「テング・ザ・フェアリー」 ――『ニンジャスレイヤー』二次創作小説
- USAGI_koTENGU
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しかし……「知ってるぞ知ってるぞォ」黒パンクはニヤニヤ笑いを崩さない。「お前らが生徒会室で楽しくシテるの知ってるぞォ」「は、破廉恥!」女生徒がこめかみに手をやる。「キャー!コワーイ!」黒パンクが嘲りの声を上げる。「なんらかのネンリキィー!犯されるゥー!エロマンガみたいに!」 46
2013-01-31 02:15:08「貴様!」女生徒が怒声を張り上げた……その時!「ムッハハハ!」響く高笑い!「なんだァ?」黒パンクが、「……」大女が、「校長先生!」赤腕章の二人が、「ラオモト……」天狗娘が声のする方を見る。おれも、思わずそちらを見た……そこには! 47
2013-01-31 02:18:29紫のアルマーニスーツを着て、黄金の六角メガネをかけた初老の女教師!「ムッハハハ!」高笑いするこいつが……校長?「よい、よい!青春は闘争!意志の戦いですよ!」「しかし、校長先生!」赤腕章の二人が叫ぶが、「私が許可します!昼休みの残り時間、バトルファイトで決着をつけなさい!」 48
2013-01-31 02:21:09「決着……バトルファイト?」思わず呟くおれに、「校庭で戦闘だ」天狗娘がささやきを返した。「生徒間の揉め事は生徒間で決着する。それがここ、ネオサイタマ高校の掟だ」「ネオサイタマ……」おれは天狗娘の言葉に、不思議な引っ掛かりを覚える……どこかで……聞いたことのある言葉……。 49
2013-01-31 02:24:12しかし……「チッ」黒パンクの舌打ちに、おれは思考を遮られ、思い出すことはかなわない。「行くぞ、ランペイジ、アズール」甲高い声で二人に命じ、黒パンクは屋上の出入り口へと向かう。「ババア、校庭でいいんだな」「ムッハハハ!」紫スーツの校長が承認するかのように頷いた。 50
2013-01-31 02:27:08「私達もいくぞ」天狗娘が言い、おれの手を握る。「へっ?」困惑するおれ。「なんでおれ達が?」「わからんのか」天狗娘が大きな目でおれを見上げる。「ランペイジが……あいつらが、私達の大切なものを台無しにしたのだぞ」指差す先には、ぐちゃぐちゃになった弁当箱があった。 51
2013-01-31 02:30:25……屋上の出来事から十分後、おれ達……おれとフェイタル、ヨモギは校庭にいた。ぽかぽかと温かい日差しを受け、天狗娘は残り二人の仲間とともに、あの凶暴な黒パンクの一団と向かい合っている。その白い尻と太腿がいやでも目に入り、おれは思わず目を伏せた。 52
2013-01-31 12:06:11「大変なことになったなあ」おれの隣でフェイタルが言った。「大丈夫かなぁ」ヨモギが心配そうに言う。「なんでだ?」おれはヨモギに訊ねた。「えぇ?」ヨモギがメガネの奥で目を丸くした。「お前心配じゃねえのかよ」フェイタルもおれを見た。「知ってるだろ。あの娘、校庭じゃ弱いぞ」 53
2013-01-31 12:09:10「なんだって?」おれは声を上げる。「あの娘、いつも闇討ちばっかりしてるからねぇ」とヨモギ。「窓から飛び込んでぇ、飛び蹴りしたりぃ、ロッカー開けたところにカウンターしたりぃ……」「人混みに紛れて後ろからボコしたりとかな」これはフェイタル。「とにかく、卑怯技ばっかなんだよな」 54
2013-01-31 12:12:18「そんな……」おれは呟いて、天狗娘を見た。五月の風に、ツインテールがふわりと流れる。「でもぉ、それも校内でだからできることだからねぇ」「だな。こりゃ負けるかもしれねえぞ」二人の言葉が耳を素通りする。おれはドキドキしてそれどころじゃなかった。天狗娘が……負ける? 55
2013-01-31 12:15:55おれは天狗娘と……その尻からは目を逸らしつつ……その左右に立つやつらを見た。この闘いのための、天狗娘のチームメイト。一人はあの赤腕章の女生徒。フェイタルとヨモギは、こいつを「ラプチャー」と呼んでいた。生徒会一の美女で、さっきの豊満野郎……「アムニジア」と付き合っている。 56
2013-01-31 12:18:53そしてもう一人……こいつがおかしなやつだった。真っ赤なパーカー、黒いジャージ姿。腰にヌンチャクを吊るし、フードの下の顔を覆うのはヤンキーみたいなプラスチックマスク。そこには「生」「懲」と禍々しいサインペン字。「でもぉ、あの人が出てくるならぁ、勝てるかもよぉ」ヨモギが言った。 57
2013-01-31 12:21:31「あいつ、誰だ?」おれはヨモギに訊ねた。「ええっ、ヤマヒロくん、冗談でしょぉ?」「やっぱ今日のこいつ、変だな」フェイタルが言う。「生徒スレイヤー知らないなんて、モグリだぜ」「生徒スレイヤー?」「いつもぉ、こういうことになるとぉ、しゃしゃり出てくるでしょぉ」 58
2013-01-31 12:24:34「お前の彼女とどっこいどっこいの変なやつだ」フェイタルが言った。「強いのか」「強い。噂じゃ黒子にも勝ったってよ」「黒子?」「去年来た女教師だよ。覚えてないのか?えらいベッピンだけど、冷たくて何考えてるかよくわからないやつ」「今入院してるからぁ、きっと忘れちゃったんだよぉ」 59
2013-01-31 12:28:01「生徒……スレイヤー……」おれはそいつを見た。そいつは全身から殺気を吹き出していた。思わずおれはチビりそうになったが……そんなおれに気付いたのか、天狗娘がこちらを見た。笑った。ピンクの唇が動いた。だいじょうぶ。そう言っているようだった。わたしはまけない、おまえのために。 60
2013-01-31 12:31:20「ムッハハハ!」突然、校長の声が校庭に響き渡った。見れば、紫のアルマーニスーツが朝礼台に、教師の一団がその周辺に。「休み時間は残り十五分!それまでに決着をつけなさい!」そして軍配を頭上にかざし……「バトルファイト、開始!」高らかに宣言した! 61
2013-01-31 12:35:12「行くぜェ行くぜェ行くぜェ!」黒パンクが叫んだ。「……」大女が無言で拳を打ち合せた。「……」小柄な男子が背中に手を回し……マシンガンを取り出した!「なっ!」思わず叫んだおれの声は、ズババババババババ!いきなり響いた銃声と、銃弾を打ち込まれた観衆生徒の叫びにかき消された。 62
2013-01-31 12:38:26「うほっ、相変わらずアズールは容赦ねえな!」フェイタルが言った。「どういうことだ?」「アズールくんはいっつもこうだよぉ」ヨモギがフェイタルの後ろに隠れながら言う。「彼も闇討ち専門なんだ」「闇討ちって……銃だぞ!?」「いつものことだよぉ」「そんな!」おれは天狗娘を見た。 63
2013-01-31 12:42:27しかし!「すっぞすっぞおらー!」舌っ足らずな声を上げ、グラウンドの土を巻き上げ迫る火線を側転ジャンプで回避する天狗娘!太腿がぷるぷると揺れ、まるいお尻が舞う。「てめっこらー!」空中で両腕を振るうと、両の袖口から飛び出したのは……赤い拳銃!バン!バン!バン!バン!銃撃で応戦! 64
2013-01-31 12:45:57「アイサツなしは校則違反!」叫んだラプチャーの前に、「アーッハァ!」飛び込んだ黒い影!黒パンクだ!「お留守だぜェーッ!」長い黒髪が振るわれ、「ンアーッ!」ラプチャーが吹っ飛ぶ!「よそ見しすぎだな」フェイタルが言った。「デスドレインは全身に鉄板を仕込んでる。凶暴なやつだぜ」 65
2013-01-31 12:48:32「なんらかのネンリキィーッ!」黒パンク……デスドレインが雄叫びを上げた。「アタシ、アムニジアくんみたいに逆レイプされちゃうかと思ったァーッ!」ラプチャーはグラウンドに倒れたまま起き上がらない!そこに駆け寄る豊満男子……アムニジア!「ラプチャー、大丈夫かい!?」 66
2013-01-31 12:51:32その隣では、「ウオーッ!」大女が丸太のような腕を振り回している!「私は!調理部!ランペイジ事件だ!」繰り出される攻撃は、かすっただけでも骨を折られそうな勢い。赤いパーカーの生徒スレイヤーに向かう!「生徒……懲らしめるべし!」彼女は腰の後ろのヌンチャクを取り、構える! 67
2013-01-31 12:54:28「いけーっ!やれー!生徒スレイヤーさん!」観衆の中から歓声が飛ぶ。見ると、それはおかっぱ頭の女生徒だ。ぴょこぴょこと跳ねる彼女の胸元に、銀色のアクセサリーが光る。「お、シルバーキー」フェイタルが言う。おれは彼女を凝視……なぜなら、その背後に……! 68
2013-01-31 12:57:25