【SecretGuardianMAHI】第2話第1節

Twitter小説【SecretGuardianMAHI】の第2話です。
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高橋ショウ @zrx78

「まあ、アルバイト経験が無くても、この仕事はできるけどね」

2013-02-09 21:30:20
高橋ショウ @zrx78

 麻衣は目の前にいるサングラスの男の顔をよく見てみた。なんとなくだが、どこかで見たことがある……そう感じた。実際にどこかで会った、というわけではない。何かを通して見た顔だと、そう思った。しかし思い出せない。麻衣がそんなことを思っている間に、男は言葉を続ける。

2013-02-09 21:30:48
高橋ショウ @zrx78

「そうか、もう17歳か……大きくなったな」

2013-02-09 21:31:12
高橋ショウ @zrx78

 その言葉は、麻衣の耳には届かない。しかし、次の言葉はちゃんと麻衣の耳に届いた。

2013-02-09 21:31:41
高橋ショウ @zrx78

「うちは少し特殊な仕事でね。時給制じゃないんだ」

2013-02-09 21:32:16
高橋ショウ @zrx78

 男の言葉に麻衣は思わず「え?」と間抜けな声を上げてしまう。

2013-02-09 21:32:40
高橋ショウ @zrx78

「サラリーマンやビジネスレディのように月給制の仕事なんだよ」

2013-02-09 21:33:01
高橋ショウ @zrx78

「アルバイトなのに月給制なんですか !?」

2013-02-09 21:33:24
高橋ショウ @zrx78

 今度は驚いた声を上げる麻衣。アルバイトなのに月給制……おかしな話だ。驚くのは当然のことであろう。麻衣の驚きをよそに、男は「ああ、そうだよ」と頷く。

2013-02-09 21:33:47
高橋ショウ @zrx78

「さっきも言ったとおり、少々特殊な仕事をしてもらうからね。まあ、月給と言ってもキミは高校生だ。それほど高くはない。7万円だ」

2013-02-09 21:34:20
高橋ショウ @zrx78

 また麻衣は 「7万円っ !?」と驚いた声を上げてしまう。高校生のアルバイト料としては、かなりの額だ。

2013-02-09 21:35:01
高橋ショウ @zrx78

「で、でも私、部活がありますから、そんなに働けませんよ。レギュラーですから、試合に出ることもありますし」

2013-02-09 21:35:25
高橋ショウ @zrx78

「それは問題無い。むしろ、働かない方が良いんだ。働かないに越したことはない仕事だからね」

2013-02-09 21:35:51
高橋ショウ @zrx78

 働かない方が良い……働かないに越したことはない……どんな仕事なのかと、さらに麻衣は疑問を抱く。特殊な仕事だと男は言うが、そんなに働かなくても7万円という月給をもらえる仕事とは何なのか? 麻衣には想像もつかない。

2013-02-09 21:36:22
高橋ショウ @zrx78

(そういえば、この人、お父さんのお葬式で会ったような……)

2013-02-09 21:36:44
高橋ショウ @zrx78

 男の顔を見ていた麻衣は、ふと思い出す。麻衣が9歳の時に逝去した父親……死因は事故死だ。信号無視したトラックにひかれた……麻衣はそう聞いている。その父の葬儀の場に、いま目の前にいる男がいたような気がした。だが、もう8年も前の話だ。記憶は曖昧になっている。

2013-02-09 21:37:21
高橋ショウ @zrx78

 それでも麻衣は、男が父親の葬儀の場にいて、母親と何かを話していた……そんな気がした。

2013-02-09 21:37:37
高橋ショウ @zrx78

「もっとも、俺としてはキミを巻き込みたくはない」

2013-02-09 21:37:58
高橋ショウ @zrx78

「だが、キミを助ける方法は1つだけで、そして俺は彼女を哀しませたくはない」

2013-02-09 21:38:39
高橋ショウ @zrx78

 疑問ではなく、麻衣は混乱を抱く。男が何を言っているのか分からない。アルバイトの面接をしていたはず……だが、会話の内容が明らかに変化している。男が口にした、彼女、とは誰なのか? 男の言葉から、麻衣の親しい人物だということは分かった。ふと思い浮かんだのは、母親の顔だ。

2013-02-09 21:39:19
高橋ショウ @zrx78

(やっぱり私……この人に会ったことがある……お父さんの、お葬式で……)

2013-02-09 21:39:46
高橋ショウ @zrx78

「あいつに怒られるかもしれないが、他に手段は無い。今度の墓参りでは、よく謝っておくよ」

2013-02-09 21:40:10
高橋ショウ @zrx78

「あ、あなたは……」

2013-02-09 21:40:32
高橋ショウ @zrx78

 誰なんですか……そう聞こうと思った時、いきなり世界が暗くなった。男の姿も見えなくなる。突然のことに「な、なに!?」と慌てる麻衣の耳に、クラクションの音と大型車のエンジン音が届いた。それが聞こえる方に顔を向けた麻衣は、目を見開いた。

2013-02-09 21:41:16