ミストルティン編第四話「護るべき笑顔は~ノー・ティアー!ノー・アゲイン!」 #1 「ブレイビート・チェイサー・2013」

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Astal_jukebox @astral_jukebox

これでは1試合だけならともかく、連戦前提のAB出場機に向かない…という批判に、勇矢は「アレをそのまま大会に出す気はない」と反論。興基が「それではシミュレーションにならない」と更に反論を返したが、ここで意外にも専門外の筈の仁美が意見を出した。 24

2013-01-11 09:35:50
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「あの…絶対にああいう機体は出てこないんですか?」「いやそんなの出て来る訳…っ!?」興基は彼女に反論しかけ、何かに引っかかった。仁美は彼の口調に委縮しながらも続けた。「あの、出場するのとは別に控えもあるんですよね?だから、そういうのを、とっておいて、その……」 25

2013-01-11 09:40:08
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「分かった!分かった!」「ひっ」仁美は委縮。彼を怒らせたか!?「俺が甘かったよ。お前の言うとおりだ。悪かったな」見落としを認め興起は謝罪した。「い…いえ…うう」謝られたにもかかわらず仁美は委縮してしまう。一体何が話題になっているのか? 26

2013-01-11 09:55:50
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→→→ 中断:18~19時再開予定 →→→→→→

2013-01-11 09:58:57
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→→→ 再開 →→→→→

2013-01-11 17:30:19
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アクトボットのレギュレーションを少しだけ説明しよう。多くの『競技』と名の付くもの同様に、ABにも出場人数や機体の制限がある。「1試合で出場出来る機体」は20体まで。これに1体ごと及び全体でのサイズ・重量制限が加わる。この『全体』には整備・修理用の部品や武器の予備も含まれる。 27

2013-01-11 17:36:05
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この限られたリソースを、機体の数と質やサイズ等を考えて割り振るのだ。更に予算や人員の問題もある。そのため、実際は一試合に出される平均数は10体前後である。しかしこれは『一試合に出場させる』機体の話だ。出場登録自体は『出場制限の5割までの重量で30体まで』登録出来る。 28

2013-01-11 17:40:26
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「出場中の機体が壊れても次の試合まで交替は出来ない」が、余裕のあるチームは何体か控えも登録しておくのだ。これにより対戦相手に応じて機体を組み合わて戦術を替えたり、損傷機体の予備や代替も立てられるのだ。修理もその間に余裕を持って出来る。 29

2013-01-11 17:45:49
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無論、1度に20体フルに試合に出すチームが少ないのと同様に、控え枠に30機ギリギリまで登録するチームも少ない。リソースを埋め切れる程に予算のあるチームが少ないのもあるが、多くの機体を作るよりは少数精鋭の機体を作り、残りの枠はその交換パーツで埋める方が得策だからである。 30

2013-01-11 17:50:10
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特にここにいる部員達にはその傾向が強い。全国大会レベルのチームは通常、出場・登録枠を前述の通りフルに埋めてくる。機体は勿論のこと、人員に関してもだ。最悪素人しか用意出来なくともマネジメントや力仕事、雑用などで役に立つ。人件費に余裕があれば埋めない手は無い。 31

2013-01-11 17:56:26
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しかし彼等はかつて各チーム共1~3名、3機前後という超少数精鋭で戦っていた。それに可能な限りの戦力・重量を詰め込み、残りの枠は部品や弾薬で埋めていた。おかげで1機当たりの強さは他チームを凌駕していたが、自滅前提の特攻機をおいて置く余裕など当然なかった。 32

2013-01-11 18:00:55
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しかし余力のあるチームなら、競合対策に整備性度外視のカミカゼ機を控えにしておき、切り札にする可能性は十分に有り得る。この点は他の部員も見落としていた。これまではほぼ見かけなかったが、今後は資金や機体に余裕がある団体がそういう切り札を使ってくる可能性もあり得るのだ。 33

2013-01-11 18:05:35
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「浅空君はそこまで考えてたのね?」早紀が確認する。「いや、むしろ金や怨恨目当ての線を考えてた」「怨恨、は…ともかくお金目当?」特攻機と言えど、製作には金がかかる。それ以前に参加費用が千万単位でかかることもあり、優勝賞金を得られてすらなお赤字になることも珍しくない。 34

2013-01-11 18:10:31
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そもそも企業チームの参加は大抵が広告目的だ。余程うまくやらねばアクトボットで金を稼ぐのは難しい。今の早紀にはそれが良く分かる。更に言えば、特攻で一時的に勝利出来ても機体を失えばその分戦力が減る。決行のタイミング次第では逆に優勝が遠のくだろう。皆がそう思った。 35

2013-01-11 18:15:39
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「金目当てであって、賞金目当てではない…ってことですよね?」と湊。「ああ、八百長だ」「八百長…?」「といってもワザと負けてもらうアレじゃない。えっとその、なんだ…」うまく説明出来ない勇矢を見かねて星護が替わった。「まず、この対戦表を見てくれるかな?」 36

2013-01-11 18:21:02
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ホワイトボードに簡単なA~Dチームからなる対戦表を書いた。AとB、CとDが戦い、それぞれの勝利者同士が次に戦う図表だ。「特攻機を持つチームをこのA、優勝候補として…そうだね、前年度優勝のチームをBとしよう」Aの下に剣の絵、Bの下に王冠の絵を描いた。現実なら八千代チームだ。 37

2013-01-11 18:25:28
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「Dは直接関係ないので、Cに負けたものとして除外してくれ」Dに斜線を引く。「で、八百長の主犯、指示犯人がCチームだ」Cの下にサングラスの絵を描いた。『黒幕』と言いたいらしい。「Cなんですか?」「そうだよ。Aに指示してBに特攻させるんだ」 38

2013-01-11 18:28:43
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「CにとってはAとBが相討ちになればベストだけど、どっちが勝っても構わないんだ。特攻をした方と、受けた方、どちらが勝ち残ってもダメージは大きいからね」Aが残れば所謂、無気力試合を演じさせ、弱ったBが残れば実力で粉砕するというわけだ。 39

2013-01-11 18:32:08
Astal_jukebox @astral_jukebox

「最初からBを買収して、八百長をさせるんじゃダメなんですか?」仁美が問う。「うん。まずばれない様にわざと負けるってのは難しいんだ。しかもロボを使っての集団戦となるとなおさらね。自然に負けるための練習が必要だね」八百長・敗北の練習。『練習』とこれ程縁遠い枕言葉もそうあるまい。 40

2013-01-11 18:35:39
Astal_jukebox @astral_jukebox

「Aが勝ち残ったとしてもボロボロだろうから、演技の必要も無いかも知れないね」手抜きと特攻。自分の肉体が痛まない以上、どちらがより、やりやすいかは明白だろう。しかもその場では全力で戦った結果にしか見えないのだ。「……」智明は苦い顔だった。 41

2013-01-11 18:39:12
Astal_jukebox @astral_jukebox

勝利や名誉よりも金、彼にはあり得ない発想だった。他の者も概ね同様の表情だった。…この中にも賞金目当てで出場した者はいる。だが彼らは優勝もちゃんと目指していたのだから。ロボット競技者としての矜持もちゃんと持っていたのだ。でなければ金儲けの手段として選ばなかったかも知れない。 42

2013-01-11 18:46:08
Astal_jukebox @astral_jukebox

「それにBが買収に応じる可能性は少ない。前年度優勝する程のチームだからね」企業チームの多くは金目当てでは無く、広告や技術力のアピールを目当てに参加している。企業が直接利益にならない(公算の高い)ことに金を使うのは大体がそういうことである。 43

2013-01-11 18:52:46
Astal_jukebox @astral_jukebox

「まあAチームは志が低いとか優勝賞金を上回る額の金で買収されたいうことかな、この場合」不確実な賞金一億と確実な数億。誇りが無ければ迷う者はいまい。「でも、それだとおかしくないか?」興基が質問した。「うん、分かってるよ。対戦表だろう?」「ああ」 44

2013-01-11 18:56:03
Astal_jukebox @astral_jukebox

この買収を行うには『大会前に買収して特攻機を作らせる』『AとBが、Cより先に戦う』ことが必要になる。専用機が無くとも特攻戦法は出来るが、機体と戦略・戦術は一体のものである。ある戦術に最適化させるには製作段階から備えていないと難しい。 45

2013-01-11 19:00:25
Astal_jukebox @astral_jukebox

「そりゃあEとかFとかGとか、全国に行けるレベルのチームに手当たり次第依頼すれば良い」「はぁ!?」「勿論数十億くらいかかるかも知れないが、名誉や目先の宣伝よりも、まずは金ってところもあるだろうしさ」「そんなあちこち!金はともかく、どっかからばれるだろう!?」 46

2013-01-11 19:10:44