ふわふわと舞うような雪が、いつの間にか足元に積もっていく。草木の上を、車の屋根を、行き交う人々の傘を、白く染め上げる。ただ静かに、静かに。雪に埋もれたそこは、真っ白なそこは、暖かいだろうか。 #冬の衝動
2012-11-01 22:55:06凍てつく耳の先、鼻の頭、指先と、くちびる。突き出した部分から凍りついて、ぽきりと折れてしまうのだと思った。差し伸べた腕、伸ばした爪先、視線と、声。きみに届くこともなく、ぽきりと折れて、墜落。かなしい、音。ねえ、ねえ。冬はなんだか、かなしい音がするんだよ。ねえ、ハニー。 #冬の衝動
2012-11-01 23:00:56雪上に散らばってしまった、寂寥を。 緋に染まる手で掻き集めている。 今なら間に合う気がした。 あなたの唯一でいられる気がした。 痛みが2人を繋いでくれるならば、極寒の海にだって身を沈めよう。 信じたかった。 愛されていた、と。 #冬の衝動 (11/02お題,信頼)
2012-11-01 23:02:44ということで、11/02のシカトを前提ながら用意されたオマケお題は「信頼」になります。衝動的な信頼ってなんですかね。よかったらご利用ください。 #冬の衝動
2012-11-01 23:02:59指先がかじかむ。肺に冷気が満ちる。青空が溶けてゆく。世界がまたひとつ、終わりに近づく。この仄かな空腹を言葉にしたらきっと君は指一本くらいならくれるのだろう。その血は甘いに違いない。なんて、確証もないんだけどね。 #冬の衝動
2012-11-01 23:46:30ほぅ、っと息を吐く。まだ完全に白くはなりきらない。でも、微かに空気が濁ったのだ。指先がかじかむ。震える手でマフラーを巻く。そうして思い出す、君の温もり。あぁ、もうそんな季節か。(忘れてしまっていた、君のことを) #冬の衝動
2012-11-01 23:54:31叶わぬ願いを吐き出す息は白く、思えば思うほどつく溜め息は重く。凍てつくこの心は、芽吹く間もなく静かに消えてゆく。いっそなかったことにしよう、響く声は誰のものか。そうして季節はただただ巡る。 #冬の衝動 (忘却)
2012-11-01 23:55:07寒い、寒い。でも、暖かい。この感覚は、何だろう。昔どこかで感じたことのある この感じ。ここは、何処だろう。見たことがある この景色。知っているんだ、私。思い出せないだけなんだ。思い出せない、思い出せないの。(知っている、はずなのに) #冬の衝動
2012-11-01 23:58:21沈殿していく空気に濁った息を吹きかけた。暖かい。その感覚の中に見出した季節。一週間前の昼間に落としてきた暑気を僕はもう拾えない。冷たさを宿らせた雨が運んでくる明日に手を伸ばして、したり顔で語る日々。厚めの外套を用意して、其処にあった薄手のシャツを記憶の奥へ埋めたのだ。 #冬の衝動
2012-11-01 23:59:1311/02(信頼)
指先をずっと見ていた。泣きながら抱きしめる腕を。君がこんなに泣いているというのに、ただぼんやりと君を見ていた。僕が今、存在するならば、それは君の腕の中だ。離さないで。君が好きだ。離れないで。僕はここにいる。ずっとここにいる。 #冬の衝動 【信頼】
2012-11-02 00:09:23座れば膝に乗り、寝転べば腹に乗り、立てば腕に飛びつく。 家を出るのを見送っても、必ず帰ってくると知っている。 わたしのそばを離れないこの子がかわいい。全面的に頼られている、と思いたい。頼っているのは、わたし。 #冬の衝動 #恋猫
2012-11-02 00:22:25やりたいようにやったなら、遊びたいだけ遊んだなら、必ず帰ってくるのでしょう。 私のいるところが貴方の居場所でしょう。 #冬の衝動
2012-11-02 00:29:11手が冷たい。少し前を歩くあなたの手を握ったら、冷たいっていってぎゅって握ってくれるよね?(抱き締めてくれたら、もっといいのに。) ゆらゆら、逃げていく指先。捕まえたいな、掴まえなくちゃ。 #冬の衝動
2012-11-02 00:39:37なんか今日肌寒いから、ただそれだけでうっかり会いに行きたくなったりするんだよ。寒いからだよ。たぶん。寒がりでごめんね。 でさ、明日は、時間あるかなあ? #冬の衝動
2012-11-02 00:56:25澄んだ空気が肌を突き刺して、すべてを悟らせてしまう前に。思い出していた。分かち合う熱量、苦痛じみた微笑を浮かべて。紅涙。何度でも季節は廻るから、再び会える筈だと。寒空の下、あなたの体温を貪るだけのわたしは、ただ。愚かだったのだ。 #冬の衝動
2012-11-02 01:04:47「ほら、手を出して」そうして笑ったから、震えが止まらなかった私は掴んでしまった。「あったかい」「うん」繋いでいれば、何も恐くないような気がした。確証もないのに、此処に永遠があるように感じた。ざくり。足元、踏み砕いた霜柱が告げていたこと。今思えば解りきっていたのに。 #冬の衝動
2012-11-02 01:11:39知ってる。それは膚を射す零度の光が作り出した幻想。空を映す筈の鏡。踏み潰して。その下に違う世界があるって。君が息の出来ない世界。踏み出して、壊れた。いつも君は。欠片と沈む。浸食する冷たさに驚悸する。こんな中にいたの。零れた温かさが手を伸ばす。 #冬の衝動 (11/02お題,信頼)
2012-11-02 02:32:01君が死んだ。昨年の12月、雪景色の中。紅を咲かせて、君が死んだ。いつか、また。そうやって交わした言葉ももう、意味をなさない。そんなことわかってるんだ。でも。(君が約束を守らない筈がないんだ)ほら、(来てくれた。透けた体で)嗚呼、これからは一緒に。紅桜咲かすは冬の人。 #冬の衝動
2012-11-02 02:34:12冬の寒さに挫けそうになる私の前に、君は手を差し出した。何がどうなるわけではないけれど、その君の体温は、頼りたくなる熱を持っていて、私は思わずその手を、ぎゅと握りしめた。 #冬の衝動 (11/02お題,信頼)
2012-11-02 02:51:20消えると知りながら、溶けると知りながら。息も、景色も白い中で、手先を紅くさせて。君と二人きりの空間作り。君が来るかも分からないのに。君がずっと居てくれるかもわからないのに。でも、それでも、この中はあたたかいから、きっと。 #冬の衝動 (11/02 お題,信頼)
2012-11-02 03:20:03