楽しそうに笑っていた。「あそこまでしろなんて言ってない筈です」「は?お前にそこまで指図される覚えなんて無い」本当に冷徹な人だと改めて感じる。 #TOP

2012-11-02 22:24:20
미* @umechan0110

71.「大体、俺はキュヒョナの依頼で動いたんだよ…分かってる?」見下したような視線に、息が詰まりそうだ。「お前がDNA鑑定しろなんて言うからさ…わざわざ取りに行ったんだろ」ソンミンさんは、猟奇的に笑う。「だから首の皮でも穿いでやろうかと思ってさ」 #TOP

2012-11-02 22:25:45
미* @umechan0110

72.「本当に貴方は…こんな思考を持った医者が居たなんて、世も末ですね」皮肉を込めて言えば、ギロリと睨み付けられる。「黙れ…殺すよ」胸元から銃を取り出して、こっちに向ける。「…冗談ですよ。結果が出たら、また連絡下さい」「可愛くないな、キュヒョナは…金、振り込んでおけよ」 #TOP

2012-11-02 22:28:08
미* @umechan0110

73.本当にソンミンさんは、昔から掴めない人だ。残酷で猟奇的で、金次第で話の分かる人だったけれど。小さい頃から何かと世話になっていたが、危険な人だという事に変わりは無い。俺はきっと死ぬまで闇から抜け出せない。抜け出していい訳が無い。俺のせいで、不幸になった人がいるから… #TOP

2012-11-02 22:29:48
미* @umechan0110

74.真実を彼女に知らせる勇気なんて無かった。ただ、幸せにしてやらなければと思う気持ちが強すぎて、その為に必死に生きてきたから。必死で勉強して、必死で稼いで、必死で調べ尽くした。どんな汚い手だって使った。ずっと、探してたんだ。なのに俺は…彼女に幸せを貰うばかりだった。 #TOP

2012-11-02 22:33:01
미* @umechan0110

75.今夜も彼女はきっと、夕飯を用意して俺の帰りを待っている。自分を待つ人がいるという幸せを、毎日ひしひしと感じた。自分の心を抑えて過ごすのは、中々難しい事だと思い知る。駄目だ、絶対。こんな感情は、抱いたらいけないんだ。好きになんて、なっていい筈が無かった。 #TOP

2012-11-02 22:34:32
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