【二次創作な】「サヨナラ・イン・スノウ」♯４

欺瞞動画の会社 @naclaqns

「サヨナラ・イン・スノウ」♯４

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「ドーモ、バジリスクです」ニンジャは大型バイク上からアイサツを放った。一切のコミュニケーションを諦めさせるかのような、極めて無感情な声である。「ドーモ、バジリスク＝サン。ウルフクライです。こっちの小さいのは…」「……」ワイルドキャットは自らの名が記されたマキモノを広げる。1

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ウルフクライの心中は緊張と戦慄に支配されていた。アイサツから計るに相手の実力は少なくともシックスゲイツ以上。一手対応を誤れば確実に食い殺される。吹雪の風音はバジリスクのエントリーに合わせるかのように止み、その場には彼らの声とモーターサイクルのアイドリング音のみが響いていた。2

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「アンタが最後のヨージンボーってワケか」ウルフクライは慎重に言葉を選ぶ。回避できる戦闘なら回避すべきだ。交渉はヤクザのもう一つの武器である。「その認識は正しくあるまい。俺には次のイクサが待っている。アールケ洞＝サンにはそのバックアップをさせるだけだ。カネを」「無理な話だな…」3

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「…見ての通り、アールケ洞はもうくたばる寸前だ。俺達が追い込んだ、随分な手間だったぜ」「そのようだな。ここまで力を失っていようとは。もはや奴に利用価値は無い。くだらん無駄足だった」「そうだ、なら…」「だが、それが」バジリスクの目が獰猛に光る。およそ非人間的な、深い紅の瞳である。4

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「それがお前らを殺さん理由にはならない。狼と山猫を気取るなら、よもやただのイヌではなかろうな。楽しませろ」獲物を捉えたヘビに言葉が通じる筈も無し。ＢＡＯＯＯＯＭ！エンジンが轟音を上げクラッチが繋がれる！空転する後輪が雪の地面を掴んだ瞬間解き放たれたかのように加速を開始！5

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対するウルフクライの行動も同じく突進、蛮勇にも見えようがその実これが唯一の正解！シフトが上がりスピードが乗り切ってしまえばこの重量級バイクを止める手段は無く無論逃げる手段も無い！そしてバジリスクもまた瞬時に判断を下す、加速できぬなら低速ギアで轢殺あるのみ！距離が詰まる！6

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ガオン！ウイリーで鎌首をもたげた車体は大柄のクライウルフをも圧倒！原始的恐怖が筋肉を硬直させるがニンジャ冷静さと生への渇望は瞬時にそれを塗り替える！「…ムテキ！」左前腕部をムテキ化！回転ギロチンめいた前輪スポークへと「イヤーッ！」横から突き入れる！自殺寸前無茶苦茶行為！7

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当然鋼鉄重量モーメントを受け止めきれるわけもない、そのまま二〇メートルほど後退しヤクザシューズは摩擦熱で発火！衝突時の勢いこそ削いだものの後輪は力強く回転を続け押す！押す！押す！機械とニンジャのオスモウである！右手でカウルを掴み耐える！身体がメキメキと悲鳴を上げる！耐える！8

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「フン。イヤーッ！」「グワーッ！？」バジリスクが鋭くハンドルを切る！噛み付いたまま首を振るも同然、前輪に絡んだウルフクライの左腕を肘から引き千切ろうというのだ！「イヤーッ！」「グワーッ！？」「イヤーッ！」「グワーッ！？」「イヤーッ！」「グワーッ！？」「イヤーッ！」9

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「グ…」「ＦＳＨＡＡＡ！」ムテキが解ける直前！ウルフクライの肩を蹴り飛び出したるはワイルドキャット！右の指はショーガツクマデめいた形を作っている、狙うは敵の顔面！「ＳＨＡッ！」「ヌゥッ！」バジリスクはハンドルから手を放し仰け反り回避！掠めたツメがウロコメンポを割く！間、一髪！10

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だがアクセルが緩んだ！好機である！ウルフクライは歯を牙を食いしばり腰を落とし「ウウウウ…イィィヤァァァァアーッ！」半トン近くもある黒い車体を搭乗者ごとイポン背負い！何たるニンジャ膂力か！地より足たるタイヤを離したアイアンオトメはウルフクライの頭上を通過し投げ飛ばされた！11

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そのまま下敷きになるような不覚悟をバジリスクがするはずもなく車体を足場に即座に跳躍離脱！体を丸め空中五回転、勢いをつけアフリカ投げナイフめいた邪悪なスリケンを無防備なウルフクライへと投げ放つ！「イヤーッ！」「ＳＨＡッ！」ガギン！ワイルドキャットが割って入りツメでカット！12

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未熟とサイバネが幸いした。バジリスクのアフリカ投げナイフめいた邪悪なスリケンには猛毒が塗布されている、もし手が義手でなかったら、そして半端にスリケン挟み取り技術を身に着けていたなら、経皮侵食死に至る事は確実であった。バジリスクはメンポの奥で表情を歪める。実際厄介な連携である。13

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だが個々の力は弱い、笑ってしまうほどに。例えば…「カーッ！」バジリスクの赤い目が禍々しく光る！ワイルドキャットは咄嗟に顔をそむけたもののその程度で防がれるイビルアイではない！「……！？」視界を支配する雪が赤く染まった瞬間、彼女の全身は石像めいて硬直した！カナシバリ・ジツ！14

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その効果はどこまで及ぼうか？内臓機能は？不随意筋は？ニューロンは？…生命は？彼女は昏倒し雪に埋もれた。その始終を見ていたウルフクライは、しめやかに失禁した。サングラスの奥では幼さの残る目が恐怖に濁っている。「子供をイクサ場に連れてくるとは。ソウカイヤも人材が足らんと見える」15

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バジリスクは背中の剣を抜き放った。波打ち蛇行するフランベルジュの刃は敵に苦痛と致命傷とを与えるための物である。「あるいは貴様もなのか？大層な肉体はコケ威しか。ニンジャとは言えヤクザはヤクザに過ぎんということか」片手に剣を構え迫る。そのカラテに満ちた一歩一歩が絶望を与える。16

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「ア…ア…」立ち上がろうと手を付くが左腕はもはやボロボロ、ハンドヘルドＩＲＣも破壊された。ブザマに雪に突っ伏し、それでも固くなったワイルドキャットを抱え這うようにして逃げる。「下らん。庇えばアワレに思うとでも？一つ教えてやる、その子供は助からん。俺を打ち倒さん限りはな」17

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「どの道まとめて殺す。貴様らの命はこの俺が喰らう。久々のサンシタではないニンジャだ。血の一滴まで啜ってくれる」バジリスクが追い付く。フランベルジュが掲げられる。ウルフクライは仰向けになり、毒蛇の目をしかと見た。「覚悟や良し。カイシャク！イ」「ＷＯＯＯＯＯ－ＬＯＯＯＯＭＮ！！」18

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カラテ・シャウトが遮られた！耳をつんざくような遠吠えにバジリスクの動きが一瞬止まる、ウルフクライは寝転がり姿勢からの苦し紛れ的蹴り上げを放つ！瞬時に平静を取り戻したバジリスクはヤクザシューズのツマ先を事も無げに仰け反り回避！「ホウ…！」「ザッケンナコラーッ！」19

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遠吠えがヤマビコする中ウルフクライは背筋バネをフル稼働させ一気に立ち上がりそして勢いそのままにバジリスクをガッチリとクリンチ！身動きを封じる！これは実際有効な戦法である、なぜなら一度組み付いてしまえば剣もイビルアイもアフリカ投げナイフめいた邪悪なスリケンも届かぬのだ！20

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だが…起死回生の一手ではあるが、左腕が破壊された状態でのサバオリは決して決め手にはならぬ。歯を食いしばれども五体満足のバジリスクが上回り…「イヤーッ！」敢え無く脱出！「イヤーッ！」「グワーッ！？」振りほどきざまにフランベルジュ剣一閃！サングラスを二つに割り顔に深い傷を刻む！21

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無論その剣には強力な麻痺毒が塗布してある、ウルフクライは傷口を爪でえぐり肉と血を払い捨てる！「ヴォラッケラーッ！」「実際アッパレな覚悟だ。俺の見込みに違いは無かった…イヤーッ！」バジリスクが突進！フランベルジュ剣を不可思議な軌道で突き出す！「…ムテキ！」受けるウルフクライ！22

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ガキン！心臓を狙った切っ先はムテキ硬化に逸らされあらぬ方向へ、ウルフクライは間髪入れずムテキ握力で握り潰し折り曲げる！それを待たずバジリスクがフランベルジュ剣を放棄！「イヤーッ！」後ろ回転からの体重を乗せたバックナックル！「グワーッ！？」ムテキ間に合わず！側頭部に強烈ヒット！23

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よろけるウルフクライの頭部を両手で掴み「イヤーッ！」「グワーッ！？」ココナッツクラッシュ気味の膝蹴りを顔面に食らわせる！鼻が折れ血が噴き出す！「イヤーッ！」追撃はストレートパンチ！「グワーッ！？」ダメージを負った顔面に直撃！もはや「タコを叩くのは楽」のコトワザ通りである！24