山本七平botまとめ/【軍隊語で語る平和論⑤】/マスコミが作りあげた「強大な武器を持った日本」という虚像

山本七平著『ある異常体験者の偏見/軍隊語で語る平和論/48頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

26】「強大な武器をもった日本」――全日本人がマスコミにより、そう信じ込まされていた。そしておそらく今でも信じていよう。 そして欠陥兵器をもたされた兵士の悲劇が念頭に浮ぶのは、かつてのユーザーの生残りだけかも知れない。

2012-10-29 23:28:08
山本七平bot @yamamoto7hei

27】欠陥兵器を次々にあげて行けば際限ないが…この章の最初にのべたAさん、陸軍の重爆隊の生残りの言葉を収録し、それを敷衍してこの稿を終ろう。「新聞には出なかったけどなあ、重慶・昆明の爆撃はひどかったよ。日本の高射砲は絶対にあたらネーが、中国のは米国製でナァ、よくあたりゃがるんだ。

2012-10-29 23:57:47
山本七平bot @yamamoto7hei

28】一回行けば八機は落された。重爆ってのは九人乗ってたんだぜ。その度になあ、八×九=七十二人の遺骨なき部隊葬よ」。以上の事は単に日本軍の重爆がよく落されたという事だけではない。日本軍の高射砲が絶対にあたらないという事は、中国軍の空輸師団が自由に活動できたという事である。

2012-10-30 00:27:53
山本七平bot @yamamoto7hei

29】「エエーッ、中国に空輸師団が? ホントですか?」 「ありましたよ。超大型のグローブマスター機に分乗して、次々と空輸で展開する師団が」 「ヘエーッ」といってだれでもあきれたような顔をして私を見るが、その目は私の言葉を信用していない。

2012-10-30 00:57:43
山本七平bot @yamamoto7hei

30】戦争中、新聞が全日本人の頭に叩き込んだ「強大な武器をもった無敵皇軍」対「カラカサかついだ武器もろくにない腰抜けのチャンコロ兵」というイメージはそれほど徹底しているのである。新井宝雄氏のみならず、多くの人の中国関係の発言が、無意識のうちにこの「虚像」を当然の前提にしている。

2012-10-30 01:28:05
山本七平bot @yamamoto7hei

31】では、日本軍にこういう規模の空輸師団が一個師団でもあったであろうか。もちろんない。第一、四発を作る技術がない、第二にガソリンがない。しまいには戦車も自走砲もトラックももうみんな燃料切れて動かない。空輸師団などは、日本軍という土方馬方集団には夢物語である。

2012-10-30 01:57:44
山本七平bot @yamamoto7hei

32】その集団が大名行列方式で「汗かれ果てて塩を吹く」の言葉通り、人も馬も全身を塩でざらざらさせながら、昼夜兼行で「六キロ行軍」。燃料なしでは、そうならざるを得ない。しかもその人馬への最低の補給すらしてくれない――あーあ、「強大な武器をもった日本」。(終)

2012-10-30 02:27:50