吸血鬼なう、な俺(完結)

日課である深夜のランニング。 何事もなく終わるはず…だった。   「なんでアタシが噛んだのに吸血鬼らしくできないワケ!?」 続きを読む
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ハラヨシ @harayosy

#twnovel 吸血鬼なう、な俺。「何かやり残した事ないか?」「無い」「本当に?」「しつこい。生にんにく、喉に直接流し込むわよ」「怖いな」「それより、何か話してよ」「眠る時の格好はパジャマとネグリジェとどっちがいい?」「着替えさせる気!?もー、灰になれ!」「何の話がいいんだよ」

2010-11-01 23:02:50
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 吸血鬼なう、な俺。「何でもいい」「難しいな」「そういや、アンタの年齢聞いてない」「そうだったけ?」「うん。生まれたトコとか、そういうの聞きたい」「了解。えーと、俺の生まれた所は、すっごい田舎なんだけど」「ふんふん。あ、脚色は不要だから」「脚色?」「モテたとかね」

2010-11-01 23:09:56
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 吸血鬼なう、な俺。「…で、俺がそこで華麗に登場していじめっこを退治して」「…嘘くさい」「その台詞何度目だよ」「…」「おい」「…うん。聞いてる」「で、友達と一緒にそいつを木に吊るしたら、後で先生に怒られてさ」「…」「…いい事したのに何でだよって文句言ってさ」「…」

2010-11-01 23:15:58
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 吸血鬼なう、な俺。「…もう、眠るのか?」「…うん」「つまんなくて悪かったな」「ううん…面白かったわよ」「続きは…また…今度な」「…うん」「目覚まし時計大量に用意しとくから」「…」「絶対に起こすから」「…うん」「…じゃあ…おやすみ」「…うん…おやす…み…なさい…」

2010-11-01 23:22:49
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 吸血鬼なう、な俺。別荘地の中で赤い屋根の家はすぐに見つかった。「鍵は…と。あった」地下に降りる。「重…くないぞ、全然。うん、重くない」居候をおぶったまま、慌てて言い直す。寝息を立てる居候は静かだった。「…棺桶ってやっぱり黒なんだな」蓋をずらして、居候を寝かせる。

2010-11-01 23:30:26
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 吸血鬼なう、な俺。眠りについた居候は、いつもの毒舌がなくて、安らかで、綺麗だった。「…って何思ってんだ俺は」苦笑する。「言葉にしてたら絶対からかわれてるな」居候の身支度を整えると、俺はもう一度居候の顔を見つめた。「…じゃ、またな」俺は蓋をゆっくりと静かに戻した。

2010-11-01 23:38:42
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 吸血鬼なう、な俺。「さて…と。どうするかね」家を出て軽く伸びをする。空には満月。まだ吸血鬼の時間だ。これからは、居候はそばにいない。「待ってろよ、今度は必ず約束は守る。無理やりにでも起こしてやる」それには、まず。「…仲間を見つけよう」先程の居候の言葉を思い出す。

2010-11-01 23:43:58
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 吸血鬼なう、な俺。俺だけではダメだ。吸血鬼の情報がいる。情報を集めて、眠りの仕組みを解いて、その解決方法…一人では足りない。「罰ゲームだしな」俺は久しぶりに携帯を取り出した。仲間がいる。たくさんの仲間が。見つかるかどうか分からない。けど、こんなやり方もありだろ?

2010-11-01 23:50:45
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 満月の下、携帯を操作する。そのサービスは使ったことは無いけれど、使い方は簡単だ。名前を入力。必要事項の記入。ログイン。『いま、どうしてる?』途方にくれてるよ。でも絶対に諦めない。アイツを起こすその時まで。だけど、今はとりあえず…『吸血鬼なう、な俺』…って呟こう。

2010-11-01 23:58:55
切り取り線 for Togetter @kt_tg

✄---- 後日談、或いはもしものお話 ----✄

2011-03-31 11:09:01
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計が鳴る夜に』 #twnovel 「クロー、クロー」少女が呼ぶ声がする。青年はソファから面倒くさそうに答えた。「何だよ、もー。俺疲れてるんだよ、寝かせてくれ…」「ゲームしようよ!」「パス。俺ゲーム苦手なの」「えー、こんなに持ってるのに?」「持ってるのに」「クロって変」

2010-12-16 23:49:44
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計が鳴る夜に』 #twnovel 「変って言えばね、あのね」「こら、アリス。アラやんの邪魔しちゃ駄目だろ」「邪魔してないよ!」少女は入ってきた長身の男性の背中に抱きついた。「ねーねー、何でクロはクロなのに、ハチはクロの事アラやんって言うの?」「ユーザー名だよ」

2010-12-16 23:56:55
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計が鳴る夜に』 #twnovel 「?」「『アラーム・クロック』…目覚まし時計。いつかどっかの誰かを起こすのが仕事なんだと」「へー、クロがじりじりーって叫ぶの?」「大音量でな」クロが笑う。「ねえ…クロ。誰を起こすの?」アリスが首を傾げる。「眠り姫だよ…性格の悪い、な」

2010-12-17 00:02:55
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計の鳴る夜に』 #twnovel わたしのなまえはアリスです。でもアリスはなまえじゃないです。ついたとゆうのでつかうんだって。ハチがいってた。クロのなまえも、アライグマとかいうんだって。へんななまえ。でもクロはゲームたくさんもってるんだよ。へたくそだけど。へんだよね。

2010-12-17 23:40:21
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計の鳴る夜に』 #twnovel へんてゆえば、クロはいつもねるのはベッドじゃなくてソファでねます。わたしがねてたらちゃんとベッドでねろってゆのに。おかしいです。こうぎします。ハチがベッドでねるのはだめだそうです。アリスはとくべつだって!ふふん。ハチはろうかでねます。

2010-12-17 23:43:41
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計の鳴る夜に』 #twnovel クロとハチはよくけんかします。ナナがおこるとすぐやめます。ナナこわいもんねー。ピーマンがでるひのばんごはんはナナがこわいです。でもえほんをよんでくれるのでだいすきです。クロもときどきよんでくれます。でもねむりひめはよんでくれなかった。

2010-12-17 23:49:12
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計の鳴る夜に』 #twnovel クロはだれかをおこすのがしごとだそうです。でもむつかしいんだって。ふらいぱんガンガンたたいたらっておしえたけどだめだそうです。アリスはうるさいとおもうよ。クロはわらってるけどときどきわらってないです。アリスもてつだおうとおもいます。

2010-12-17 23:55:19
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計の鳴る夜に』 #twnovel ついたはみんながみてるってナナがいってました。だからアリスはみんなにおねがいです。クロをてつだってください。ねむりびょうっていえばバンパヤはわかるんだって。よくわかんないけど。アリスもがんばる。あかるくなってきたからねます。ばいばい。

2010-12-18 00:00:26
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計の鳴る夜に』 #twnovel 「アリス、いい加減に寝ないとナナが般若にジョブチェンジするぞー…ってまたソファで寝落ちかよ」青年はソファで寝ている少女にため息をついた。「俺の携帯持ったままだし。おわ、何だこれ。勝手にツイートしてる。わー何だこれ!」慌てた声が響いた。

2010-12-18 00:04:53
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計が鳴る夜に』 #twnovel 「ごちそーさまでした」「ピーマン残ってるわよ」「クロにあげる」「駄目、食べなさい」「クロが食べたいって」「言ってない。アリスが食べなさい」食事時のいつもの光景。吸血鬼である俺達だが、血を吸わなくても普通の食事でもある程度は何とかなる。

2011-07-28 20:57:56
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計が鳴る夜に』 #twnovel 野菜が苦手なアリスが涙目でこちらを伺っている。…が気づかない振りをする。許せ、俺も食卓の支配者ナナに反旗を翻すなど怖くてできない。「食べないなら、ジュースにして喉に直接流し込もうか?」にっこり笑うナナ。誰かそっくりな物言いだ。

2011-07-28 21:02:59
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計が鳴る夜に』 #twnovel 「…食べる」アリスは目を瞑りながらピーマンを口に入れる。もぐもぐと噛みながら眉を顰めた。「うー」「よくできました」ナナがアリスの頭を撫でる。「そうそう、好き嫌いはあかんよアリス」「ハチ、あんたは人参隠すな」ナナの手刀が叩き込まれた。

2011-07-28 21:12:34
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計が鳴る夜に』 #twnovel ハチが覚醒したのは二時間後だった。「なあ、クロやん、吸血鬼が三途の川渡れると思う?」「知るか」「ハチ、泳ぐの?」「クロール得意やで。バタフライもいける」「三途の川をメドレーしてこい」「アリス、馬鹿二人は相手しないで手伝って」「はーい」

2011-07-28 21:22:47
ハラヨシ @harayosy

『目覚まし時計が鳴る夜に』#twnovel アリスがキッチンに駆けていく。「…で、どうや、眠り姫の件は?」ハチが聞いてくる。俺は首を振った。「まあ、焦らずやるよ」繰り返される会話。だけど、俺は笑いながら言った。「仲間がいるんだ、何とかなるさ」「…やな」アリスの笑い声が響いた。

2011-07-28 21:31:08
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