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「1杯のコーヒーにまつわる3ツの掌編 / twosome's three short stories with cup of coffee 」 - 3rd shot.

1st shot. 【 http://t.co/5W2zW9gl 】 2nd shot. 【 http://t.co/YCEwcTkP 】  @Cafe_Luci@saluciferのとある記念日に寄せたかったものの大遅刻をかましてしまいました不肖のアレです……。
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@blau_adde

「勘違いしないで欲しいんだけど、さ。ねぇ、ルシフェル」

2012-11-18 00:52:07
@blau_adde

 目に見えるほどの湯気は流石にもう失せていたが、カップもコーヒーも、まだ十二分に温かかった。

2012-11-18 00:54:20
@blau_adde

「君にとっては特別な一杯でも、私にとってはいつもの一杯でしかないんだよ?」

2012-11-18 01:04:42
@blau_adde

 なんて、わかったように言ってこそみたものの、何の心積もりも打算もなかった。

2012-11-18 01:05:35
@blau_adde

「『いつも通り』の、君の特別の一杯。それでいいのさ、私にとっては」

2012-11-18 01:06:04
@blau_adde

 声はなんだか素っ気なかった。 店主が自分で思う以上に。

2012-11-18 01:06:38
@blau_adde

「――そうか」 「そうさ」

2012-11-18 01:07:15
@blau_adde

初音ミクDark 『 プラネタリウム 』 オリジナル曲  http://t.co/XWwc48X8

2012-11-18 01:23:48
@blau_adde

 客人がにやりと悪戯っぽく笑う。 おそらくは、彼自身で思っているのよりは幾分か穏やかに。

2012-11-18 01:25:41
@blau_adde

「そういえばさ、」

2012-11-18 01:26:13
@blau_adde

 最近きみが妙に不機嫌にしてたのってもしかしてこのせいだったのかい? なんて見透かしたことを言ってしまったばっかりに――当の本人は隠していたつもりだったらしく――店主は今度はでこピンを見舞われるひと幕となった。

2012-11-18 01:26:34
@blau_adde

痛いとかあんまりだとか、騒ぎ立てつつ暗黙に謝罪を請う素振りには見向きもせず、五月蠅いとだけ吐き捨てて今度こそ2本目の煙草に手を伸ばす。

2012-11-18 01:30:25
@blau_adde

「………――――フン」

2012-11-18 01:31:30
@blau_adde

 燃え尽きる煙草は名残惜しくは無い。嗜好品は消耗品で、だからいつだって代わりがきく。 例えば何かを贈っていたなら、と思わなくはない。けれど。

2012-11-18 01:31:38
@blau_adde

乾涸びたバスひとつ/米津玄師【ピアノカバー】 http://t.co/gSjhPIFD

2012-11-18 01:33:05
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@blau_adde

『2時間にわたってお送りしてまいりました『ミュージック・ミュージアム』。  さいごの一曲は届き立て、メールのリクエスト――なんですけれども、お名前おところ、いつも楽しみにしてますとか最近あったおもしろい話とか、なんにも書いてなかったんですよね。曲名と、アーティスト名だけで――』

2012-11-18 01:43:18
@blau_adde

『――下書きのまんま間違って送っちゃったのかもしれないし、 ほんとに何にも、なんにも、言いたいことなんて無かったのかもしれないし――』

2012-11-18 01:43:35
@blau_adde

 さてそろそろ焼きあがるかねぇ、とオーブンの様子を確かめに立つ店主の背後、ライターの火打ちにかけた指が、ぴたりと動きを止めていた。

2012-11-18 01:44:23
@blau_adde

『でももしかしたら、ほんとに何も言いたくなかったのかも。  ただ、誰にもなんにも言わないで、ただ耳になじんだ歌を聴いていたいだけの日だって、きっとみなさんあるんじゃ、ないでしょうか。あたしはあります』

2012-11-18 01:52:04
@blau_adde

 知ったような口をきいてくれる、とは思うものの、無意識に唇が弧を描いた。 「勝った」と思う。 何と勝負をしていたわけでもないにも関わらず。

2012-11-18 01:53:07
@blau_adde

『では、この曲を聴いていただきながら、お別れです。――――』

2012-11-18 01:53:32
@blau_adde

 次に読まれる名前を、流れ出すメロディを――自分は知っている。その驚くほどの恍惚。

2012-11-18 01:54:10
@blau_adde

それだけでもう、歌い出したくてたまらないほどに。

2012-11-18 01:54:38
@blau_adde

「1杯のコーヒーにまつわる3ツの掌編 / twosome's three short stories with cup of coffee 」 - 3rd shot.

2012-11-18 02:02:00
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