狂人演説(2012/12/23):成長物語の欠陥

成長物語は成長する前のことはきれいさっぱり忘れることがあまりにも多い。成長物語にとってそれは無価値だからだ。 だが、本当にそれでいいのか? という問いかけが俺の中であって、それをつらつらと述べたもの。 赤:成長物語に関すること 青:成長する前の子供のこと 続きを読む
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犬神工房 @nokkaranoumu

成長物語のイヤなところは、成長することで成長前のことを完全に切り捨てるところだ。皆さん覚えがあるだろう。(我々皆さん論法)成長する前のことを思い出さない、その時に失われたものに思いを馳せない成長物語は、成長する前の読者に実に無自覚に、あるいは明確に自覚的に、喧嘩を売っているのだ。

2012-12-23 11:36:28
犬神工房 @nokkaranoumu

さらに言えば、中世の成長物語とナチス統治下の成長物語と現代日本の成長物語は全部別なのだ。そりゃそうだ。社会に要求されているものが違う。

2012-12-23 11:39:05
犬神工房 @nokkaranoumu

俺にとって成長物語とは「政治体制を書き換えて大統領になること(タイラーかよ!)」だし、あるいは「正社員になって安定した給料をもらうこと」や「彼女を作ってラブラブになること」だったりするかも知れない。

2012-12-23 11:39:56
犬神工房 @nokkaranoumu

要するに成長物語というのは死ぬほど恣意的なので、成長したら偉いというのは恣意的、俺ルールに過ぎない、ということは弁えていないといけない。(いつもにもまして怪文章だな)

2012-12-23 11:40:43
犬神工房 @nokkaranoumu

だって、突き詰めると「人類の栄華を極める」ことが成長物語の極みということになっちまいますぜ。そんなもんは要らない? 欠損を埋めるための何かがあればいい?

2012-12-23 11:42:50
犬神工房 @nokkaranoumu

そういう「欠損を埋める」ことにも差別はつきまとう。欠損のある人は劣等感を持つし、欠損のない人はもっと馬鹿にされている。

2012-12-23 11:46:08
犬神工房 @nokkaranoumu

非モテ談義がまさにそうだ。「酸っぱいブドウ」理論には見るべきところがあるが、基本的に今の貧乏人の若者に恋愛などというコストのかかる遊びは遠い趣味だということが分からないアホが多すぎる。あげくそれを「欠損」ということは、自分で解決できる問題ではないので、ただのシバキアゲでしかない。

2012-12-23 11:46:41
犬神工房 @nokkaranoumu

成長物語がシバキアゲに使われることに疑問を持たない奴は、本当に馬鹿じゃないの。

2012-12-23 11:47:56
犬神工房 @nokkaranoumu

変わらなきゃならないから、変わることを余儀なくされただけだ。それを成長だの何だの自己肯定するな。単なる転向であり適応だ。スキルが伸びようが、それは要求されたスキルが伸びただけだ。多くの場合、その時要求されなかったスキルは衰退している。だからこれを成長と呼ぶのは本当は適切ではない。

2012-12-23 12:10:41
犬神工房 @nokkaranoumu

俺も転向した。このことにやましさを抱いている。こういうやましさを描かない「成長」物語というのはやはり欺瞞だと思う。

2012-12-23 12:14:07
犬神工房 @nokkaranoumu

ああそうだ、成長について何か午前中ダラダラと述べたけど、もちろん青年が身体的・性的に生殖可能になったり、社会的・自省的に発達したりというのを否定するわけでは全くありません。そこに達してない人たちを無視しすぎるというだけで。あの、基本的なことですけど、それじゃ親になれませんよ?

2012-12-23 17:18:43
犬神工房 @nokkaranoumu

当然親になったところで、子供への軽視をなくせる訳では全くないのだが、あまりにも子供の価値の否定を行っていると、親業は成り立たない。

2012-12-23 17:24:38
犬神工房 @nokkaranoumu

真の成熟とは、成熟していない相手への敬意というところにあるのだと思う。可愛さや逞しさ、あるいは儚さというのはそういうところにあるのだと思う。それを単に消費するな。それらを取り戻せ。取り戻さなければその人は、子供と接する能力も資格もないことになる。少なくとも親になって欲しくはない。

2012-12-23 17:26:37
犬神工房 @nokkaranoumu

でも、それらはスキルの向上を伴うかも知れないが、「環境が要求する」スキルありきなので、所詮はすべて環境の変化による適応であり転向、ということに尽きる。

2012-12-23 17:32:59
犬神工房 @nokkaranoumu

結局ヘーゲルになってしまった。成熟していない子供と成熟した大人を止揚したら適切な親になると言ってるわけだからな。

2012-12-23 17:31:15
犬神工房 @nokkaranoumu

万人が大統領になんかなれるわけがないが、大統領になれなくても誰も「成長無能力者」とは言わないだろう。それはスキル至上主義からすると欺瞞なのだが、そんなこと言われても普通に生活している人たちは「なに言ってる、頭おかしいよ」で終わるだろう。

2012-12-23 17:37:14
犬神工房 @nokkaranoumu

どんな者だろうと人にはそれぞれその個性にあった適材適所がある。王には王の、料理人には料理人の。それが生きるという事だ。成長も同様「強い」「弱い」の概念はない。

2012-12-23 17:38:25
犬神工房 @nokkaranoumu

子供でも大人でも親教師でもいい。無限に広がる大宇宙の前には命はすべて平等に価値がないし、社会が要求しているのは大人や親教師であるから、社会にとっては子供は価値がない。無限に広がる大宇宙の前では社会の方が間違っているのだが、まーそれはいー。でもわれわれは騙されない(われわれ論法)。

2012-12-23 17:44:40
犬神工房 @nokkaranoumu

まあ、なので、何かというと、成長してもしなくてもいいが、成長していない子供は社会には無価値である。

2012-12-23 17:53:14
犬神工房 @nokkaranoumu

しかしそれでも、創作上は別に「成長しようがしまいが全員平等に肉塊」という一面の真理を描いてもよいのではないか。単に社会を反映して、社会に適応して転向するということを(だってそれが成長ということでしょう)美化しなくてもよいのではないか。

2012-12-23 17:53:38
犬神工房 @nokkaranoumu

だから、成長小説と転向文学は等価であるということが周知されねばならない(グルグル目で)

2012-12-23 18:03:32
犬神工房 @nokkaranoumu

あと、ある種の難治性の病人にとって、回復とは努力でどうこうなるもんでもない場合があるのよね。そこは俺も回復という概念に対して安易に期待していないところでもある。そういう病人をも排除しない小説が書きたい。そうしないと肝心の作者である俺自身が作品から排除される。(作者のエゴ丸出し)

2012-12-23 18:09:51
犬神工房 @nokkaranoumu

成長小説は実は成長する前の状態を排除する小説であるし、成長する前の環境を排除する小説でもある。今や俺はそんなもんは描けない。そこは何とかしなきゃと思う。

2012-12-23 18:11:43
犬神工房 @nokkaranoumu

あっ、ちなみに「王には王の、料理人には料理人の」はジョジョ第六部ストーンオーシャンのネタです。

2012-12-23 18:21:37

コメント

とげとげ @togetoge10 2012年12月23日
そもそも主題の「成長物語」が何を指したものなのか、ってのがわからないので、演説の内容に踏み込めない感じでした。
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犬神工房 @nokkaranoumu 2012年12月24日
ああ、そうでした。ビルドゥングスロマン(成長物語、教養小説)で、内面の成長を描いたものとしては、パッと思いついたのは銀河鉄道999です。
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犬神工房 @nokkaranoumu 2012年12月24日
銀河鉄道999は星野鉄郎がメーテルに導かれて成長する話でした。母を亡くした少年が強い孤独の戦士になっていく様は確かにかっこいいですが、あまり過去の弱かった自分を顧みなくなるので(顧みる回もあったはずだが、それは一貫して話の主題ではない)、そこに「あれ?」というのを感じてしまう私だったのでした。
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犬神工房 @nokkaranoumu 2012年12月24日
ガンダムもエヴァもどちらかというとそういう成長物語に「ファック」と言った作品ですね。ファーストガンダムは成長物語だけど、Zはカミーユは精神を病んでしまいからなあ。
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犬神工房 @nokkaranoumu 2012年12月24日
小説だとゲド戦記(第一巻『影との戦い』)ですね。あれは「才能ある若造が禁呪で自分の影に命を与えてしまい、それを倒しに行って、大人になっていって、最終的に影と合体することで影を取り戻す」という話でした。第二巻からは別の原理になっちゃうけど。
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犬神工房 @nokkaranoumu 2012年12月24日
少女向けだとセラムン(俺の見たのはアニメだった)がそうだった。ガキそのもののうさぎが最後の二話で吹っ切って戦い抜く話だった。あと浦和くんが(以下千文字程度の書き込みが想定されるが省略)
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犬神工房 @nokkaranoumu 2012年12月24日
そういうの格好いいけど、それらの作品は長編化したときに「成長はいい。だがその後どうする?」というのがほぼ全部付きまとっていて、単純な成長物語ではなくなっている。では成長とは何だったのか? 本当に諸手を挙げて歓迎すべきことか? 実は何か大きなものを見落としてやしないか? というところからこのまとめが始まった。結果的にはそういうことのようです。
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犬神工房 @nokkaranoumu 2012年12月24日
いや、漫画で言うと藤田和日郎作品(うしおととら、からくりサーカス)は成長物語で納得しやすくてかっこいいんですけど、過去のいろんな意味で弱かった頃を顧みる工程はなきゃならん、という(月光条例)。
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犬神工房 @nokkaranoumu 2012年12月24日
そうそう、小説の書き方本をいろいろ書いている大塚英志の本に、しばしば成長物語やキャラクター小説の話が出てくるんだけど、とりあえず書く分には成長小説はいいけど、本当にそればかりでいいのか、それともそうでなければハリウッド的に(大塚本ではハリウッド流脚本の書き方も使われている)受けないのか、という悩みもあったんだった。
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