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山本七平bot @yamamoto7hei
①前略~ではこの城門まで迫る城外の戦闘は大激戦だったのであろうか。鈴木明氏が防衛庁戦史室で…調べた結果では十二月二日から十八日迄の戦死者数1117名、ダーディンの記述では「千人程度」とあるという。この数字は信用できる。これは到底「大激戦」といえる状態ではない。<『私の中の日本軍』
山本七平bot @yamamoto7hei
②ダーディンは中国側の損害を「三千~五千」と推定しているが、通常は攻撃側の損害の方が多いのが普通である。だがここに「南京戦の戦果」という上海軍による驚くべき発表が登場する。鈴木明氏の記述から引用させていただく。
山本七平bot @yamamoto7hei
《およそ戦史とよばれるものほど、嘘や誇張の多いものはないだろう。メーデーの参加者が、主催者側発表と警視庁調べとで数倍違うのが常識であることをみてもわかるとおり、自分の立場によって虚構の数字を作ることに、人間はさしたる罪悪感を抱かない。》
山本七平bot @yamamoto7hei
《例えば「南京戦の戦果」について、上海軍は昭和十二年十二月十八日(つまり、陥落の五日後)「敵の遺棄死体は八、九万を下らず、捕虜数千を算す」と発表し、更に一月「遺棄死体のみをもってするも八万四千の多きに達し、わが方の戦死八百、戦傷四千、敵の捕虜一万五百」と発表し直している》
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⑤結局、軍も新聞も「『百人斬り』は断固たる事実」的なことをやっていたのである。さて、この「遺棄死体のみをもってするも八万四千の多きに達し……」だが、人は何と解釈するか知らないが、私はこの余りのデタラメぶりに「こうやって国民をだましてきたのか」とただ吐息が出るだけである。
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⑥通常、戦死者の三倍の負傷者がいる。だが仮にこれを二倍としても、これでは、戦死・戦傷すなわち「戦闘能力喪失者」の総計は、二十五万二千人ということになる。軍隊は通常その半数を失うと戦闘能力を失う。
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⑦これを殲滅というわけだが、そうすると「南京戦」で中国軍五十万を殲滅したことになる何というバカげたことを。 この方面の中国軍は、最大限に見積もって五万しかいないのに。しかもその損害は多く見積もっても三千から五千(おそらくそれ以下だが)であることは中国側は知っている。
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⑧では、上海軍の発表した「遺棄死体八万四千」とはどういうことなのか。これを「事実」だというなら、このうち四千だけが戦闘員で、残りの八万は非戦闘員の虐殺死体だということにならざるをえない
山本七平bot @yamamoto7hei
これが、言うまでもなく大本営的虚報であることの証明ははぶく。しかし、その言いわけは、世界のどこの国に対しても通用すまい。そして前にものべたように、浅海特派員にも大本営にもそして本多記者にもその発表は世界の耳に入るという意識がないのである。
山本七平bot @yamamoto7hei
南京大虐殺の”まぼろし”を打ちあげたのは、実は「百人斬り」について前章で述べたと同様に、われわれ日本人であって中国人ではない
山本七平bot @yamamoto7hei
⑪そして「日本の軍部の発表および新聞記事」を事実と認定すれば、それは必然的に「非戦闘員虐殺の自白」になるという図式でも、小は「百人斬り競争」より大は「大本営発表」まで、実は共通しているわけである。
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⑫すなわち、二人の処刑にも「南京大虐殺のまぼろし」にも全く同じ論理が働いているのであって、これがこの章の最初に「いかなる人間もその時代の一種の『論理』なるものから全く自由ではありえない」と記した理由である。
山本七平bot @yamamoto7hei
この論理の基本を提供したのはわれわれ日本人である従って、だれも怨むことはできないし、だれも非難することはできない。 自らの言葉が自らに返ってきただけである。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑭だがそこで「みんな、みんな、われわれが悪かった」式の反省、いわば「総懺悔」は全く意味をなさない。 それは逆にすべてを隠蔽してしまうだけである。 まして新しい大本営発表をしている当人が「反省」などという言葉を口にすれば滑稽である。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑮そうでなく、そうなった理由、そして未だにそうである理由を徹底的に究明し、その究明を通してそこから将来にむけて脱却する以外に、これを解決する道はあるまい自らの言葉が自らに返ってきて自分を打ち倒す、と感じた瞬間、人は打ちひしがれて立てなくなる。向井少尉にもそれが見られる。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑯しかし彼はそれを乗り越えて、上申書と遺書を残した。そしてその書き方の視点は非軍人的といえる。彼はやはり最終的には「幹部候補生」すなわち「市井の一人」だったと思われる。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑰そしてその精神状態は絶対に、「百人斬り競争」実施の主人公のものでもなければ、「百人斬り競争」や「殺人ゲーム」といった異常な虚報を得々と活字にできる記者のそれでもなかった、といえる。~後略

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