すらすらわかる貸倒損失の実務。

貸倒の要件は法律にも会計基準にも書いていません! じゃあ、いったい・・?
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すらたろう @sura_taro

そこは、すらたろうが解説いたそう <金銭債権の貸倒

2013-02-11 19:32:41
すらたろう @sura_taro

法人税法上の課税所得は、企業会計上の当期純利益を基礎とし、これに税法にある「別段の定め」を加減算して算出されます

2013-02-11 19:34:16
すらたろう @sura_taro

「別段の定め」には受取配当金の益金不算入、交際費の損金否認、貸倒引当金の損金算入などがあります

2013-02-11 19:35:38
すらたろう @sura_taro

益金不算入というのは企業会計上は利益なのに課税所得には算入しない。損金不算入とは企業会計上は費用なのに課税所得上は損金にできないというものですね

2013-02-11 19:37:10
すらたろう @sura_taro

別段の定め、にはいろいろなものがありますが、これに規定が無いものは、企業会計の基準が「一般に公正妥当と認められる」ものである場合にはそのまま受け入れられる・・はずでした

2013-02-11 19:39:03
すらたろう @sura_taro

IFRSとのコンバージェンスのためにいわゆる「新会計基準」(税効果、退職給付、金融商品会計、減損・・)などが次々制定され、これは金融商品取引法では「公正妥当」とされていますが、法人税法では部分的にしか受け入れられていない

2013-02-11 19:41:31
すらたろう @sura_taro

法人税法の発想として「債務確定主義」というのがあり、損失や費用は「見積もり」では不可で、「確定」したものでなければならない、というものがあります

2013-02-11 19:43:15
すらたろう @sura_taro

新会計基準系は、見積り要素が山盛りなので、法人税法ではほぼ受け入れられておりません。

2013-02-11 19:44:40
すらたろう @sura_taro

さて、本題の貸倒損失です。よく勘違い、混同されるのが、法52条以下の貸倒引当金繰入の制度です

2013-02-11 19:46:35
すらたろう @sura_taro

貸倒引当金は、施行令96条に繰入条件が定められており、例えば不渡り2回の銀行取引停止や民事再生申立で(担保保証以外の)2分の1の損金算入が認められているもの

2013-02-11 19:48:39
すらたろう @sura_taro

そう、法人税法では不渡り2回という事実上、もう取れないだろうという状態でもわずかに貸倒引当金が2分の1しかできないという厳しい制度なのです

2013-02-11 19:50:13
すらたろう @sura_taro

法人税法や施行令には、貸倒がどういう状態であるか定義した定めはありません。よって、公正妥当な会計処理に戻るはずなのですが・・

2013-02-11 19:52:05
すらたろう @sura_taro

企業会計原則や新会計基準にも、いったいどういう状態になったら貸倒なのか定義が無い!循環してしまいますw

2013-02-11 19:53:01
すらたろう @sura_taro

そこで、基本通達の登場です。基本通達9-6-1以下に、どういう状態が貸倒なのか詳細に定められております 国税庁HP http://t.co/4OE3GC5B

2013-02-11 19:55:00
すらたろう @sura_taro

9-6-1の法的手続の場合はわかりやすいのですが、実務上、最も紛議が起きるのが9-6-2「法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合」という規定

2013-02-11 19:57:01
すらたろう @sura_taro

しかも9-6-2の後段には「担保物がある場合は処分してから」という地獄の但し書きががが

2013-02-11 19:58:12
すらたろう @sura_taro

通達には「全額が回収できない場合」という記載があり、毎月少しづつでも回収している場合は貸倒が認められないという指摘が来たり・・

2013-02-11 19:59:24
すらたろう @sura_taro

後順位の抵当権をつけているがほとんど無剰余の担保しかない場合でも否認されたり・・という紛議が

2013-02-11 20:01:03
すらたろう @sura_taro

行政通達は上級官庁が事務取扱の統一を図るために行政の現場へ向けて発信するものに過ぎず、法律ではないので納税者を拘束しません

2013-02-11 20:03:03
すらたろう @sura_taro

しかし通達が納税者を拘束しないといっても、現場の税務官僚は通達に従って来ますので、先のような硬直的な解釈による貸倒否認も散見されるとか

2013-02-11 20:07:01
すらたろう @sura_taro

ただ、大企業へ入る国税局の調査官はそんな硬直的指摘はしません。実務としては、保証人がいたりして月々少しづつ返済していたとしても、その保証人が生活保護レベルであるとか、完済まで20年以上もかかるとかの場合は貸倒が認められている

2013-02-11 20:10:09
すらたろう @sura_taro

また、担保物がある場合でも担保価値が債権額に足りず、先順位があって無剰余の場合も同様に貸倒が認められている

2013-02-11 20:12:15
すらたろう @sura_taro

この辺は通達には書いてありません。市販の解説書には書かれている場合もありますが、あくまで事実関係はケースバイケースなのでこれを鵜呑みにされませんよう

2013-02-11 20:14:22
すらたろう @sura_taro

このように若干の柔軟な貸倒認定がなされておりますが、実際は「全額が回収不能」という前提は生きており、部分貸倒は認められていない

2013-02-11 20:16:16
すらたろう @sura_taro

租税法の大家である金子名誉教授は「部分貸倒を認めるべき」とも主張されています参照(金子氏自身の論考ではありません)「法人税法における貸倒損失」 PDF https://t.co/a7TPaw9K

2013-02-11 20:20:15