大石繁宏先生講演会(2012.11.1 第14回CAPSインタラクション研究会)
さっきの主観的幸福感はラダーでとったやつでしたので人生における達成感みたいなもの.では「国民の日々の楽しみ」との相関ならどうか.こちらはR=.44ちょい下がります.
2012-11-01 15:57:49では「人生の意味」と国民一人あたりのGDPの相関はどうか.これは実は負の相関なのです.日本はめっちゃ低いです.クイズ形式で挙手させて「皆さん間違いです」っておっしゃいましたけど用意された選択肢にそもそもマイナスのがなかったぞw
2012-11-01 16:00:03日々の楽しみについてはソーシャルサポートの程度,人生の意味については宗教意識との方が,経済的に豊かであることよりも相関が高い.
2012-11-01 16:03:13次のお話.自由な国の国民は幸せか?イングルハートら(2008PPS)のデータを紹介.まあおおむね自由な方が幸せ.共産主義の国は低い.
2012-11-01 16:05:16さらっと流れる.じゃあ平等,公平な国は幸せか?ロウルズの議論によればそのはずだが,国家の「不腐敗率」と国民の満足度は割と高い正の相関.一方ジニ係数との関連は弱めの負の相関.あんまり格差は関係ないのかも?
2012-11-01 16:07:59税制(Progressive Tax)と国民の幸福感の話はOishi, Schimmack, & Diener(2012,PS)に出ています.直接の相関は0.4ちょっと.これはSatisfaction with public goodsが完璧に仲介しています.
2012-11-01 16:10:10人生の満足度と平均寿命,ソーシャルサポートの程度と平均寿命はいずれも比較的高い正の相関.一人あたりのGDPと平均寿命のよりもやや高いくらいなので,自己報告尺度であるという問題はあるにせよ,かなり重要ぽい.
2012-11-01 16:12:39で,こういうことを縦断的にも検討してみましたよという研究の紹介.アメリカの話です.Oishi, Kesebir, & Diener(2011, PS) 収入の格差の大きい年に幸福度は低い.この関係は公正感の認知や一般的信頼によって仲介されている.
2012-11-01 16:14:52日本だと阪大の社会経済研究所(だとおもうたぶん)のグループが同様の研究をやっています.人科は何をやっとるのか.嘆かわしい.
2012-11-01 16:15:35経済成長と幸福度の関連に関する1965-1990のメタ分析.15カ国のうち6カ国ではgrowth -> happier, 6カ国では -> not happier, 3カ国では -> less happy (Diener & Oishi, 2000) なぜこんなことに?
2012-11-01 16:18:28フランスやイタリア:growth -> happier あるへんちーなやポルトガル:growth -> less happier こういう違いがあるのは格差のためらしいことが最近わかってきた.Oishi & Kesebir(in prep)
2012-11-01 16:20:20つまり経済成長が格差を伴っていない国家ではhappy-growthになるのだが,経済成長が格差を伴ったところはunhappy-growthになっちゃう.最近の後者の例は中国.
2012-11-01 16:22:18心理的国富論のまとめ.経済状況との相関はそれなりに強い(ブータンは例外というか…).累進課税などの税制も重要.でも日本はもうmax来ちゃってる感じ.最適レベルはどうだろう?
2012-11-01 16:23:32心理的な側面では,ソーシャルサポートも経済を超えるくらいに重要.お互いに人々が頼り合えるような地域社会作り.公正感や信頼感も大切.身体的側面では,幸せは寿命とも強い相関があるので,大事だよね.
2012-11-01 16:24:54よく言われるのは「じゃあ国民が幸せであればいいのか?」という問題.そんなの愚民じゃん?byプラトン みたいな.幸せなんか測っても意味ないんちゃうか?という意見にも一理ある.
2012-11-01 16:25:56でも主観と客観の両方を見ることは重要で,客観は完全に主観を無視して成り立つものではない.それがある程度自己愛に基づくものだとしても主観的幸福感は大事.かといってもちろん客観的な社会指標を無視してもいけない.
2012-11-01 16:27:14まあ結局両者をきちんと同時に考慮して分析することが必要だと思うわけです,と思っておられるから,これまで紹介したような研究をされてきているわけですよね.わかります.
2012-11-01 16:27:54これからはさらなる縦断的研究,データの蓄積が必要.心の時代はずかむだぜ!ちゃんと実証的にデータ分析ができる能力は必須だからがんばれよ!なんて学生たち励まし系のまとめになりました.
2012-11-01 16:29:31今日紹介された研究のほとんどは大石先生のウェブサイトにリストされています.まあいくつもあるんですけどね(w こことか→http://t.co/tEjOP2H2 こことか→http://t.co/YJV9UrFa
2012-11-01 16:37:31どうもいろいろ個人ウェブサイト的なものがあって混乱するのだけど,現在はAssoc. はなくFull Professorでいらっしゃいます.こんな口コミサイトも見つけてもた.http://t.co/IIU9lVJM
2012-11-01 16:41:12大石先生の経歴や業績はこのサイト(http://t.co/VrcA5qkA)のこのPDF(http://t.co/UuBvLW5k)がもっとも最新といえそう.
2012-11-02 07:43:18大石先生はとてもフランクに話せる方だったので,懇親会もとても楽しかった.5月はじめまでおられるそうなので,是非阪神間以外の方々も,招聘してトークをお願いすると,とてもいいんじゃないかと思う.
2012-11-01 20:20:10