森の中で追ってきたのは印パどちらの兵士でもなく、何故か中国の人民解放軍でした。今、後ろ手に縛られ、目隠しされ、携帯も取り上げられていますが、サイコキネシスでTwitterをしています。
2012-10-22 04:45:06―チベット編
カシミールで人民解放軍に拘束されてから何だかんだあって今チベットの寺院にいます。まだ認められたわけではありませんが、これから高僧の元で修練を積むことにしました。こうやって生きていられるのも彼のおかげです。
2012-10-22 12:06:20高僧に寺院での修行を申し込むと始めは渋られましたが、頭を下げて食い下がると一日だけ見てやると言われました。この一日で試されるのだと思います。頑張ります!
2012-10-22 14:03:30ひたすらにマントラの詠唱を繰り返していたら日が暮れてきました。寺院の食事は山菜やキノコ、吸い物など質素ですが、身ぐるみを剥がれ、一文無しとなり、修行に身を窶し始めた今となっては、天からの賜物のように感じられます。
2012-10-22 19:58:44師は夕餉も取らずに堂の奥で瞑想しておられます。夜は各自が自主的な鍛練に励むようなので、私も写経をしています。タイムリミットは一日。やれるところまでやってみよう。
2012-10-22 21:07:05写経しながらまどろみの中で夢を見ました。今の心理状態が投影されたり、過去の出来事が思い出されたり、行動の喚起が促されるような、都合のよい夢ではなく、何事も起こりえるように起こる、少し歪んだ日々の夢でした。
2012-10-23 00:53:01日本とチベットの時差は1時間ってことになってるけど、中国は広いわりに標準時子午線が1本(北京あたり)しかないので、実際にはかなりの開きがあります。同じ経度にあるインドが3時間半ですからね。
2012-10-23 01:13:40厠のついでに覗いてみたら、師はまだ瞑想に耽っていた。深い思惟に入っておられるようだ。教えを請う暇(いとま)もない。まあ、浄土教でもないんだから、他力本願はいかんのだけど。
2012-10-23 01:23:174日目―ネパール編
おはようございます。チベットは今7時なんですが、昨夜話した時差の妙のためにまだ外は暗いです。朝一で再び師の元を訪れましたが、堂にはいませんでした。どこかで寝てるのかな?
2012-10-23 08:15:44一斉読経を終えて、今から朝餉なんだけど、やっぱり師の姿は見えない。誰に居場所を尋ねても言葉を濁すばかりで教えてくれないし、中には「友達に忍者か侍いる?」とかあからさまに話を逸らしてくる僧もいる始末。いねえし絶対に何か隠してるだろ。
2012-10-23 09:14:07町に下りてみたところ、道路にまだ新しい焼死体がありました。今朝方、一人の高僧が中国政府に対する抗議のために焼身自殺したということです。まさかと思い、寺院に戻って問いただすと、もう隠す必要がないと悟ったのか、口を割りました。あの亡きがらは老師だということです。
2012-10-23 10:15:07悲しみを乗り越えようとしたらヒマラヤを越えていました。ネパール側に下りる道中、高山病で倒れ、今は湖のほとりにある町で治療を受けています。町医者いわく「峠は越えた」みたいです。
2012-10-23 18:30:15気が弱るままに「悲しみはどうすれば越えれますか?」と尋ねると、町医者は表情を緩ませて「薬という字には『楽しい』という字が入っている」と言いました。「しかし、それは鎮痛剤に過ぎない。医者の悲しみは患者を救えないことだが、更なる悲しみを生み出さないためには前を向くしかない」とも。
2012-10-23 18:40:39倒れていた僕を町まで運び、ずっと看病してくれていた女性がいると聞かされ、病院の外に出ると、寒さに頬を赤くした15歳くらいの少女が「もう大丈夫なの?」と駆け寄って来た。その手には食料が抱えられ、私のために家から持ってきたのだと言う。俺はこんな細い腕に助けられたのか……。
2012-10-23 19:07:40もう真っ暗なのに危険を承知で下山し始めたら、少女が途中まで見送ると言ってついて来てしまった。月明かりが雪原に反射して微かに青白く光る道を行きます。
2012-10-23 21:07:32少女と一緒に歩きながら、僕が旅をする理由について話しました。恥ずかしいので、まだ誰にも言っていないのですが、少女は笑うことなく、真剣に聞いてくれました。
2012-10-23 22:02:07僕が旅をする理由。それは様々な紆余曲折、艱難辛苦を乗り越え、成長を果たした姿で、27日京都にたどり着いたという設定をでっちあげるためです。
2012-10-23 22:21:47