「富国強兵の遺産」要約 第二章―1

目次:http://togetter.com/li/421405 前:http://togetter.com/li/421392 二章冒頭~「三音和音」まで 国産化、技術の普及、育成。 この三音和音を一括して追求し、イデオロギーと文脈で理解すれば、工業力をもたらし国家の安全保障を確保してくれるだろう。
2
bouninng @bouninng

国産化には一種の不分律が存在する。重要な順に「国産品の供給を確立する」「それが不可能な場合、国内の生産設備を使って外国製品をライセンス生産する」「将来の生産にも利用可能な機械設備を導入する」というもので、これに従えば軍需産業でも民需産業でも以後の日本製品は外国の技術に頼らずに済む

2012-12-11 21:38:38
bouninng @bouninng

「技術の国産化」とは、技術を自給自足することではなく、その国が必要な技術を全て「吸収」できるという意味だ。これには数多くの段階を踏む必要がある。

2012-12-11 21:38:49
bouninng @bouninng

日本が一九世紀に外来技術の吸収に成功した理由の一つは、当時の技術や機械がいくつもの部分に分解でき、その部分部分を国産品で代替できたからだ。(続く

2012-12-11 21:39:19
bouninng @bouninng

続き)国産品は効率面でも品質面でも外国製品より劣っていたが、価格が安く修理が簡単なので国内の需要を満たすことができ、このプロセスを繰り返すことで古い技術を刷新できた。

2012-12-11 21:39:27
bouninng @bouninng

こうした知識の習得の目的は、外国製のライセンス生産に依存した産業を独立させ、「自前で製品を設計できるようにすること」であり、その結果「技術を提供した側の競争相手になり、世界の市場で競合することになる」ことにあった。

2012-12-11 21:39:50
bouninng @bouninng

例として、戦後の兵器の国産化は全体として外国技術の依存体制を排除し、新たな技術を獲得するための対外交渉力を高めている。(ラインメタル120mm砲のライセンス生産の際120mm砲を自作した事例が当てはまるか?)

2012-12-11 21:40:09
bouninng @bouninng

完全な国産化はコストやリスクが高い。日本は戦争状態にあるわけではない。プロジェクトない集中と選択が可能だし、必要ならノウハウを輸入するなりして、研究開発を効率よく進める事も可能だ。ライセンス生産は「技術の国産化」という理想への王道なのだ。

2012-12-11 21:40:33
bouninng @bouninng

日本人は独自に新技術を開発する能力を強化し、育成しなければならない。「国際共同開発」の目的は日本の技術力を高めることにあり、この技術力がひいては国際共同開発プロジェクトにおける日本の地位を確固たるものにする。一級の技術を提供できるからこそ、日本は信頼できるパートナーとなれるのだ。

2012-12-11 21:41:12
bouninng @bouninng

日本では、技術を経済全体にできるだけ広く普及させることも重視されてきた。明治初期、軍部と工部省が多くの技術を輸入したのに対して、大久保利通が設立した内務省は、技術を国内で育成、発達、そして普及させることを重視していた。

2012-12-11 21:42:04
bouninng @bouninng

内務省は国内産業振興のため、大掛かりな見本市を開催した。最初の見本市は一八七七年東京で開催された。民生分野での技術開発を促進し、技術移転を円滑に行うため、主催者は様々な物産の参加を募り、優秀な産品には賞を与えた。

2012-12-11 21:42:14
bouninng @bouninng

業界内の組合組織は技術の普及にかかせない重要な要素だった。政府は生産設備の共有化を奨励し、購買組織と販売組織の一体化を推進した。現在技術は殆ど公共財同然となり、生産者と官僚に造られたネットワークによって普及している。

2012-12-11 21:42:30
bouninng @bouninng

これらの努力の結果、日本は技術移転の道筋、つまり「テクノロジー・ハイウェイ」の広汎なネットワーク―アメリカのそれと同等以上の車線(レーン)を持ち、レーン上の障害はアメリカより少ないインフラストラクチャー―を形成した。どのレーンも外から簡単に行き来することが可能だ。

2012-12-11 21:43:59
bouninng @bouninng

多角化の進んだ大企業では人事移動が盛んに行われ、企業内の各組織は技術やノウハウの移転を積極的に行う。企業同士は発注元と下請けという垂直関係だろうと、互いに競争する水平関係であろうと、基本となる情報は共有している。

2012-12-11 21:44:17
bouninng @bouninng

生技術と軍事技術が相互に普及したことが、日本の技術の発展プロセスを特徴づけてきた。日本で最初の工作機械は一八六九年に政府の造兵廠で製作されたし、造船所は技術の発達に重要な役割を果たした。(横須賀と長崎の造船所が鉱山用機械と輸送用の貨車を造ったのだった!)

2012-12-11 21:44:37
bouninng @bouninng

(官営民営問わず、造船所は草創期の日本の電機産業や機械産業にとっての市場であり、また欠くことのできない生産技術を提供した。)

2012-12-11 21:45:18
bouninng @bouninng

当初軍事目的のために導入された基礎的な技術は、日本の民生産業製品を形成する上で非常に重要な役割を果たした。軍製品の製造に使われた工具や機械の多くは、一般人が必要とする他の製品を作のに利用できたし、軍事産業で経験を積んだ労働者は民生企業に移動したり、独自に工場を設立したりもした。

2012-12-11 21:45:35
bouninng @bouninng

近代兵器の生産技術の普及が産業全体の技術水準を引きあげてきた。防衛産業の研究開発に参加することは、システムインてグレーションやシステム設計等様々な分野の技術力の育成に役立ったし、また一九六三年の時点でも、兵器生産に使用された生産機械の九八%は兵器以外の生産にも利用されていた。

2012-12-11 21:46:08
bouninng @bouninng

日本では企業内や企業間貫様々なレベルで技術知識が普及した。企業は特定分野のスペシャリストを育成する手法を確立し、社内の一つの部署で蓄積された彼らの知識を積極的に他の部署にも移植した。こうした努力の結果、自分の担当する技術領域を包括的に理解するスペシャリストの集団が形成された。

2012-12-11 21:46:25
bouninng @bouninng

これらのスペシャリストは獲得した知識を系統だてて全社に「普及」させる。彼らは自分の専門領域の中で、設計から生産までの各段階に参加し、技術知識を社内に移転するいくつもの機構にかかわっている。こうして生まれた品質管理の手法は、日本の主だった機械産業全体に「普及」した。

2012-12-11 21:46:41
bouninng @bouninng

競合企業同士の間でも、技術は水平に「普及」する。日本の技術力は研究コンソーシアムのような共同研究機関によって育成された。こうした研究機関によって各企業は市場で競合する前に、共通の技術基盤を形成することができる。

2012-12-11 21:47:05
bouninng @bouninng

各企業はコンソーシアム内のあらゆるレベルの開発段階(基礎研究、システム開発、機器や部品の製造まで!)で協力する。コンソーシアムの形態と機能に様々な種類があり、コンソーシアムに参加している企業同士の競争が無くなることもない。アメリカでは旧来「共謀」としてさげすまれてきた手法である。

2012-12-11 21:47:20
bouninng @bouninng

その他にもジョイントベンチャーや技術交換契約、クロスライセンス契約やセカンドソース(同一製品をニ社以上に生産させる制度)による部品調達やプロダクトシェアリング(生産工程の分業化)、業界団体や生産者組合などの「外部の」ネットワークを通じても技術情報は交換されてきた。

2012-12-11 21:47:40
bouninng @bouninng

こうした共同研究に参加し、技術情報を交換している企業は、不必要な重複が避けられ、資源が有効に活用できる。また資源が蓄積してリスクが分散されているため、より野心的な技術戦略を展開できるだろう。

2012-12-11 21:48:10
bouninng @bouninng

また共同研究のおかげで、日本の産業は企業間競争を維持したまま規模のメリットを享受できる。それどころか研究コンソーシアムによって市場は一定レベルの技術水準が保たれるので、実際には競争を激化させている。

2012-12-11 21:48:32