みきさま超大作「奏」まとめ
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미*
@umechan0110
51.「キュヒョン、泣きそうな顔してるよ」「…お前こそ」「せっかく祝ってあげてるのに！」「ごめん」お互いに涙を堪えている顔を見て、可笑しくなって笑いあった。「私ね、安心した」「何が？」「キュヒョンには、素敵な仲間がいるから」「そう？」「そうだよ…だから大丈夫だよね」 #奏
2012-09-19 23:23:22
미*
@umechan0110
52.何が大丈夫なの、その言葉は喉に詰まって消えた。何が言いたいか分かるよ。俺と離れる為の、準備。不安そうにしている彼女はもう居なかった。「お誕生日おめでとう。幸せになってね」その夜腕の中で眠る彼女を、飽きる程見つめて眠りに就いた。彼女の部屋で過ごす、最後の夜だった。 #奏
2012-09-19 23:33:34
미*
@umechan0110
53.次の日、彼女の容体は急変した。苦しそうな声で目を冷まして、心臓の音が聞こえそうな程鳴っていたのを覚えてる。「ごめんね、心配した？」「当たり前だろ…」一命は取り留めたようだったが、そのまま病院から出られない日々が続いた。病状が悪化していくのが、目に見えて分かる。 #奏
2012-09-19 23:40:38
미*
@umechan0110
54.現実を思い知らされたようだった。「足音で、キュヒョンが来たって分かるよ」毎日病院に行く度に嬉しそうにする彼女を見ているだけで胸が締め付けられる。次第に彼女は歩けなくなり、物を上手く掴めなくなった。そして最後には…思うように話せなくなった。 #奏
2012-09-19 23:48:31
미*
@umechan0110
55.日を重ねるごとに、終わりが近付いている事が手に取るように分かった。今までに味わった事の無い、命が消えて行く感覚。毎日隣で歌ってくれるキュヒョンの声を、しっかり耳に刻んだ。「ありがとね」口を上手く動かせなくなってしまったけど、謝る数より、感謝する数が増えていった。 #奏
2012-09-20 23:24:25
미*
@umechan0110
56.だって、いつこの口で言葉を紡げなくなってしまうかも分からなかったから。今のうちに、たくさん伝えておきたいよ。私と出会ってくれてありがとう。私を大切にしてくれてありがとう。私は幸せだよ。キュヒョンの歌声があれば、孤独も不安も消えて行くから。 #奏
2012-09-20 23:24:34
미*
@umechan0110
57.謝りたい事は、たくさんあった。だって、残される方が辛いに決まってるよね。でも私は信じてる。あなたには素敵な仲間がいるでしょ？だからきっと大丈夫。歌い続けるよね？私が居なくなってしまっても。前を向いて歩いてね。私は、先に遠くへ行くよ。 #奏
2012-09-20 23:24:44
미*
@umechan0110
58.俺が歌うと、いつも彼女は幸せそうに目を瞑る。俺の声、忘れないでね。いつだって俺は、お前の為に歌うから。「外出許可、貰って来たよ」彼女が宣告を受けてから、もうすぐ三ヶ月だった。その頃には話せなくなってしまった彼女は、こくりと小さく頷いた。 #奏
2012-09-20 23:25:13
미*
@umechan0110
59.もう分かってたんだ。普通ならこんな状態で外出許可が降りるわけが無い。もうこれが本当に、最後だからだ。「海の見える所に行こう」最後に必ず行くと決めていた場所。彼女が、大好きな場所だった。車椅子を押す自分の手は、驚く程冷たかった。 #奏
2012-09-20 23:26:26
미*
@umechan0110
60.「着いたよ…ほら、見える？」少し久しぶりに来る海辺は、季節を変えてまたいつもとは違う風景に見えた。この時期に来たのは、初めてだっけ…「綺麗だね」隣を見ると、彼女は静かに泣いていた。それが嬉しいからなのか、悲しいからなのか、分からなかった。 #奏
2012-09-20 23:26:34
미*
@umechan0110
61.この景色を、良く見ておいて。2人で何回ここに来た？数え切れないくらいの思い出があった。「もう、泣くなよ…」明るく見送るはずだったのに、どうしてだろう。俺は今、上手く笑えてる？「お願い、笑って…」彼女の涙を、指でそっと拭う。これで本当に、最後だよ。 #奏
2012-09-20 23:26:45
미*
@umechan0110
62.久々に見るこの景色はまだ春が訪れる少し前で、肌寒かった。記憶の全てを呼び起こしてキュヒョンとの思い出を探せば、胸がいっぱいになって涙が止まらなかった。最後にあなたとここに来られてよかったよ。私は、世界で一番幸せだね。伝えたい言葉は、たった一つだけだった。 #奏
2012-09-20 23:27:16
미*
@umechan0110
63.彼女の手を握って、俺は歌った。お前が、一人でも旅立てるように。涙声になってしまっているけど、ちゃんと聞こえてる？この景色と一緒に、俺の歌声も焼き付けて欲しいんだ。歌の最後、俺は彼女の前に跪いて、両手を握り直した。「ありがとう…」そして、長い長い口付けをした。 #奏
2012-09-20 23:27:40
미*
@umechan0110
64.この瞬間が永遠に続けばいいのに。ゆっくり目を開いて唇を離すと、彼女は綺麗な涙を流しながら微笑んだ。『ありがとう』唇が、そう動いたのが分かった。そのまま、海風を浴びて気持ち良さそうな顔をしながら、彼女は目を閉じた。お互いに知っている。この瞼が、二度と開かない事を。 #奏
2012-09-20 23:27:48
미*
@umechan0110
65.分かっていたけど、永遠の別れは突然やって来た。あのまま病院に戻り静かに眠る彼女の手を握っていた時だった。冷たい機会音が響き、彼女の命の終わりを告げる。焦る俺の手から、彼女の手がゆっくりと滑り落ちた。「待って、」目の前に居るはずの彼女が、離れて行くのが分かった。 #奏
2012-09-20 23:27:59
미*
@umechan0110
66.夢中で彼女の名前を呼んで、抱き締めた。強く、強く。おかしいくらい涙が溢れる。もう行ってしまうんだね。さよならなんて言わない。お前にもらった言葉を、そのまま返すよ。「ありがとう…」だから、安心して旅立って。お前がどこに行ったって、俺の声で守るよ… #奏
2012-09-20 23:28:25
미*
@umechan0110
67.「キュヒョナ、ソロ曲決めた？」あれから少しの時が過ぎ、俺達は日本での単独公演を控えていた。「はい、大丈夫です」お前が居なくなって、まるで胸にぽっかりと大きな穴が空いたみたいだ。それでも、約束したから。お前の為に、歌い続けると。歌う事で、繋がれている気がするんだ。 #奏
2012-09-20 23:28:31
미*
@umechan0110
68.お前と出会って、俺の何もかもが変わったんだ。俺の人生も歌声も、お前が輝かせてくれた。「ありがとう…ちゃんと、聞いてろよ」一人で小さく呟いた言葉は、ヒョン達の耳には届かず消えて行く。まるで、お前と俺みたいな曲を見つけたんだ。この曲なら、遠くにいるお前にも聞こえるかな？ #奏
2012-09-20 23:28:42
미*
@umechan0110
69.お前への抑え切れない気持ちを、この歌に乗せて。これからも俺は歌い続けるよ。どうか、遠くにいるお前まで、届きますように。俺が歌い続ける限り、俺たちは繋がって行ける…「ありがとう…ずっと、愛してる」 -END- #奏
2012-09-20 23:28:49