1日目―旅の始まり
2日目―パキスタン編
パキスタンは今2時半です。結局、宿は見つからなかったので、今は街道の村で野営しています。明日はさらに街道を歩いてイスラマバードを目指します。おやすみなさい。
2012-10-21 06:30:52イスラマバードを見物していると、後ろから「捕まえてくれ」という叫び声。振り返りざまに走ってきたひったくり犯とぶつかり、男は盗んだ物を落として逃げて行った。遅れて現れた声の主(人の良さそうな老人)にそれを渡すと、昼ご飯を奢ってくれるという。何もしていないのだが、あやかっておくか。
2012-10-21 15:36:07酔い止め薬もらったら多少はマシになったけど、副作用か何なのか眠くなってきたな。運転手の兄ちゃんは寝ててもいいよって言ってくれるけど、揺れがひどくて眠れやしないよ。
2012-10-21 16:42:07――その日の夜
今まで完全に気を失っていたが、あの揺れの中で普通に眠れるわけがない。酔い止め薬に……いや、その前の食事に睡眠薬が入っていたんだろう。今思い返せば、ひったくり犯と運転手の背格好も似通っていたような気がする。あの親子初めから俺の荷物が狙いだったんだ。
2012-10-21 21:34:58とりあえず、立ち止まっていても埒が明かないので、また歩きます。辺りをよく探したら重たいだけのテントと寝袋は残されていました(情けだろうか?)。あとパスポートは肌身離さず持っていたので無事でした。これから星明かりを頼りにインドとの国境を目指します。
2012-10-21 21:42:46日本では今頃オリオン座流星群がピークなんだろうな。こっちではまだオリオン座が昇ってきていないので、見ることができません。ただ、星空はとてつもなく綺麗です。一億個くらい見えていると思います。
2012-10-21 22:00:123日目―カシミール編
日がとっぷりと暮れた頃に、小さな集落を見つけました。現在地を尋ねると、どうやらカシミール地方の国境付近らしいです。この先では印パの両軍が睨み合っており、道らしい道は封鎖されているとか……行き詰まりだな。
2012-10-22 00:21:06仕方がなく今夜の野営の準備を始めたら、子供達が物珍しげに寄ってきた。日本人を見るのは初めてらしい。わからない単語もあったりして、たじたじになりながら答えていると、その中の一人がこんなことを言い出した。「俺、抜け道知ってるよ」
2012-10-22 00:41:07どうやら子供たちの遊び場になっている森の中に狭い渓谷があって、その流れを辿って行けば人目につかず国境を越えられるようだ。その少年は明日の朝一で案内してくれるという。もちろん大人たちには内緒で。どこの国でも子供は無邪気というか、無謀というか……。
2012-10-22 00:47:06もうそろそろ集落も寝静まった頃だろうか。これからテントを片付けて、一人で森に入ります。昼間にたっぷり眠らされたおかげで、元気は有り余っているし、何より少年を巻き込むわけにはいかない。だいたいの場所は教えてもらったので、兵士に気づかれぬよう、携帯の小さなライトを頼りに突き進みます。
2012-10-22 02:19:06少年の話していた目印をチェックポイントのように辿っていたら例の渓谷を見つけた。谷間自体は小規模なもので、中央には晴れ間が続けば途絶えそうな水の流れ。その両脇は人一人通るのがやっとの幅だ。風が通らないせいで臭いが篭っていることもあって、何だか下水道を思わせる。
2012-10-22 02:51:06左右の岸壁は多少の起伏こそあるが平均して2m程。身を隠すには十分な深さだ。ただし、前後から来られると、一方向に逃げるか、思い切って飛び出すしかなさそうだな。
2012-10-22 02:58:06渓谷を東に向かっていると右前方の森から話し声が聞こえてきたので身を潜めています。どうやらパキスタンの兵士のようです。渓谷に小便をし始めました。下水道というのもあながち間違いではなかったようだな。
2012-10-22 03:18:07