真冬のホロスコープ あるいは Happy New Year

DOC:自PC/NPCによる二次創作という名の気持ちの悪い文章。BL素地の上に今回は内容が輪をかけて気持ち悪いので読んで吐いても責任取りません(爆)
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犬子 @27000hz

拝み倒して、あちらから休日を(いろいろ諦めたようで二つ返事だった)、こちらからは同伴(相当ごねられたが一度決めるとそれはそれ、らしい)をもぎ取り、居心地のいい肩に安住の地を得ている。流したままの長い髪は御簾程度と考えていたら案外防寒効果が高い #百舌days

2013-01-06 09:53:35
犬子 @27000hz

外に出ても自前(まあ借り物の体だが)の羽毛と合わせて充分と思っていたら、そっと襟元を開いてくれた。「あんただけの『体』じゃあないし」というのが多少言い訳めいて聞こえ、体の真ん中から熱くなるような感じがする。錯覚だろうが気にするものか。『信じる』なら自分には真実だ #百舌days

2013-01-06 10:00:28
犬子 @27000hz

せめてこの体の、一番柔らかくて心地よいだろう(と思われる)羽毛が触れるように、それでいてあの人の体温に少しでも多く触れていられるように、必死に考えて小さな体を動かし張り付くと、コートの上からそっと押さえる手がある。「落とすと、困るし」 #百舌days

2013-01-06 10:04:59
犬子 @27000hz

嬉しく身を摺り寄せると、くすぐったそうに、んん、と鼻声を出し、「多分、落とすと見つけられない」探すの面倒、と昨夜結構降った雪に足跡を残しながら続ける。照れ隠しなのだと勝手に解釈すると同時に、仕事の時間は誠実に職務に捧げている人の邪魔にならないようにしようと誓った #百舌days

2013-01-06 10:12:00
犬子 @27000hz

コート越しに触れている手は、この姿だと大きく、包まれている感が心地よいが、不安にもなる。隻腕の彼が歩きながら手をふさぐというのはめったにない。「念ずれば花開く」類でも、肉体そのもので力押しする類でもない人が頼みにするのは今自分の仮身を包むその手だけだ #百舌days

2013-01-06 10:18:23
犬子 @27000hz

「ぴ」と漏れた鳴き声に「足手まといと思ってるなら連れて来ないから。『どうとでも』するし」含みを持たせて返してくる。勿論見極めつけて逃げるくらいはできる。自分の身柄くらいは責任を持てるだろうという信用に喜び、同じくらいにそれが信頼に変えられないかと欲を覚える #百舌days

2013-01-06 10:24:11
犬子 @27000hz

「昨日はこの雪だし、今日は日が日だし」だからそれほど心配する必要もないのだと。「例年どおりなら、火蜥蜴の物好きどもがいくらかって程度だけど」彼は目元だけを僅かに緩ませて空を見上げる。「こんな夜はどうかねぇ」彼を、自分を、街を、すべてを見下ろしてきている夜空 #百舌days

2013-01-06 10:35:38
犬子 @27000hz

彼の視線の先を追うように小さな頭をコートの襟元から伸ばす。冴えた夜気。色濃い冬の香り。空には無数に星。月は新月で、星ぼしの光は酷く頼りない。月が見えない、ただそれだけでも酷く胸が騒ぐ気がする。これまでの記憶が閉じた扉の向こうから襲い掛かってくるような気がする #百舌days

2013-01-06 10:41:43
犬子 @27000hz

それを読んだように(見た目によらず聡い人なのだ、そうあれかしと望むなら)「そうでなくても『これまでのありよう』を思い出す日だから。わざわざ『独り』になろうとなど、思うまいよ」まとも、ならね、と続ける。差し潮のように押し寄せる記憶は幸福なものばかりじゃないだろう #百舌days

2013-01-06 10:48:06
犬子 @27000hz

この街に住み続ける、あるいは望もうが望むまいがやって来る羽目になったものには沈めておきたい、悲鳴を上げたくなる記憶が殆どだろう。誰かの気配や心、あるいはその体の湿度と温度で嘆きを眠らせたいと願う夜は誰にでもある #百舌days

2013-01-06 10:55:33
犬子 @27000hz

そう瞭然たる精神を持ち続けようと願うなら。ただの肉欲に、意識の奥深くに隠した、そういう手に負えない心を抱きとめるのが、そのためにこの身を披くのが自分の仕事と思っている。そういう意味での申し訳なさを感じるべきなのだろうが(今晩も繁盛しているだろうから) #百舌days

2013-01-06 11:01:50
犬子 @27000hz

唐突にニューイヤーというか大晦日を今更投下しています。某ヘブンリーには門松はさすがに置かないと思うんですが、ニューイヤーのサドンデス仁義なきちっすはあると思うんですよね、アオトさん狙いの。でもこれまでは防衛戦は完全勝利に決まっています

2013-01-06 11:06:05
犬子 @27000hz

だが今は気にしない、ことにした。勿論その上で、忘れないように。難しいことだが投げ出すつもりもない。彼が、そうでない誰かが押しつぶされずにその足で立っていられるように。自分にはその『責任』がある、のだと薄々と感じた。ほんの少しでも単なる人間よりは強くあらねばならない #百舌days

2013-01-06 12:57:04
犬子 @27000hz

そう、理由は知らぬままに、しかし自分はそうあるべきだと感じている。だが今は。相向かいにそれが「欺瞞である」とささやくものがあるのも知っている。自分はただ好きなひとと、いっしょにいたいだけなのだ。いつまでもいっしょにいたいだけ、それだけなのだと #百舌days

2013-01-06 13:03:21
犬子 @27000hz

仮身の目蓋を閉じる。この体温と吐く息の湿度が自分だけのものになるなら、どんな義務も権利もほおり出しても惜しくない。罰を受けようが、恨まれようが、死のうがちっともこわくない。この人の中に融けることが出来るのなら、どんな努力も惜しまない、その責任だけは投げ出さない #百舌days

2013-01-06 13:10:58
犬子 @27000hz

「ああ、また『おっかないこと』考えてる」と揶揄する声にはっとして目を開く。目の前に「こっちへ来て」と人差し指と中指がすうっと伸びてくる。手袋は「感覚がわかんないし」とはめない、素の肉を捉える。『ふたり』だけで身に受ける夜風に身を震わせながら、彼の息遣いに耳を傾ける。#百舌days

2013-01-06 13:19:06
犬子 @27000hz

ふ、といつもの猫のような溜息を吐き出す口元の息は、目に見える形の命の放出のようだと、切れるような寒さの流れを身に受けながら思う。それを見ているのは自分だけという事実を、熱っぽくぼんやりと知覚するその時、唐突にその唇がくちばしに触れてきた。何度も、何度も #百舌days

2013-01-06 13:28:21
犬子 @27000hz

ずっと、じっとその顔を見つめる。なるべくまばたきをしないよう、出来る限り大きく見開いて、しっかりと。かすめるようにしかならない交接をしてくる人を。ひとしきり一方的にことを終えたあと「時間もわからないから『外していたら』意味が無いかと思って」とすっと視線をそらせた #百舌days

2013-01-06 13:33:54
犬子 @27000hz

気にしてたみたいだったし、というのに続けて「このくらいしか『あげられる』ものなんかないから」とどこかふてくされて聞こえる言い方をしてくるのが酷くいとしく思えた。指から飛び立って、羽ばたきながら今度はこちらから、嘴で傷つけないように遠慮がちに触れたいと思った #百舌days

2013-01-06 13:44:34
犬子 @27000hz

触れそうになる直前にきゅっと伸ばしてきた手に捕らえられてしまう。そのまままたくつろげられたままの襟元に押し込められて、衣類越しに押さえつけられてしまう。潰れないように気を使ってはくれているのは分かる。自分ばかりずるい!とぴいぴい鳴き声を上げて抗議していると #百舌days

2013-01-06 13:50:42
犬子 @27000hz

「ありがとう」と、低く優しい声が落ちてきた。『フェアじゃない』のに、と続く小さなつぶやきもこの距離なら聞こえてしまう。そんな誠意を持っていることはこの人にとっては不幸なのかもしれない。あるいは自分にとっても #百舌days

2013-01-06 14:01:46
犬子 @27000hz

今が一年と一年の境という特殊な時間帯で、星と暗闇の中に逆さに『落ちて』いきそうな夜空の下、ただ『二人きり』という非日常性が引き出しただけの言葉なのかもしれない。それでも充分だった。その言葉と感じるいとしさを抱いて、新しい年も生き、場合によっては死ぬだろう #百舌days

2013-01-06 14:06:32
犬子 @27000hz

外が酷く冷えているせいか、彼の体温はいつもより心なしか高いような気がする。もしかしたら別の要因かもしれないと、今くらい、少しはうぬぼれさせてもらってもいいかもしれない。心地よいぬくもりを幸福な気分で感じながら、鳥の言葉にしか聞こえなくても感じてくれるといいと思った #百舌days

2013-01-06 14:14:51
犬子 @27000hz

「こちらこそ『有難う』。この新しい年も『どうぞ宜しく』」Happy New Year! #百舌days

2013-01-06 14:16:49