#31poem ルール&本編のみ
- rua_splinter
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天高く私を見下ろすあの月が、永遠に地球へ堕ち続けていると知ったとき。なぜか親近感を憶えてしまった。 彼に惹かれてやまない私も、彼の周りを廻るばかり。ぐるぐる、ぐるぐる。私はあなたの周りを廻る。 いつかあなたに落ちてしまえば、私を受けとめてくれるでしょうか。 #31poem
2012-12-04 00:00:18アイザックは恋をしていた。 それも市場の若い娘に。 悶える彼の目の前で そのとき林檎が落ちたのだ。 恋に落ちゆく彼の頭は 少しく熱に浮かれていたか 世界の真理を見抜いてしまった。 #31poem
2012-12-04 11:00:27水圧で鼓膜の破れたダイバーは、海底と水面が判らなくなるように。 僕たちは空気の圧力に敗れ、飛翔と落下が解らなくなる。 そうなる前に、少しだけ。 水抜きならぬ、ガス抜きをしておこうか。 #31poem
2012-12-04 17:00:06空下始会目交惚勇告赤顔嬉歩共 互深関要肌蜜流抱小笑並影 少冷涙彼女風感寂終恋 雪再逢未忘錯二道 凍時誓不離 想永結 愛 #31poem
2012-12-04 21:00:0412/5 *count 27*
きらびやかに染まりゆく街を、マシュマロのような空気が包み込む。はいた息がふわりと赤いマフラーをぬけ、消えていった。楽しげな通りすがりの家族を横目にして、僕は今日も冷たい箱へ足を運ぶ。自動ドアが派手な音で開き、リノリウムの廊下を進む。階段を上がる足取りは弾まない。 #31poem
2012-12-05 13:17:29ピッ、ピッ、と生真面目に音を刻む機械をBGMに眠り続ける君の横顔を眺める。椅子に座りマフラーを外す。リュックからスケッチブックと鉛筆を出す。4階の最北に位置するこの部屋は静かだ。微かな君の呼吸と機械の音、それに鉛筆と紙が擦れる音が体が芯に響く。 #31poe
2012-12-05 13:17:44ふと窓に目をやると、今年はじめての雪が顔を見せた。雪の女王様に軽く会釈をするように、スケッチブックをおいて窓を開けた。雪を手に取ると、すいこまれるように融けて消えた。寒さに体がふるえたので、窓を閉めて椅子に腰かける。「あ、」 君の横顔を、艶やかな雫が頬を伝った。 #31poem
2012-12-05 13:18:01落ちた雫は先程の雪のように融けることはなく、ただ君の頬に筋をつくり、硝子玉のようになって床に落ちた。コーン。小さな音がして、玉が割れたと同時に耳鳴りがした。鼓膜が割れそうな耳鳴り。見回すと、音の正体は機械であった。「 」、君の名前をそっと呼んでみた。 #31poem
2012-12-05 13:18:29返事はなかった。遠くから忙しない足音がした。硝子玉の破片を拾おうとベッドの下を見る。見当たらない。ただ不思議と輝いて見えた。破片でも目に入ってしまったのだろうか、目の奥がずきずきと傷んだ。部屋のドアが開いて、白い服の人が何かを語っていた。なにも耳に入らなかった。 #31poem
2012-12-05 13:19:28ただ立ち尽くした。ただ目にはいるのは君の横顔と、君の横顔を描いたスケッチブックだけだった。僕の処女作。僕はそれに僕と君との関係を、君の名前を、僕の君への気持ちを、名前としてつけた。 僕と君との関係は、君の名前は、僕の君への気持ちは、たしかに、 #31poem
2012-12-05 13:19:3912/6 *count 26*
空っぽの心ぶら下げて 君の面影を探した 君のいない部屋 ポツリ置かれたスケッチブック 落とされた藍は曲線を画いて 丸い夜を創る 落とされた愛は淡く揺れて 彼の笑顔に消えた 下書きのままの僕の横顔 落とされたのは黒 僕の哀は 透明になって落ちた。 (1) #31poem
2012-12-06 11:12:37鬱積する感情 解かれない声 君がいればいつも私は影で、1人で 君にはささやかな愛をあげるわ そう言った私なんて忘れてしまった 君に籠る哀が見えないとでも思っていたの 哀しみ 哀れみ 君から受けて私は死ぬ 私ではない私を愛しみ 笑う君を 愛して、哀して、憎む (2) #31poem
2012-12-06 11:27:31声の聞こえない街 ワンシーンだけ切りとって 手紙と共に封筒に収める 可愛いシールを貼って 君の心は見えるだろうか 浮つく気持ち 差出人、僕 受取人、君 暗い藍にはまり込んだ僕から白い部屋に包まれる君へ 愛しい哀を、哀しい愛を (3) #31poem
2012-12-06 16:53:40彼女がいない、それだけで深く沈む君を私は愛す 彼女がいない、それだけで歓喜に震える私を貴方は見通す 完璧な愛想笑いを浮かべて 突き放す 私など透明だと言われているようで 私など不必要だと言われているようで 思考が闇に落ちて 意識はブラックアウト (4) #31poem
2012-12-06 22:23:1712/7 *count 25*
君からぽとぽと、と水滴が落ちてくる。僕はその意味に気づいて君の顔をじっと見つめる。君は僕を見てまた水滴を落とす。ごめんよ、僕は君のその顔が好きなんだ。僕はまた君を突き放す。(1)【#31poem】
2012-12-07 08:47:05手紙が郵便受けに落ちる、ことり。封筒から手紙を取り出す、ぱさり。君に返事を書く、かりかり。ポストに投函する、ぽとり。君からの手紙を読み直す、じっくり。頬が紅く染まる、ほんのり。今日も世界は正しくまわっている、くるり、くるり、くるり。(2)【#31poem】
2012-12-07 12:15:46虹をかけよう、橋をかけよう、鉄道を曳こう、君のいるところまで。歌を歌おう、詩を作ろう、抱き合おう、眠ろう、二人きりで。そして落ちていこう、どこまでもどこまでも。(3)【#31poem】
2012-12-07 15:08:16