美味しんぼ「福島の真実」 どこが問題?
放射性物質から放射線が出る時の物理法則から,カウント数はその平方根にあたる標準偏差を持つので,例えば100カウントする時にはばらつきの標準偏差σは√100=10カウント程度.
2013-02-14 12:55:22これは100カウントするような条件で,100±10カウント(±1σ)の範囲に実測値がくる可能性が約68%,100±20カウント(±2σ)の範囲に実測値が来る可能性が約95.5%となるということ(このあたりは高校の教科書の統計の項に載ってます).
2013-02-14 12:58:07逆に言えば,100-95.5=4.5%,すなわち20回に1回ぐらいは約100±20カウントより大きなばらつきが生ずるということ.2σの範囲内でばらついても当たり前と考えて計算すると以下の様になる.
2013-02-14 12:59:091μSv/hの環境では1分あたり理論カウント数100,σは10なので,100±20の検出数→0.8~1.2(2σ)の範囲でばらつく / 0.5μSv/hの環境では1分あたり理論カウント数50,σは7なので,50±14の検出数→0.36~0.64(2σ)の範囲でばらつく
2013-02-14 12:59:430.3μSv/hの環境では1分あたり理論カウント数30,σは5.5なので,30±11の検出数→0.19~0.41(2σ)の範囲でばらつく / 0.2μSv/hの環境では1分あたり理論カウント数20,σは4.5なので,20±9の検出数→0.11~0.29(2σ)の範囲でばらつく
2013-02-14 13:00:060.1μSv/hの環境では1分あたり理論カウント数10,σは3なので,10±6の検出数→0.04~0.16μSv/h(2σ)の範囲でばらつく
2013-02-14 13:00:57ここでポイントは,低線量ほどその相対的なばらつきの割合が増えていること.低線量域の正確な測定は難しいし,自己ノイズ(実は宇宙線の影響という話もあります)の影響や,自然放射線の割合が相対的に大きくなることも含めると事故の影響を判別するのは結構やっかい.
2013-02-14 13:01:41上の計算は仮に100cpm/μSv/hで1分間測定を仮定したもので,GM管の検出能の実力値はもう少し高いし,測定時間が長く取られていればもう少しばらつきは小さくなるが,それでも実際に測ってみれば何もしなくても(放射性物質の飛来がまず考えられないところでも)相当ばらつくのがわかる.
2013-02-14 13:02:20美味しんぼで描かれているTERRAシリーズは測定時間(表示のフラッシュが止まるまでの時間)は一定でなく,低線量では時定数を長く取っている(アルゴリズムは非公開?)ようなので,ここまでのばらつきはないと思われる(今私の持ってるのは壊れてしまったので確認できない).
2013-02-14 13:03:15RADEXシリーズも測定時間が長くかかる(RD-1503で40秒×4)代わりにもう少し安定が良いが,それでも測ってみると物理法則が納得できるぐらいにばらつく. というわけで,もし値のばらつきで「何か飛んできてるのでは」と不安になる人がいればやさしく説明してあげてください.
2013-02-14 13:03:48雁屋哲氏 美味しんぼ」の「福島の真実篇」について(2013-02-14) http://t.co/9hnBmYg8 福島の取材記を読んでも,福島のことをちゃんと見ようとしてくださっているように感じたので,見届けていきたいと思います(でも科学考証担当は是非つけていただきたい).
2013-02-14 22:16:03