【放射線健康影響の科学の特殊な歴史】①

宗教学者 島薗進氏の連続ツイートをまとめました。 中川保雄『放射線被曝の歴史』は当初「株式会社 技術と人間」から著者没後まもなく、1991年9月に出版されました。 東電福島原発事故後の2011年10月に「増補版」が「アメリカ原爆開発から福島原発事故まで」という副題つきで明石書店から出版されています。
25
島薗進 @Shimazono

1【放射線健康影響の科学の特殊な歴史】①放射線健康影響について急いで学んだ医学者・科学者が「よく分からない」というより「被害が少ない」という判断に向かいがちな傾向。これはふだん学んできた現代科学の常識が放射線健康影響分野でも成り立つはずとの思い込み。この分野の歴史を知っている?

2012-11-22 08:33:25
島薗進 @Shimazono

2【放射線健康影響の科学の特殊な歴史】①「保健物理」という科学の歴史。原爆・原発の被害が隠されてきた歴史、それが科学的リスク評価の対立に反映していること。ICRPはこうした対立を反映しながらリスク評価を変えてきたこと。これらを知って、なお「被害極小」の判断を変えないのは頑迷では?

2012-11-22 08:33:37
島薗進 @Shimazono

3【放射線健康影響の科学の特殊な歴史】①原爆と核開発の当事者にとって、放射線健康影響を過小評価することは避けがたかった。そして、原発推進はそのパターンが継承する。放射線健康影響について科学的な認識を深めるには、科学という人間の行為の歴史的経過について学ぶ必要がある。

2012-11-22 08:33:51
島薗進 @Shimazono

4【放射線健康影響の科学の特殊な歴史】①もちろん科学専門誌に掲載されるような論文を通して最新のリスク評価の水準を学ぶのは重要。文系研究者は敬遠しがち。確かに難しい。だが幸い専門分野に近く理解力のある解説者はいる。その助けを得て自然科学の手法によるリスク評価にも親しむ。

2012-11-22 08:34:03
島薗進 @Shimazono

5【放射線健康影響の科学の特殊な歴史】①その一方で理系の科学者に分かるように歴史的文脈の中で人間の行為としての科学がどのように現出してきたかを的確に示していく必要がある。中川保雄『放射線被曝の歴史』はこの点での必読書。放射線健康影響・防護学の歴史、ICRPの歴史がよく見える(続)

2012-11-22 08:34:35