BL怪談まとめ
- takenoko_BL
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開いた窓から少年が二人空を見ていた。二人ともシャツをはだけている。しばらくそうしていたが、二人抱き合い、長いキスをすると、もつれるようにして窓から落ち、空中で消えてしまった。二人の人影を見たという寮生の通報で、寮長がその部屋を開けたが、脱ぎ散らかされた服以外に何も無かったという。
2010-08-13 21:08:28夜風が吹き込む窓の僅かな隙間から、するりと何かが滑り込んで来た。緑色をしたゼリー状のそれは、ひとりの青年へと姿を変えた。一糸纏わぬ肢体の一部が隆起している。「怖がらないで。ボクに任せて」。彼は爽やかに微笑むと俺に抱きつく。目を覚ますと彼の姿はなく、胸元に彼の一部が残っていた。
2010-08-13 21:19:04初恋は男の子だった。まだその感情も良くわからないまま、ああ、この子と一緒になりたいと思った。きっと彼も僕に対してそう思っていた。僕らは両思いだった。ただ、彼は心臓が悪く、病院に入ると、そのまま逝ってしまった。彼は毎年夏のこの時期に還ってくる。僕も彼も、想いを声にして伝えていない。
2010-08-13 21:21:16引き出しの奥に便箋を押し込んで何年も経つ。だが、その文面は一字一句違わず刻まれている。あいつが僕の耳元でそれを何度も何度も繰り返しながら、僕の身体を弄ぶ。文面通り、首筋、胸元、背中、太腿へ、あいつの指が、吐息が、髭が、そして舌先が触れる。今年もそろそろあいつが帰ってくる頃だ。
2010-08-13 21:52:52乱暴に脱がされた。拒んでもねじ伏せられた。身を任した後に、彼の頬を張り、突っかかった。彼は、「今すぐお前を抱けと言われた。お前を抱かないと、俺が奪ってやるって」「誰に言われたんだよ」「お前の上司だ」その上司は二ヶ月も前から行方不明だ。「あいつ、お前を殺して連れて行くつもりだった」
2010-08-13 21:57:15「ほら、ここ」 彼がシャツを脱ぐと、右脇腹にぽっかりと穴が空いている。誘導されるがままに触れてみると硬すぎず柔らかすぎず、大きすぎず小さすぎず。「ちょうどいい感じだろ?」 彼を導いた男の脇腹にも、同じような穴があったという。ならばきっと、それはいずれ俺にも出来るのだろう。
2010-08-13 22:08:23果てた次の瞬間、私は暗闇の中にいた。目を懲らしても自分の指先すら見えない。あてどなく歩いたが何処にも辿り着くことがない。疲れ果てた私は、真っ暗な床に寝転がる。ほのかに暖かいそこに身体を委ねていると、徐々に意識が広がっていく。そうか、ここは彼の中か。私はゆっくり、彼とひとつになる。
2010-08-13 22:21:34