ミカンの皮実遊離術と皮実軸転移という遊び

温州ミカンを使った遊び。 指先の運動と、悪戯を兼ねてよくやっていたのだが みんながあんまり感心するのでまとめておく。
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チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

ミカンを触ると、皮と実の間に空間が少しあるものがある。長く食べずに置いておくとだんだんこの空間が広くなるので、どうやら中の実は水分を失って萎縮しても、皮が縮むのが追いつかず、空隙を増やすようだ。ゆっくりと皮を剥がすと、実の表面にある白い線維が、クモの巣状にその空隙をつないでいる。

2013-01-06 22:52:55
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

さてこの空隙が、(皮でなく)実の表面に沿って「皮を」指で押すことによって拡がるのを体験してもらいたい。そのとき、皮と実の間をつなぐ白い線維たちが引っ張られ、プツプツッという感触を指先に伝えながら切れていく。そうして実から、皮を離れさせることができる。

2013-01-06 22:56:28
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

(承前)ミカンの皮を指先で撫でつけ押しつけして、ぐるり外周全面において、皮の裂けることなく実から浮かせてしまうことができたとき、ミカンの皮と実は、まるで中国の象牙細工の球のように遊離した別々のものとなる。

2013-01-06 23:01:39
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

(承前)ミカンの皮と実の間の線維を断ち切って、皮が裂けないままに実から浮いた、「別々の状態」を完成したとき、皮に残るヘタの造作から判る本来の実の軸と、中にある実際の実の軸とをずらすことが可能となる。このずらす作業ともなると大変難しい。なにしろ皮が破れやすいのである。

2013-01-06 23:04:03
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

何のためにミカンの皮と実の軸をずらすのかというと、単に遊びのためであり、またそのミカンを自分で食べずに元の場所へ置いておいて、手に取った誰かが驚くのを見てほくそ笑むためである。皮と実を遊離させ、例えば90°だけ両者の軸がずれた状態が作れることを多くの人は知らないから、きっと驚く。

2013-01-06 23:08:58
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

10代にして私はこのミカンの皮実遊離術を完成させ、幾多のミカンに施術した。無論そのほとんどは私が食べたのであるが、しかし約2割は私ではなく第三者(もちろん第二者はミカン自身である)を驚かせるためにミカンの盛り皿等に放置した。例外なく第三者は驚いて、私の悪戯心を充足させた。

2013-01-06 23:13:17
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

さてここで、ミカンの皮実遊離術のコツを伝授したい。まずある程度収穫から日が経って、皮と実があらかじめ遊離しつつあるものを選ぶのが初心者のエントリーに最適である。難しいことを考えずとも軽く両手で包み込み、両方の親指と人差し指でごく柔らかく皮の一部をつまむように圧迫すれば良い。

2013-01-06 23:18:05
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

(承前)指でつままれた部分の皮は実からより遊離し、実と皮を結ぶ白い線維たちの切れる感触がぷつぷつと指先に、また音でも感じられたら、まず第一段階は成功である。順次その調子でヘタと尻の部分を除く全面を遊離させていく。ところでこのヘタと尻の2か所は最初の難関である。

2013-01-06 23:21:26
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

ミカンの皮実遊離術、最初の難関たるヘタと尻だが、私自身の経験では尻の方がより剥離が困難である。剥離と遊離と二つの似た言葉が出てきたので解説したい。いずれも二つのものを引き離すことであるが、ここでいう「遊離」に、「自由に離れている感じ」を受け取ってもらいたい。そう、宇宙遊泳である。

2013-01-06 23:26:46
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

さて一方の「剥離」であるが、これはもっと狭い範囲、あるいは狭義の引き離す行為自体である。それも剥、すなわち剥がす行為というわけだから、ある程度の面積をもった扁平な物体を、そのくっついているところから取り去ることを意味する。ミカンの皮にはうってつけの用語であろう。

2013-01-06 23:30:07
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

話が逸れてしまった。ミカンの皮実遊離術における最初の難関、ヘタと尻の剥離であった。ここを乗り切る前提として、そこ以外の全面の皮がきちんと実から遊離している必要がある。それから、皮がまだどこも破綻し裂けていないということも確認していただきたい。

2013-01-06 23:32:31
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

(承前)ヘタと尻の部分の剥離には、ほかの皮部分よりも強い剥離力を、万遍なくバランス良く掛ける必要がある。ここでもし小さな傷でも皮にあるときは、そこから力のバランスが崩れ、一気に破綻を招くからだ。では各自、確認できたと思うので、取りかかろう。

2013-01-06 23:35:54
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

ミカンの皮実遊離術におけるヘタおよび尻の遊離をイメージするには、自身の膝を触ってもらいたい。素足で膝を伸ばした状態にし、片手の人差し指と親指でCの字を作り、膝蓋骨の輪郭をなぞるように置く。続いてCからOになるように指の円を縮め、そこの皮膚を内側に絞り寄せる動作を練習しよう。

2013-01-06 23:41:02
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

(承前)この動作をそのままミカンのヘタと尻の部分に応用するのである。既に大半が遊離したミカンの皮は、まるで膝の皮膚のように浮動するであろう。指の円周が歪にならないように柔らかく縮めていくうちに、やがてブツッという感触とともにこの難関の過ぎ去ったことを悟ることができよう。

2013-01-06 23:44:51
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

手の大きい人は親指と人差し指の円でできるが、手の小さい人には難しいかもしれない。その場合は、より多くの指を自由に駆使して構わないが、正円を作るのが難しくなるため、より鍛錬を要することになる。

2013-01-06 23:50:23
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

ミカンの皮実遊離術は、ヘタと尻の部分の剥離を達成できたらひとまずの完了である。ふつうに剥いて食べるも良し。さらに捏ねくり回すも良し。私なら、後者だ。

2013-01-06 23:55:07
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

捏ねくり回す、具体的には皮と実の本来一致している軸を、ずらしたことで得られる感動を味わう作業である。私の言う軸とは、元はヘタと尻を結ぶ直線のことである。皮実遊離術をせずにふつうにミカンを剥けば、皮の軸に、実の中心を柱状に貫く軸も一致することが判るだろう。

2013-01-06 23:59:24
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

皮実の遊離したミカンは、実離れの良い甘栗のように、皮を剥けばころりと実が飛び出す状態になる。施術を知らない人がこの状態のミカンを剥いたとしても、もしこの人に観察力がなければ(あるいは注意が散漫であれば)、驚きもせず、遊離の努力も悪戯心にも気づかれもせずにパクリと食べられてしまう。

2013-01-07 00:03:48
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

ちなみに。いまGoogleで皮実遊離術と検索したら一致するものが無かったので、私が名付け親です。

2013-01-07 00:06:03
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

皮実遊離術に追加して、皮と実の軸をずらすことを皮実軸転移と呼ぶことにする。

2013-01-07 00:08:30
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

皮実の軸をずらす軸転移を行えば、比較的異変が判りやすいミカンが完成し、うっかり施術ミカンを食べた第三者による無意識の捕食を防ぎ、かつ彼らの軽微な驚きをもって施術者の悪戯心は満足させられよう。

2013-01-07 00:12:17
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

概要が長くなったが、ミカンの遊離した皮実で、さらに軸をずらす方法を説明する。両手で柔らかくミカンを包み込み、両方の親指を自分から見て向こうへ押し出すように皮を撫でていくのである。そう、この作業は最初の剥離と似ている。違うのは、中の遊離した実がずれているのを感じる点である。

2013-01-07 00:16:07
チヒロ・マデリーン @Access_to_CS

両方の親指で皮のみをずらしていくということで、逆に残りの8指と手のひらはミカンの実と、ずれていない大部分の皮を保持しておく役割を持つ。すなわち親指で押された部分の皮のみがずれていく状態が望ましい。そしてこの作業を、親指が進む方向とは逆に実の全体を回転させつつ続けるのである。

2013-01-07 00:19:08