ある夜、少年は鏡台に違和感を覚えた。鏡台は観音開きの扉を開くと鏡が見れる仕組みになっているのだが、その扉の隙間から光が洩れている。
2013-01-09 23:11:17少女はRPGゲームに出てくる村娘ような格好をしていて、あちこち泥で汚れていた。少女がいる場所は屋根裏のような所で、少年側の時間は昼間なのに対して少女側は夜であるらしく、灯りは少女が持っている手燭が頼りだった。
2013-01-09 23:25:07少年と少女は驚きつつも、なんとか会話をしようと話しかけてみたが、どうやら音は伝わらず、筆談も言語が違い使えなかったため、絵で意志疎通することにした。
2013-01-09 23:34:26少年と少女は苦戦しながらもお互いの情報を交換していった。そのうち少年側の世界は日が落ち始め、少女側の世界は空が白んで来たため、一旦扉を閉じて別れることにした。その日から少年と少女の会瀬が始まった。
2013-01-09 23:38:45ある日、少女は暗い顔で鏡台の扉を開いた。少年はどうしたの、となんとか絵で伝えると、少女は剣と盾を持った人が向かい合っている絵を描いた。戦いが、始まる…?
2013-01-09 23:43:23その次の日から少女は現れなくなった。少年が鏡台の扉を開いても、自分の姿がうつるだけ。そのうち少年は鏡台の扉を開くことをやめ、少女のことも忘れていった。
2013-01-09 23:46:45半年後、やっと鏡台を捨てるということで、久しぶりに少年は鏡台の扉を開いてみた。鏡の向こう側は真っ暗だった。よく目をこらして見てみると、いつも少女がいた屋根裏であるらしかった。
2013-01-09 23:49:55今までは少女の手燭の灯りがあったためどうにか見えていたが、少女側の世界は夜であるため真っ暗闇で何も見えない。どこかの隙間から微かに洩れる月明かりから、何かが転がっているような…?そうだ、今あっちの世界が夜なら、もう少し待てば昼になって様子が確認できるんじゃ…
2013-01-09 23:56:21少年は夜中に起き出して、鏡台の扉を開いた。少年の予想通り、少女側の世界は昼間だった。屋根裏は薄暗かったが、それでも何となく見ることはできた。
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