あの人は仕事に対しては酷く生真面目というか勤勉で、陽も昇る前から寝床から抜け出してしまう。続く控えめな水音と衣擦れを耳にしながら、あの人の体温の残る場所へこっそり身体をずらす。ただの寝返りを装って、「武装」していく気配だけを全身の神経をそばだてて感じている #ステイ
2012-11-26 07:18:34昨夜のおとないはかなり遅く、あの人の思う通りにはさせなかったから(こちらは4日も待ったのだから、やることはやらなければ)、相当眠いだろうに、あくび一つしない。そうやってここでの時間を動作ごとに切り捨てていくのを、憎し恋いしで感じている #ステイ
2012-11-26 12:17:32片腕だけの装いは慣れてはいるのだろうが、不器用なあの人にはそれなりに負担らしく時折「ふ」と短くため息をつく。猫のそれに似ているのがなんだか可愛らしいと思いながら、それでも淡々となされていく身支度の様子を感じている #ステイ
2012-11-26 12:24:34手伝ってなんてやらない。それに一人で鎧うのでなければ意味がないのだろうし。僅かな残り香すら切り捨てられてしまうのを悲しく思うと同じくらい、切り捨てて置いて行くだろう、自分の気配を計ってほくそ笑んでいる #ステイ
2012-11-26 12:27:34いつか。あの人がどうそぎ落とそうとしても落しきれないくらい自分の存在を沁みつかせてやりたい。努力はおしむつもりはない。そういつかは。そうなる日まではいくらでも、待つことができる。そのいつかまでは、ずっとこうやってここで待っている #ステイ
2012-11-26 12:31:41そう、ここで、こうやって、いいこにまっているから。ずっと、あなたがくるまで、どこにもいかずに、まっているから。だからはやく、はやく、ここにかえってきて #ステイ
2012-11-26 12:34:09と言いつつ、3日目くらいには耐えきれず小鳥に憑依して参観日に行くのです@百舌 そして「爪シャキーン★」とかとの戦闘が待っているのです #ステイ
2012-11-26 12:36:23閉じた目蓋の内側でも、寝具に埋もれさせた耳も、きゅっと握り締めた掌の内側でも、寝具からはみ出させた白い脛の産毛すらも、こちらの動向を『おとす』まいと感覚を絞り上げるようにしてうかがっているのを知っている。不器用に身支度を完成させていく様子を探っているのを知っている #ステイ
2012-11-26 22:53:12いつだって眠りを装って感覚をそばだてて一挙一動で測っているのを知っている。こちらの身ごなしや息遣いのなにかが時折琴線に触れるらしく、綺麗な唇の角を僅かに上げているのを知っている。こちらが気がついているのも気づかれているのも知っている。彼に隠し事は難しい #ステイ
2012-11-26 22:58:14ここに来ると、コートの前立てを解く所作すらもどかしく見えるらしく、「ああ、もう!」とすぐに彼は手を出してくるのだが、暁にはまだ間があるこの時間帯はいつもこうやって静かにこちらをうかがっていてくれているのを知っている #ステイ
2012-11-26 23:08:38