旧海軍のシーレーン防衛憶測話
- Nyar_Horten
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直接護衛は数足りないんで無理、だから間接護衛に切換えました(要約:敵策源地を後方に下げようぜ、マハン的に)、が多分戦前の旧海軍なんじゃないかしら。あと割りと航空隊の存在が忘れられている様な
2012-09-20 04:26:45シーレーン攻撃の花形は恐らく潜水艦。戦前の潜水艦は目視とソナーを使用し、水上航行時に最大半径約20kmの円内を索敵する事が出来る。移動力は水上時速約40km、水中時速約15km。亦、通信能力は貧弱(水上艦との連携は基本無理と判断されている)
2012-09-23 09:26:16一方、目標となる水上艦船の速力は、軍艦が巡航で時速約35km(護衛艦は時速約30km程度)、商船は時速約20~30km。潜水艦が水上航行をしている場合に於いて、能動的に接触が可能な相手だった、と言ってよいかと(尤も、軍艦相手だと最大戦速で行動されると普通に逃げられる)
2012-09-23 09:29:15亦、潜水艦はその隠密性に存在意義があるのであり、(水上警戒能力が低ければ)自然と水中での行動を主とせざるをえず、目標との接触は自ずと待伏せといった受動的なものとなり、彼女等の狩場は自然と目標が高い確率で行き来している筈のシーレーン上や敵港湾近辺となる
2012-09-23 09:35:20日本のシーレーンは、大雑把には今も昔も東シナ海から南シナ海、東南アジア周辺海域(近年はインド洋からアラビア海まで伸びてますけど)となります。そして戦中、その沿岸部には航空基地が設置され、基地航空隊が配置されている
2012-09-23 09:38:59で、陸攻や大艇には攻撃任務の他に哨戒任務がこなせる事が求められており、実際、作戦の合間には哨戒(戦史叢書「海軍航空概史」によると基地周辺700海里程度)を行っていたとされています。この辺りは光人社から出ている幾つかの関係者の手記からも確認出来るかと
2012-09-23 09:43:42といった辺りから考えると、案外旧海軍は艦船ではなく航空機により敵潜水艦の頭を抑える事でその索敵・機動力を削ぎ、間接的にシーレーンを護衛しようとしていた、或は結果的にそういう形になっている心算だったかもしれない、とか思ってみたりしなくもなく
2012-09-23 09:47:19ついで。米海軍が42年頭には潜水艦に対空レーダーの装備を順次開始している事は、旧海軍にとって大きな誤算に繋がったんじゃなかろうかと(そら頭を抑えている筈が、当の潜水艦側には「哨戒中の一日当りの平均潜水時間が一時間かそれ以下」という船があった程な訳で(学研「日米潜水艦」参照)
2012-09-23 09:52:04(朝の小話のネタ本は、光人社「伊25号出撃す」「最後の二式大艇」「一式陸攻雷撃機」「潜水艦入門」「海軍航空教範」「日本潜水艦物語」、戦史叢書「海軍航空概史」、海人社「アメリカ潜水艦史」、原書房「アトラス世界航空戦史」、学研「日米潜水艦」「一式陸攻」、酣燈社「対潜哨戒機」)
2012-09-23 19:18:49旧軍は、今の目からすると意外に感じるかもしれないほどに海外の情報収集を積極的に行っていた可能性が窺えたり。例えば各国軍教範の類や論文、各種出版物の翻訳本がその一例(外国軍教範類の翻訳本はネット上でも探し当てる事が出来るくらいですし)
2012-09-30 05:45:04亦、戦史叢書等を紐解けば、彼らが一次大戦の頃から列強と比較して自らの工業力の水準に起因する継戦能力の不足を自覚している様子も浮かび上がってきます(亦、その状況を少しでも改善する為に、例えば航空業界に対し様々な梃入れを行っている)
2012-09-30 05:49:06で、情報収集とその分析は仮想敵国も普通に行っており、その過程で旧軍、というか当時の日本のアキレス腱は概ね把握されていた事は旧軍でも端から予想された事でもある訳で(つか、例えば「日本開戦せば」というソ連が日本の継戦能力を分析した本が陸海軍で資料として閲覧されていた、とのこと)
2012-09-30 05:52:22昭和5年以降の海軍国防所要兵力研究で、防備部隊の戦時所要艦艇数(常備兵力とは別に必要な数)として水雷艇56、海防艦並びに砲艦96(内通商保護用が半数)、他艦艇約400が必要との判断がなされている当りからも、それらは窺えるかと
2012-09-30 05:57:09後世の目から見て割と真っ当な判断がなされながらもそれらが実現できなかったのは、ぶっちゃけてしまえばお金が足りなかった事と、仮想敵国を自国の台所事情に見合ったものにする為の様々な努力が諸事情により及ばなかったことがその原因なのでしょうけど、多分
2012-09-30 06:02:21そんな中、航空機の性能向上と潜水艦の低い警戒能力と水中機動力を鑑みつつ、各鎮守府や沿岸部の飛行場を中心に700海里程度の半径の円を描くと、割と海上交通路の防衛っていけるんじゃね?みたいな考えが出てきそうな気がしなくはない。実際対潜用途に航空機を活用するという発想はあった訳だし
2012-09-30 06:06:44前者は内心は直接護衛したかったよ、でも金も時間もねぇからできなかったよ、後者は潜水艦?まさにドン亀、頭抑えられたら目も耳も足もとろくせぇよ的な雰囲気がそこはかとなく漂う感が。そして、どちらも航空機の存在感を随所で指摘しつつも、結局船が何杯といった話に終始してる感も
2012-10-07 09:50:45一応、前者の基地航空隊の任務、哨戒範囲を示す図等から、海上交通路を航空機で警戒していたとする箇所は有るも、航空機を以て海上交通路を護衛していたとする記述は無かったな、と
2012-10-07 09:53:42