「テング・ザ・フェアリー」 ――『ニンジャスレイヤー』二次創作小説

話題沸騰のサイバーパンクニンジャ活劇『ニンジャスレイヤー』(@NJSLYR )の二次創作小説です。 書籍版『ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上』3巻の発売と、狂気と殺戮と天狗とヤクザの名エピソード「アトロシティ・イン・ネオサイタマシティ」の収録を記念した、狂気と学園と天狗とヤクザのライトノベル風パロディとなっております。
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うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「ヤマヒロ!」少女は立ち上がり、おれに向かって歩いてくる。その股間に揺れるのは……真っ赤な天狗オメーン!「お、お前!」おれは思わず声をあげていた。「ななななんて格好してんだ!」見ているこっちの顔が赤くなるような格好!「へへへへ変態か!」「私は私だ」少女は事も無げに言う。 21

2013-01-31 01:07:04
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「こっちもいつもの反応だな」フェイタルがニヤニヤ笑う。「今朝は調子が悪いかと思ったけどぉ、いつものヤマヒロくんだねぇ」ヨモギがメガネを指で押し上げながら笑う。おれは二人の反応に、これが何度も繰り返された光景だと知る……しかし、この拭えない違和感は……なんだ? 22

2013-01-31 01:10:24
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

その間にも天狗娘はおれに近づき、「急ぐぞ!」手を差し出してきた。「へっ?」呆然とするおれ。「一番いいところがとられてしまう!」天狗娘は言っておれの手を強引に握る。冷たい、小さな手。と、踵を返して教室の出口に向かう。引きずられ、困惑するおれに、二人がニヤニヤと手を振った。 23

2013-01-31 01:13:06
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

天狗娘はおれの手を引き、廊下を進み、階段をのぼる。なにがなんだかわからぬまま、引っ張られるおれ。すれ違う生徒がニヤニヤとおれを見送る。「学校一の秀才と」「またかよ」「学校一の変人」「仲いいね」「案外お似合い」断片的な会話が、耳に違和感だけを残していく。 25

2013-01-31 01:16:09
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

おれは観念して、このおかしな娘に付きあおうとする……しかし!「おっ、お前!」階段をのぼる彼女の背中を眺めていたおれは、思わず声を上げてしまう。なぜって……彼女はスカートを、パンツを履いていない!むき出しの尻と太ももがおれの目の前でプルプル揺れる!こ、これは、目の毒だ! 26

2013-01-31 01:19:10
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「なんだ?」天狗娘は振り返りもせず。「お前、パ、パンツくらい履いてください!」懇願口調になるおれ。しかし天狗娘は手を引いたまま階段を登り続ける。「またそれか」「せめてスカートくらい!」「そんなことしたらこれが隠れてしまう」踊り場を横切る動きで、天狗の鼻がぶるんと揺れる。 27

2013-01-31 01:21:26
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「……ッ!」思わず目を背けたおれの視界に……ピンクの何かが写り込んだ。「ん?」おれはそちらに目を向ける……が、ピンクのそれはすぐに姿を消した。しかし……おれはなんだかそれが気になってしょうがない。なにか……大切なもののような気がする。それを……おれは……探さなければ……。 28

2013-01-31 01:24:09
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

おれが記憶を探っている間に、天狗娘は階段を登りきり、踊り場の扉を開ける。爽やかな五月の風がおれ達の顔に吹き付け、おれの鼻孔を甘い匂いがくすぐり……これは……天狗娘の髪の匂いか?おれはなんだかドキドキしてきた。これは……これは……? 29

2013-01-31 01:27:09
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

思わず視線を落としたおれの目に、再び天狗娘の尻と太股が飛び込んでくる。「うわっ!」思わず叫ぶおれ。こ、こいつ……胸はないのに、意外といい尻してるな。太ももがプルプルして……と、生唾を飲み込んだおれの視界に、またもピンクの物体が飛び込んできた。「これは?」 30

2013-01-31 01:30:20
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

それはピンクの布に包まれた、四角い物体。天狗娘の、おれの手を握っていない方の手がそれを掴んでいる。「どうした?」不意に天狗娘が立ち止まり、おれを見上げてきた。「それはなんだ?」おれは天狗娘に訊ねる。「なんだ、気になるのか?」天狗娘は微笑んだ。「そうか……これはな……」 31

2013-01-31 01:33:03
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

結論から言うと、それは弁当の包みだった。中には重箱が二つ。一つには二桁を超すおにぎり、もう一つには揚げ物や野菜や煮物といった、色とりどりのおかず。しかも、そのどれもが美味かった。「そんなにがっつくな」天狗娘は唐揚げをつまみながら微笑んだ。「んぐっ」おれの喉が詰まる。 33

2013-01-31 01:36:12
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「ほら」天狗娘は赤い水筒を取り出し、蓋に入れたチャ……茶をおれに差し出した。頷いて受け取り、ほどよく温かい中身を飲み干す。喉に詰まっていたおにぎりが流し込まれる。「ふあー……サンキューな」おれは素直に礼を言ってから、今度は胸に違和感を覚える。なんだ……これは……この感情は? 34

2013-01-31 01:39:02
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「うれしいな」天狗娘は朗らかに笑った。「お前が喜んでくれると、私もうれしい」その笑顔が可愛くて……おれはこの異常な事態を忘れてしまう。学校の屋上、給水タンクの上の特等席に、異常な格好の女の子と並んで座り、弁当を食べている……それだけでも充分異常なのに……この世界は、なんだ? 35

2013-01-31 01:42:03
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「今日のお前が、少し……変だったから」天狗娘はぽつりと呟いた。「心配していたのだ」「そうか……」「いつもは……もっといやがる。弁当も食べてくれない。それに……」天狗娘はうつむいて、自分が尻に敷いている、おれのジャケットを撫でた。「こんな気遣いをしてくれるなんて、始めてだ」 36

2013-01-31 01:45:06
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「冷えるだろうと思っただけだ。それに……」おれは言いよどんだが……「おれは男だし、大丈夫だ」「普段のお前は……こんなことしてくれない」天狗娘は言って、顔を上げた。ピンクの唇が震え、泣き笑いのような表情になる。「やっぱり、お前はいつものお前じゃない……だが……うれし」その時! 37

2013-01-31 01:48:09
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「オイオイオイオイオイ!」甲高い声が屋上に響いた。おれ達と同じように屋上で飯を食っていた生徒達が色めき立つ!おれは思わず声のする方を見た。そこにいたのは……黒いパンクな出で立ちの女生徒と、ムチムチした背の高い女生徒、そして痩せて小柄な男子生徒の三人組! 38

2013-01-31 01:51:04
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「イチャイチャしやがって楽しそうだなァオイ!」黒パンクが、錆びた鉄格子を思わせるメガネの下でニヤニヤと笑った。「アタシらも混ぜてくれよォ!」ばさりと体を震わせると、黒い上着の袖が、ロングスカートが翻り、触手めいて蠢いた。な……なんだ、こいつは……こいつらは!? 39

2013-01-31 01:54:17
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「……」隣では、無言で両腕を打ち鳴らす背の高い女。女の視線がおれ達に注がれ、隣で天狗娘がびくりと体を震わせるのが判る。冷たい、小さな手がおれの手を握ってきた。おれが思わずその手を握り返した時……大女の腕が、おれ達のいる給水タンクの柱に、ズドム!突き込まれた! 40

2013-01-31 01:58:14
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

衝撃!「うわっ!」「うおっ!」おれ達は同時に叫ぶ!給水タンクが傾ぎ、おれ達は投げ出された!「ひゃあっ!」突然の浮遊感に、情けない叫びがおれの口を突いて出る!落下の衝撃に身を縮めたおれは……しかし、次の瞬間、細く柔らかいものに抱きとめられていた。 41

2013-01-31 02:00:17
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

目を瞬かせるおれ。不意に体が持ち上げられ、コンクリートの上に降ろされる……そこで、おれはやっと気がついた。天狗娘だ。天狗娘が、落ちながら、おれを抱きとめ、そのまま着地したのだ。「大丈夫か、ヤマヒロ」天狗娘が、大女を睨みながら言った。「アッハイ……」おれは思わず頷いた。 42

2013-01-31 02:03:08
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「またあなた達……」遠巻きに見ていた生徒の中から、赤い腕章をつけた女生徒が進みでた。「いたずらにも程がある」その隣には、こちらも赤い腕章をつけた男子生徒。「いったい何度やれば気が済むの」そう言うこいつはちょっとぽっちゃりして……その胸は、男だけど、なんていうか……豊満だ。 43

2013-01-31 02:06:12
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「オウオウオウ、生徒会のお出ましかよ」黒パンクがいやらしい笑みを浮かべた。「お前らじゃアタシらは止められねェ。わかってンだよ。なァ、ランペイジ」隣の大女を見上げる。「……」大女は無言で拳を打ち鳴らす。「なァ、アズールゥ!」黒パンクの言葉に、小柄な男子生徒が頷いた。 44

2013-01-31 02:09:14
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「大体よォ、生徒会がアレだァ……屋上、立入禁止だろ?その屋上でイチャイチャしてていいのかよォ」黒パンクがニヤニヤ笑い、二人を見る。「フーキのミダレだよなァ。なァ、ラプチャーさん、アムニジアさんよォ!」「そんな……」豊満男子が言いよどむ。「私たちは健全だ!」女生徒が反論した。 45

2013-01-31 02:12:22
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