<a class="info_title emj" href="https://togetter.com/li/447090" title="【三題噺 #話咲 】人魚姫、かばん、間違い">【三題噺 #話咲 】人魚姫、かばん、間違い

「そうだね、文句のつけようがないよ。」満足そうに言ったところで、「しかし、君たちが来てくれるようになってから、日曜日の午後もかなり楽になるかと思ったら、君たち目当ての客が増えてそれどころじゃなくなっちゃったな。」と付け加えた。少女は店主に苦笑で返し、＃話咲 (2/9)

2013-01-25 02:29:07

下げた食器を洗い始めた。時刻は15時頃、客足も穏やかになった頃だ。さて、もうしばらくでバイトも終わりだな、などと考えていた時のことだった。カラン、と鐘がなり、ドアが開く。客を出迎えようと笑顔を貼り付け、入口に顔を向けると、「み、たに…？」＃話咲 (3/9)

2013-01-25 02:29:24

そこには会いたくない人物の顔があった。「新井くん…」まさか、目下片思い中の相手がバイト先に現れるとは。そして、彼の後ろには見知らぬ女性がいた。「あれ？知り合いが店員さんだったの？」「ああ、クラスメートなんだ…」奇麗な人だ、と思ったところで我に返った。「す、＃話咲 (4/9)

2013-01-25 02:29:42

すいません！こちらへどうぞ…」席へ案内し、注文を取り、紅茶を提供した後も、気になってしまって仕方がなかった。女性は品の良い鞄から映画のパンフレットを取り出し、新井少年と楽しげに話している。それは、友達というにはあまりに親しげであった。私の恋は、＃話咲 (5/9)

2013-01-25 02:29:58

当人に告げる前に終わってしまいそうね。まるで幼い頃に何度も読んだ人魚姫じゃない―表面上は平静を取り繕うとしたが、内心で彼女は泣きだしそうだった。その時、「三谷くん、上がりの時間だよ。まかない出してあげるからあっちに座ってきなよ。友達なんだろう？」店主が、＃話咲 (6/9)

2013-01-25 02:30:10

にやつきながら声をかけてきた。「いえ、わたしは…」「あ、新井君、彼女もう上がりだからそっちに座らせてあげて。」断ろうとしたら、強引に話をつけられた。「いい、ですけど…」どうやら、少年は店主とも顔馴染みのようだ。少女は溜息をつき、控えに下がった。＃話咲 (7/9)

2013-01-25 02:30:24

店主からカルボナーラを受け取り、少年の隣に座った。「あら、この子のクラスメートなんですってね。普段のこの子はどんな感じなのかしら？」朗らかに笑う女性はとても眩しく見え、彼女は敗北感を一層強くした。私じゃこの人には絶対敵わない。この人は奇麗だし、声も美しいし、＃話咲 (8/9)

2013-01-25 02:30:36

体つきだって私じゃ及ばない。そんな時、「おい、姉ちゃん…」少年が気まずそうに遮ろうとした一言で、彼女は絶望の淵から引きずり出された。「え…、おねえ、さん…？」なんていう早とちりだろうか。老店主の方に目をやると、それはもう愉快と言わんばかりに笑っていた。＃話咲 (9/9)

2013-01-25 02:30:51

と、言うわけでお題は「人魚姫、かばん、間違い」でした＃話咲

2013-01-25 02:31:51

今から三題噺書くのよ(´・×・)今日のお題は『人魚姫・カバン・間違い』で良いのよね?(´・ω・) サブタイトルは【車内村】 #話咲

2013-01-25 23:01:12

①電車の一号車の一番端前の右側のシートの勝手に決めた特等席でこじんまりと僕は座り込む。いつもならヘッドフォンで音楽を聞くのだが如何せん今日は自分が寝坊してバタバタしたせいで持って来ていない。仕方がないので僕は周りの会話に耳を傾ける事にした。 #話咲

2013-01-25 23:47:46

②すぐ耳に付いたのは、いかにもな感じの三人組の女子高生の会話だった。会話の内容は『童話の中の王子様の中で一番好きな王子』という何故そんな議題になったのかは突っ込まないでおこう。「てかさー!!人魚姫の王子が一番芯が強くて一途だよねー!!」「あー!!」と言う言葉が聞こえた。 #話咲

2013-01-26 00:19:03

③それは人魚姫じゃなくリトルマーメイドの間違いじゃないだろうか?…と声に出さぬ突っ込みを入れた。というのも原作者アンデルセンの書く人魚姫は悲劇なのだ。そしてなんといっても王子の無能っぷりには、現代ならどんな地味っ子でも泣きながら説教する程度には無能である。 #話咲

2013-01-26 02:08:26

冬月さんの合間に挟んじゃってごめんなさいましm(_ _)m お題から「人魚姫、鞄、間違い」で一作。 #話咲

2013-01-27 01:26:50

船の上からかばんが落ちた。ゆらりゆらゆら海の底。カニが見つけてもってった。人魚姫にもってった。姫の憧れ海の上、落ちてきたは小さなかばん。憧れの陸からやってきた。中には何が入ってる。中には何が入ってる。 #話咲（１）

2013-01-27 01:27:18

姫は開けたよ小さなかばん。中から出たは綺麗な飾り。姫は手に取り大喜び。さっそく使おう、綺麗な飾り。輝く宝石、金の針。でもでもこれはどうやるの？どこにつければいいのかな。綺麗な飾りは水の底、姫の手の中光ってる。困った姫は聞いてみた。賢いタコに聞いてみた。 #話咲　（２）

2013-01-27 01:27:32

ねえねえタコさん、これなあに？どこにどうしてつければいいの？賢いタコは考えた。一生懸命考えた。そして姫にこういった。これはきっと頭につける、ほれこの針を髪にさし、こうして止めれば出来上がり。 #話咲　（３）

2013-01-27 01:27:47

器用なタコは八本の、足で髪を結いあげた。輝くブローチつけたげた。姫の髪につけたげた。素敵な飾りを手に入れて、姫はすっかりご満悦。カニとタコも大喜び。姫の幸せ手伝った。一緒にほっこり良い気分。 #話咲　（４）

2013-01-27 01:27:57

あれあれ、みんな気が付かない。小さな間違い気が付かない。でもでもそれは仕方ない。だって海には服がない。ブローチつける服がない。だから今日もブローチは、姫の頭で光ってる。 #話咲　（５／おしまい）

2013-01-27 01:28:10

私達の住んでるこっちの世界の向こう側に、あっちの世界があって、そこにも陸や海があるのです。こっちとあっちとは、ほとんど大抵の場合には全然無関係なのですが、時々、本当に稀に、何か大きな歪みが起きた時に、穴が破けるように繋がって、(1/7) #話咲

2013-01-27 11:07:13

でもまた直ぐに重い鉄の扉のように穴は閉じてしまうので、こっちの住民もあっちの住民も、お互いの世界があることに気付かず過ごしているのです。ある時こっちの世界で大きな歪みがありました。それは戦争なのか、天災なのか、あっちの世界の者にはわかりません。(2/7) #話咲

2013-01-27 11:08:34

でもその時、こっちの海からあっちの海に流れ込んで行ったいくつかの物の中に、１つのジュラルミンの鞄がありました。普通、鞄は海にあるものじゃありません。海にないはずの鞄が海から来たのには、理由がきっとあったのでしょうが、どうしてなのかはわかりません。(3/7) #話咲

2013-01-27 11:09:29

その鞄のジュラルミンの表面は、海の底で光を受けてキラキラと光りました。それに惹かれて一人の人魚のお姫さまがやってきました。人魚姫と言うと私達は、人間と同じ位の大きさで想像してしまいますが、メダカ位の人魚もいれば、クジラ位の人魚もいるのです。(4/7) #話咲

2013-01-27 11:10:14