ヘイル・トゥ・ザ・シェード・オブ・ブッダスピード #7

翻訳チームによるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) 日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

上空の鬼瓦フライングパンケーキに乗るレクティファイアーからのIRC通信だ!「ミッション限界時間ヲ配慮重点……マッポハトモカク、ソロソロ、セクトノ展開モアリ得マショウ」「私が考えておらんとでも思ったか貴様……グワーッ!?」オーファンはミラーを凝視!「ニンジャスレイヤー=サン!」23

2012-11-22 21:44:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは真後ろにつけている!ターンを繰り出して後方へ流れ去ったかに見えたニンジャスレイヤーは、恐るべき加速力ですぐさまオーファンに追随し直したのだ!ミラー越しに赤黒の眼光が焼きつく!「イ、イヤーッ!」オーファンは後方へ鎖鎌攻撃!アイアンオトメが左に振れ、回避!24

2012-11-22 21:47:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」オーファンは側頭部に裏拳を受け、苦悶した。鎖鎌攻撃をかわして真横に躍り出たニンジャスレイヤーの白兵戦である!「イヤーッ!」「グワーッ!」さらに裏拳を受け、苦悶!「イヤーッ!」オーファンが鎖鎌で反撃!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは裏拳で鎌を弾く!25

2012-11-22 22:00:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」さらに裏拳を受け、オーファンは苦悶した。これでは堪らぬ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」オーファンは鎖鎌を掲げ防御に専念した。彼は目を見開いた。前方にバンク。跳躍機会だ。逃してはならぬ!「オオオーッ!」裏拳をかわし急加速!26

2012-11-22 22:03:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴアアア!ゴアアア!ニンジャスレイヤーも同時に加速にかかる。彼の判断も同じだ!コンマ五秒後、二者は……跳んだ!分離帯を!「「イヤーッ!」」アイアンオトメが……高い!ドラグーンよりも高い!ドラグーンへ迫る、アイアンオトメの質量が迫る!「グ……グワーッ!?」KRAAAASH! 27

2012-11-22 22:11:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドラグーンを下敷きに、アイアンオトメは順行車線に着地した。ガガガガガ、容赦なき走行、ドラグーンが身悶えしてバイク形態から人型へ変形しかかりながら、千切れ、砕け、路上に散ってゆく。ゴアアアアア!ゴアアアアア!車輪が回転し鉄屑を吹き上げる!そして前へ飛び出す! 28

2012-11-22 22:14:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「……アバッ……こんな……アバッ、事がアバッ」アスファルト上、うつ伏せのオーファンは力を込めて起き上がろうとした。「アバーッ!」血を吐き、また倒れた。「ニンジャスレイヤー……!」取り残された彼の半壊の通信機がレクティファイアーの通信を傍受する。「ザザザ……サン、ザザザ」 29

2012-11-22 22:19:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ネギトロは免れた。免れたが戦闘継続は不可能だ。「追え……レクティファイアー=サン、捕獲を」「ザザザ離脱シマス」「な……」「セクトザザザ、展開、ケジメ回避ザザザ」「セクト?」「ザザザ、ピガーッ!?バカナ、ニンジャス」「レクティファイアー=サン?応答せよ!」「ザリザリザリ……」 30

2012-11-22 22:24:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

オーファンは血を吐いた。彼はもう一度顔を上げようとした。彼の顔は道路後方を向いた。その目が驚愕に見開かれた。ハイビーム。轟音。彼のニンジャ聴力は高速接近してくるバイクのエンジン音を聴き分け、彼のニンジャ視力は光の向こうに乗り手を見分けた。それは彼に恐怖を喚起しただけだった。 31

2012-11-22 22:28:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「生き……バカな……」ニンジャがモータルを恐れるなど、あり得ようか?否。おそらく彼の恐怖は、観念に、事象そのものに対する恐怖だった。スピード。死。走りくるそれは……形をとった……「アバーッ!?」 32

2012-11-22 22:31:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

鬼瓦フライングパンケーキは炎と煙を噴き出しながら、夜空を斜めに落ちて行く。その過程で何度か内側から爆発した。アイアンオトメの速度を乗せて放たれた、ニンジャスレイヤーのツヨイ・スリケン。そんなものの直撃を受けて、VTOL機ごときが無事でいられよう筈も無い。 34

2012-11-22 22:44:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはもはや墜落機体に注意を払わず、前方を注視した。微かなニンジャソウル痕跡が光の筋をアスファルトに遺している。近い。引き離されてはいない。ハイウェイはトリイ地帯に差し掛かる。ライトアップオカメを戴く無数の巨大トリイの列をくぐり抜ける直線路だ。 35

2012-11-22 22:48:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」ニンジャスレイヤーのニンジャ第六感は、無数の敵意の接近をニューロンに告げる。じわりじわりと囲み込むかのような。ゆっくりと握り込む巨人の掌のような殺意。「来たな」アマクダリ・セクトが、クロームドルフィンを、イルカクロイを……タイサ・ルニヨシの狂った遺志を摘み取りに。 36

2012-11-22 22:58:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ブーンブンブブン……ブブンブンブブーン……「ソーベーリベリ、ソーベーリベリ、ベーリベリ」ニンジャはモニタのアラートを見ると陰気な歌をやめ、ラジオを消した。そしてリムジンから夜風の中に降りた。「万端か」「ハイ」リムジンの脇に跪くのも同様にニンジャである。つまり、上下関係がある。38

2012-11-22 23:12:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いい天気だ」「は」「良いイオンの匂いだよ」「は」「フー」上位者は両手を広げ、伸びをした。彼のニンジャ装束の心臓部は渦巻く太陽の意匠が描かれたプロテクターで覆われ、そこから四肢と頚動脈に光ファイバーじみたチューブが伸びている。「たかが捕獲作戦に何故俺が、と思うか」「……は」39

2012-11-22 23:17:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前がそう考えるのも尤もだ。現に、当初はアクシスも、ポインターとかいうカス……他にも何人かいたな……あれらで事足りるとな……そう判断していた。だが役者不足だったわけだ」「は……」 「で、オーファンとかいう奴は?」「応答が無く」「ま、どうでもいい」 40

2012-11-22 23:22:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

上位ニンジャは腕組みして、眼下のハイウェイ風景を見た。流れ行く灯りの群れ。あるいはネオンを受けるスモッグ。巨大で荘厳で馬鹿げたカスミガセキ・ジグラットのシルエット。「そろそろだろう」「は」跪くニンジャは付け加えた。「イレギュラー要因が幾つか」「ああ、ニンジャスレイヤーか?」 41

2012-11-22 23:35:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

上位ニンジャは平然と言った。「適当にあしらうがよかろう。半端に関われば面倒では済まぬ相手」「……」「俺のカラテでも足りるかどうか、やってみねばわからん」「貴方がですか?スターゲイザー=サン」跪くニンジャは訊き返した。スターゲイザーは無感情に呟く。「そうとも。俺は詳しいんだ」42

2012-11-22 23:43:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……ポイント到達しました」跪くニンジャが耳に手を当て、スターゲイザーに報せた。スターゲイザーは頷いた。「やれ。レネゲイド=サンを動かせ」「は」「イヤーッ!」スターゲイザーは跳躍し、闇に消えた。 43

2012-11-23 15:40:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……KRA-TOOOOOOM!クロームドルフィン前方のバンクカーブが真っ白な閃光を発し、下から爆炎が沸き起こった。クロームドルフィンは左右にイルカクロイを振って停止した。ナ……ナムサン!なんたる大規模崩壊!彼の眼前、ハイウェイがトーフめいてボロボロに砕け、下へ呑まれてゆく! 44

2012-11-23 15:44:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フィフィフィ……イルカクロイをホバリングさせながら、クロームドルフィンは眼下に口を開けた断絶を眺めた。押し潰れた瓦礫、車両群。一瞬にして生じたジゴクはあまりにも唐突であり、現実感に乏しい。クロームドルフィンの存在と同様に。闇に青いLED眼光の軌跡が閃く。彼は機体を旋回させる。45

2012-11-23 15:48:59