シマウマ(f_zebra)さんと考える「脱原子力が達成するべき目的」は?

"原子力の推進が化石燃料依存の緩和とエネルギー自給の拡大を目的としていた" では脱原子力は何を「目的」にするのだろうか?
37
Flying Zebra @f_zebra

気候変動についてはほぼ独学なのだが、「主流の考え方」については一通り理解しているつもりだ。今からツイートしようとしている内容は出てくるキーワードで検索すれば誰でも検証できるよう、なるべく正しい用語を使うよう心がける。

2012-12-03 20:28:49
Flying Zebra @f_zebra

「気候変動」といえば日本国内の報道ではほぼ温暖化、つまり気温上昇と同義で、その影響についてもせいぜい海面上昇くらいしか論じられていない。 温暖化懐疑論というか、陰謀論めいた言説も未だに幅を利かせているが、温暖化の影響は既に目に見える形で顕在化している。

2012-12-03 20:29:19
Flying Zebra @f_zebra

気温が上昇すれば大気はより湿度の高い状態になり、気候システムに影響が出ることで気候の変動幅が大きくなる。ハリケーンや台風などの大型低気圧は気象の極端現象の一例だが、これらは大型化、強力化する。また、豪雨や干ばつの頻度も上がることが考えられる。

2012-12-03 20:30:11
Flying Zebra @f_zebra

大型低気圧は人々の生命と財産に直接の損害を与えるし、干ばつや水害は農業生産に甚大な損害をもたらし、世界の複数地域で同時期に起きれば食糧供給に支障を来しかねない。2010年のロシアでの小麦不作、今夏のアメリカでのトウモロコシ不作などは現実の脅威だ。

2012-12-03 20:30:42
Flying Zebra @f_zebra

気候変動への対策は国際的な利害調整が難しく、合意形成には長い時間がかかる。それでもようやく動き出そうとしている国際的な枠組みに対し、日本の関心は驚くほど低い。むしろ、脱原子力という、それ自体が目的と化してしまったもののために時代に逆行しているようにも見える。

2012-12-03 20:31:39
Flying Zebra @f_zebra

原子力の推進が化石燃料依存の緩和とエネルギー自給の拡大を目的としていたように、脱原子力も何らかの目的を達成するための手段であるはずだ。ところがその目標ばかりが論じられ、肝心の「何のために」という目的の議論は聞かれない。

2012-12-03 20:32:34
Flying Zebra @f_zebra

現在、当面は既存の原子炉を再稼働して電力の安定供給を確保することを主張、あるいは容認している人も、多くは将来的には原子力依存を下げるべき、あるいは無くすべきと考えているように思われる。ではその結論は、何らかの定量的な比較検討の結果だろうか。

2012-12-03 20:33:08
Flying Zebra @f_zebra

原子力発電が他の発電方式にはない特徴的なリスクを内包しているのは紛れもない事実だ。私自身は50年~100年程度のスパンでは現在の原子力技術を最大限活用すべきと考えているが、100年以内にリスクにおいて原子力よりマシなエネルギー源が開発される見込みは、正直言って薄いと思う。

2012-12-03 20:33:53
Flying Zebra @f_zebra

世界人口は、何かとても非人道的な事でもしない限り、途上国である程度工業化が浸透し、所得と教育水準が一定レベルに達するまでは上昇を続ける。様々な予測シナリオがあるが、いずれも今後100年以内にピークが来ると予測している。それまでは、エネルギー需要も拡大し続ける。

2012-12-03 20:34:28
Flying Zebra @f_zebra

化石資源は採掘効率の良い在来型は既にピークアウトし、非在来型が生産の主流となりつつある。掘削技術の進歩で可採埋蔵量は今後も増え続けるだろうが、益々割高なエネルギーとなるのは間違いない。更に現在以上にCO2排出を増やすことには、巨大なリスクを伴う。

2012-12-03 20:35:02
Flying Zebra @f_zebra

対策が難しいから、と原子炉の過酷事故への対応について詳細な検討を怠ってきたというのは許されざる怠惰だが、その意味では気候変動リスクについても同様だ。IPCCの第4次報告は当初こそ批判もあったが、現在では概ね正しい、というのが世界の政治指導者と科学者の共通認識だ。

2012-12-03 20:36:02
Flying Zebra @f_zebra

世界中の主要な研究者による何十年もの研究の成果とそれを踏まえた提言から目を逸らし、面白おかしい陰謀論を持ち上げ、数あるリスクの中で原子力のリスクにだけ注目することで、いったい我々はどんな社会を目指そうとしているのか。政治家が天下国家を熱く語るこの時期、我々もよく考えたい。

2012-12-03 20:36:34