7Days

かんころもち @ka_n_ko

【7Days】 Last:7 この世界は7日後に終わるらしい。 SF映画や感動超大作でよく聞くそんな台詞を、まさか自分が口にする羽目になるとは思わなかった。 世界が終わる理由も、「巨大な隕石が降って来る」っていう、これまた使い古されたありふれた理由だっていうんだから、酷い話だ。

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【7D】 だけど大きい問題の根本に限って、そんな風に単純な物だったりする。 単純で誰にでも理解出来る大事件だからこそ、世界はーーシュテルンビルトの街は、未曾有の大混乱に陥る。 若輩者だとしても、僕もヒーローのはしくれ。様々な事件を通して培った経験に即して僕はそう考える。

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【7D】 混乱し逃げ惑う市民が路上に溢れ、事故を引き起こし、あちこちで諍いや暴動が起こる。 容易に想像出来る事態だ。 きっと、タイガーさんやドラゴンキッド達はあちらこちらを飛び回り、必死になって事態の収拾に努めているんじゃないかな。 ……そういう僕は何をしているのかって？

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【7D】 僕は、スカイハイさんに攫われて彼の自宅に閉じ込められている。 うん、大丈夫、わかるよ。一度言われたくらいじゃ意味がわからないですよね。 でも大事な事だからもう一度言うよ。 僕は今、スカイハイさんの自宅に拉致監禁されている。 ……まったく、何の冗談だろうね、笑えない。

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【7D】 「冗談ではないんだ、すまないね」 冗談でしょうと呟いた僕に、スカイハイさんは困ったように眉を下げて笑いそう言った。 「あと7日で世界が終わってしまうのなら、残りの時間は自分の好きなように過ごそうと決めたんだ。君には悪いけれど、最後まで付き合ってもらうよ、折紙君」

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【7D】 ごめんで済んだら警察もヒーローもいらない。 目を覚まして（どうやらスカイハイさんに奢ってもらったコーヒーに睡眠薬が入っていたらしい、道理でここまで連れて来られた記憶が無いはずだよ）話を聞かされた直後は呆然としてしまったけれど、我に返った後は必死に説得しようと試みた。

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【7D】 でも、何を言おうと何をしようと、スカイハイさんは考えを改めてくれない。 ごめんね、と謝る姿は本当に申し訳なさそうに見えるのに、そこから改める気は無いのだとすぐに思い知らされた。 信じられない。ヒーローの中のヒーロー、清廉潔白を絵に描いたような人が何故こんな事を。

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【7D】 「私はね、随分前から君の事が好きだったんだよ、折紙君」 あんまりにも予想外な答えにびっくりしてしまって、ぽかんと間抜け面を晒してしまう。 そんな僕の反応は予想済とばかりに「気付いてなかっただろう」と苦笑するスカイハイさんに、置かれた立場も忘れて申し訳なくなってしまった。

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【7D】 「本当は言わないでおこうと思っていた。だけどあと7日で世界が終わるなら、最後に、自分に幾つか我儘を許そうと思ったんだ。だからごめんね。君の7日間は私がもらうよ。何と言われようと、君を逃がしてはあげられない」 口調ばかりは申し訳なさそうなのに、そんな風に酷い事を言う。

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 「どうしてですか、スカイハイさんともあろう方が何故…こんな大変な時なのに、出動要請が来たらどうするつもりなんです？」 「PDAなら捨ててしまったよ。折紙君の物も一緒にね。だから、出動要請はあったとしても届かない」 「でも、だけど、街の人達が」

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 「世界は7日後に終わると決まっているんだよ、折紙君。残された有限な時間を、愛する人と共に過ごしたいと願ってはいけないのかい？」 いっそ諭されるような厳かな口調で、表情で、スカイハイさんの語る言葉は強い説得力を持つ。 それでも、僕らはヒーローなのだ。

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 「こうしている間にも、どこかで誰かが困っているかもしれない」 「今、世間は混乱に満ちているからね」 「ヒーローとして、救える人達もいるかもしれないじゃないですか」 「全て7日後に失われる命だ」 「やめてください！ スカイハイさんの口から、そんな言葉聞きたくない！！」

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 「君の中のスカイハイ像を壊すような事を言って、申し訳ないと思っているよ。だけどそれが今の私の、嘘偽りのない本音なんだ。……すまない」 もうこれ以上は聞きたくない。頭を振って耳を塞ごうとするけれど、後ろ手にまとめて手錠をはめられた手ではそれも敵わない。

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 そう、問題はこの手錠だ。 僕のNEXT能力は擬態、その気になれば拘束を潜り抜けて逃げ出す事はそんなに難しい事じゃない。 だけどこの手錠には、NEXT能力を封じる効果があるらしい。スカイハイさんにそう説明されたし、実際さっきから何度も試しているのに、擬態能力は発動しない。

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 だから僕に出来る事は、どうにかスカイハイさんを説得してこの拘束を解いてもらうように懇願する事くらい。 無力な自分が悔しくてたまらない。 「そんなに怖い表情をしないで欲しいな。笑ってくれとは言えないけれど、君を傷付けたいわけじゃないんだ。……ああ、でも、それも違うのか」

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【7D】 ふむ、と思案した様子のスカイハイさんが、不意にその手を伸ばして僕の頭に触れた。髪越しに耳をくすぐり、頬のラインをなぞった指先はそのまま頤に当てられ、掬い上げるように上向かされ、そして。 「ーーっ や、なにっっ」 気付けばやたらと近くに寄せられていた顔。

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 掠めるように唇に触れた感触は、まさか。 「ごめんね、こういう事は無理強いすべきじゃないとわかっているんだが、それでも、どうしても君が欲しいんだ。ーー先に宣言しておくけれど、明日君を抱くよ。一日だけ猶予をあげるから、気持ちの整理をつけておいて欲しいな」

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【7D】 なんだそれ、なんなんだ、それは。 今、スカイハイさんに何をされたのか。何を言われたのかがわからなくて……理解したくなくて、僕はただ言葉を無くして息を飲む。 スカイハイさんはまた僕の髪を撫で呟いた。 「君の、最後の7日間を私の物にする。それが私の、一つ目のワガママだよ」

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 その仕草や声色は喜色に満ちて、至近距離で覗き込んだ碧眼の奥に薄暗い情欲の炎が揺らぐ。 ああ、この人は何を言っているんだろう。ちっとも意味がわからない。 躊躇いがちに、けれども今度はしっかりと唇が重ねられた刹那、今まで僕が信じてきた世界が、音を立てて崩れたような気がした。

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 →The remaining 6 days. To be continue or End thd world?

かんころもち @ka_n_ko

【7Days】 Last:6 「イワン君、大丈夫かい？」 この状況で大丈夫なわけないでしょうと、言い返す気力すらなくして、僕は必死に浅い呼吸を繰り返す。深く息を吸えば、どうしても体の中にある違和感が際立ってしまうから。 そんな僕の苦悩を無視して、ぐちゅりと音を立てて指が回された。

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 「ひっ も、むり、やめ…！」 こんな時くらい罵倒の一つや二つ言えれば良いのに、相手がスカイハイさんだと思えばなかなか思い切れない。 そしてそれは好都合とばかりにスカイハイさんの手はあれよあれよという間に僕の体を好き勝手暴いて、泣いても喚いても言う事なんて聞いてくれない。

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 「すごいね、もうこんなに柔らかくなった。わかるかい？ 指が三本入って、動かしてもあまり痛くなさそうだ。折紙君はとても優秀だぞっと」 トレーニングマシンで高いスコアを出せた時も、こんな風に褒められながら髪を撫でられた。今日は眦に浮かんだ涙を舌で舐められるおまけ付きだけど。

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 「もう、やめて…やめてください、こんなの、絶対おかしい…！」 大事にしていた綺麗な想い出と、目の前の悪夢がオーバーラップして、拭われたばかりの涙がポロポロ零れて止まらない。 スカイハイさん、どうして、どうして。あなたがこんな事をするだなんて、今でも僕は信じられない。

かんころもち @ka_n_ko

【7D】 「痛むのかい？ すまない、本当にすまないね。本当はね、私だってもっとゆっくり時間をかけて、君の気持ち良い場所を全部暴いてね、何日も焦らして、その内に君の方から求める姿を見てみたいだとか、そんな事をね、考えたりもしていたんだよ」 やめて、聞きたくないし知りたくもない。