みきさま超大作「奏」まとめ

みきさま(@umechan0110)の超大作 #奏 まとめ。 BGMは「奏」
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미* @umechan0110

1.「キュヒョナ、もうすぐ本番だよ」トゥギヒョンの声にはっとした。「はい」俺は今でも歌を歌っている。どうか、聴こえますように…心の中でそう呟いて、ステージへ向かう。君が悲しくならないように、歌い続けると決めたんだ。だってこれは、君と繋がる唯一の手段だから。 #奏

2012-09-17 19:25:55
미* @umechan0110

2.三ヶ月前。「キュヒョン、そっち持って!」彼女とは、もう出会ってから随分経つ。「急に部屋の模様替えとか…めんどくさいよ、俺業者じゃないんだけど?」「いーから、黙って手伝う!!」「分かったよ…」恋人になってからも、気付けば長い月日が経っていた。隣に居て、当たり前の存在。 #奏

2012-09-17 19:27:42
미* @umechan0110

3.「終わったらご褒美にご飯奢ってあげるから」「それよりゲーム付き合って」お互いの事はなんでも知っていたし、分かっていた。「えー…」「じゃあ手伝わない」「うそだよ!付き合うから早く手伝ってー」そのうち活動が落ち着いたら、結婚しようなんて話もしていて。幸せな未来が見えてた。 #奏

2012-09-17 19:30:46
미* @umechan0110

4.キュヒョンの隣は、居心地がいい。少しひねくれ者だけど、優しい人。「今度の休み、どこ行く?」「海が見える所!!」「お前、ほんと海ばっかり」笑う彼を見ると、心が安らぐ。「いいじゃん、好きなんだもん」彼が私を支えて、私が彼を支える。今までずっとそうやってきた。 #奏

2012-09-17 19:36:57
미* @umechan0110

5.何気ない事で笑いあって、下らない事で喧嘩して。当たり前のように、これがずっと続く物だと思っていた。「あ、ごめんちょっと…立ちくらみ」「また?最近多いよ」ソファに座り込む私の顔を心配そうに覗く。最近、体の様子がおかしかった。体調が優れない日ばかりだ。 #奏

2012-09-17 19:43:02
미* @umechan0110

6.「明日病院行けよ」「うん…そうする」誰かが言っていた。幸せを作るのは大変だけれど、幸せを崩すのは一瞬だと。「ちょっとキュヒョン、心配しすぎ!」気付かないフリをして、彼を笑った。そうだ。幸せなんて物は、いとも簡単に崩れて行く。時には、自分の意思と関係無く。 #奏

2012-09-17 19:45:47
미* @umechan0110

7.「え…」次の日、医師の言葉を聞いて頭が真っ白になった。「冗談…じゃないですよね」目を合わせずに首を振られ、唐突に、冷静に理解をする。「ありがとうございます」診察室を出て、床に座り込んだ。『もって三ヶ月ですよ』幸せは、いとも簡単に崩れて行く物だ。だって私は、もうすぐ死ぬ。 #奏

2012-09-17 19:55:11
미* @umechan0110

8.最近、彼女は宿舎に遊びに来なくなった。模様替えした部屋が気に入っているからと言っていたけど、それが嘘だという事は簡単に分かる。「ちゃんと飯食ってんの?」「え?食べてるよー、なに急に!」電話越しの声がやけに明るくて虚しかった。気付いてる?お前、会う度に痩せてるんだよ。 #奏

2012-09-17 19:56:36
미* @umechan0110

9.私は、これからどうしよう?茫然と、ベッドに横になって考えてみる。もちろん、答えはみつからなかった。「あ…」彼からのメール。『今日、お前の家行っていい?』会いたいよ。会いに来てよ。そう返そうとしても、指が動かない。本当にこれでいいの?このままじゃ私は、彼を傷付ける。 #奏

2012-09-17 20:08:15
미* @umechan0110

10.「どうしたの急に。キュヒョナと喧嘩でもした?」どうしようもなくて、キュヒョンに合わせる顔もなくて。何故か私は、イトゥクさんを呼んだ。「あの…お願いがあって」「なんでも聞くよ。それより…痩せた?顔色悪いよ」彼が慕っているこの人なら、託せると思ったからかもしれない。 #奏

2012-09-17 20:16:25
미* @umechan0110

11.「えっと…その、キュヒョンの事…よろしくお願いします」イトゥクさんの顔が曇ったのが分かった。「どういう意味?」「…お願いします」私はただ、それしか言えなかった。死ぬという事は、キュヒョンと離れるという事だ。彼を、独り置いてなんていけない。 #奏

2012-09-17 20:27:11
미* @umechan0110

12.「何があったかは聞かないよ。でも、ちゃんとキュヒョナと話した?」俯いて首を振った。「駄目だよ、それは。君の恋人は、キュヒョナなんだから…勇気出して、話してごらん」イトゥクさんの声はとても穏やかで、まるであやされているようで。「無理です…」堪らず、涙が溢れた。 #奏

2012-09-17 20:31:59
미* @umechan0110

13.その時、玄関の外から足音が聞こえた。それが彼だと、すぐに分かった。「いるの?開けるよ」ノックの音と共に、扉が開く。私は咄嗟に玄関に走って、開きかけた扉を押し返した。「ちょっと…何なの」苛ついた彼の声。「…来ていいなんて、言ってない」私は、声も手も震えていた。 #奏

2012-09-17 20:38:54
미* @umechan0110

14.「ていうか何でトゥギヒョンが居るの?お前何してんの」後ろでイトゥクさんが困った表情をしている。当たり前だ。「ほっといて…」声を絞り出すのが精一杯だ。「は?いいから開けろ」「嫌」「開けろって!!」強く扉を開けられてよろける。突然、眩暈がした。 #奏

2012-09-17 20:50:57
미* @umechan0110

15.そのまま、立っていられなくなって床にうずくまってしまった。「おい…!」焦るキュヒョンとイトゥクさんの声が脳に響く。何度も、私の名前を呼ぶ彼の声が聞こえた。苦しい。息が上手く出来ない。『キュヒョン、ごめんね』心の中で呟いて、私の意識は飛んだ。 #奏

2012-09-17 20:57:05
미* @umechan0110

16.ベッドで眠る彼女を見つめながら、いろんな思いが溢れた。トゥギヒョンと、何してたの?何で俺に言わなかった?お前本当に、病気なの…?「そんなの、駄目だ」信じられない。握り締めた掌でさえ痩せたみたいだ。離してしまったら、このまま消えてしまう気がして。頬を、涙が伝った。 #奏

2012-09-17 21:10:37
미* @umechan0110

17.このまま目が冷めなかったらどうしよう。そんな事を考えたら、涙が止まらなかった。彼女が俺の前から去るだなんて思いもしなかった事で。それもあまりに唐突だ。どうして、彼女が…いっそ、俺だったら良かったのに。だって俺は、彼女が居なくなってしまったら、もう二度と笑えもしない。 #奏

2012-09-17 21:23:03
미* @umechan0110

18.夢を見た。キュヒョンが私の手を強く握っている。でも私の体は勝手に動いて、それを振りほどいて離れて行く。どんどん遠くなる彼。私を呼んでる。たくさん、たくさん。その声で、私の体は止まった。駆け寄って、抱き締められる。もう一度名前を呼ばれた。そこで私は、目を覚ました。 #奏

2012-09-17 21:29:36
미* @umechan0110

19.「…キュヒョン、」重い目を開くと、そこは病院で。キュヒョンは、私の手を握って歌っていた。ああ、そうか。きっと私はこの声で、意識を取り戻したんだ。「…寝すぎだよ、馬鹿」苦しそうに笑う彼の目は腫れていた。「ごめんね」私も、精一杯笑った。やっぱり、ずっとあなたと居たいよ。 #奏

2012-09-17 21:34:49
미* @umechan0110

20.目を覚ました彼女を見て、全ての緊張の糸が解けたみたいだった。彼女はまだ生きて、俺の目の前にいる。「謝らなくていい」もう、それだけで十分だった。「だからもう、心配かけるな…」彼女は、もう一度小さくごめんと言って笑う。俺に、事実と向き合う覚悟はあるのかな。 #奏

2012-09-17 21:42:08
미* @umechan0110

21.俺と楽しそうに話す彼女を見て、やっぱり信じられなかった。「さっき先生が、すぐに退院出来るって言ってた」「ほんと?よかったぁ」そしたら、海に行こうなんて話をして。ちゃんと向かい合って話せなかった俺を許して。言葉にしてしまったら、全てが崩れる気がしたんだ。 #奏

2012-09-18 21:04:01
미* @umechan0110

22.退院した彼女を家まで送って、仕事のために宿舎に戻る。洗面所で顔を洗い、鏡の中の自分を見て驚いた。まるで、死んだような顔。何もかもがどうでもよく思えた。どうして、彼女が?なんで、彼女が?これから先、自分独りで生きる世界は真っ暗だ。それなら、俺も彼女と一緒に…。 #奏

2012-09-18 21:06:29
미* @umechan0110

23.本気でそうしようと思えた。彼女と一緒に俺も消えよう。そう考えていると、後ろから声がした。「キュヒョナ、お前…なんて顔してるんだ」トゥギヒョンだ。ヒョンも病院で、一緒に話を聞いた。どうせ、ただ可哀想だと思ってるんだろ?「お前が何考えてるか…すぐに分かるよ」 #奏

2012-09-18 21:13:58
미* @umechan0110

24.「ほっといて下さいよ」「当ててやろうか?」「…うるさい」「お前、彼女と一緒に死ぬ気だ」怒りが込み上げて、思わずヒョンの胸倉を掴んだ。俺の何が分かるっていうの?「…ほら、やっぱり」「やめて下さい…殴られたいですか」「お前を必要としてる人はたくさんいるんだぞ」「関係ない」 #奏

2012-09-18 21:21:14
미* @umechan0110

25.「関係あるよ。お前は、自分の事しか考えてない」「ヒョンこそ、俺の事なんか全然…」そこまで言って、突然頬が熱くなった。「痛…」殴られたと気が付くのに、少し時間がかかった。「弟に手なんか出して、俺は最低のリーダーだよ」こんなに怒ったヒョンの顔を見るのは、久しぶりだ。 #奏

2012-09-18 21:28:40