『王様は死にました』連作ツイッター小説まとめ(2010.8.29早朝)

@wacpreさんにまとめて頂いた本文のみのまとめはこちら。 ありがとうございます♪ http://togetter.com/li/45581 自分メモ的にTLも残しておきたかったのでまとめてみんとす。 続きを読む
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@_rurugold

@windcreator あっ!?わくわくされてる!?

2010-08-29 04:42:29
とおる6th @windcreator

私は幾度も彼に給仕したことがありました。幾度もお茶を掛けたこともあります。幸い彼は、怒るだけの方ではなく笑ってくださる方でしたので、二人旅は苦になりません。私としては掃除も料理も宿で済ませる生活に、大変暇を持て余すばかりで、色々な方と話される彼の事をずっと観察しているのでした。

2010-08-29 04:43:34
しーな@GO2完走 @xsheeenax

@windcreator 多分ねー、「王様は死にました。」がお題として事前に提示されてて、考える猶予があったら王様サイドのものを書いてたと思う。TL見て反射的に思いついた。自分でも不思議。

2010-08-29 04:44:05
とおる6th @windcreator

@_rurugold 王様は死にました。なぜなら王様を救う奇跡の風邪薬の調合が間に合わなかったのです……。

2010-08-29 04:45:54
とおる6th @windcreator

@xsheeenax ここ一時間で王様が死にすぎている僕のTL。反射的に村娘の話が出てくるというのはまた面白いですね。そういう最初に思いついたものって、専門家の手に掛かれば心理テストになりそうです。

2010-08-29 04:47:27
@_rurugold

奇跡の風邪薬の調合失敗―――わたしには王様を救うことができませんでした。

2010-08-29 04:47:47
とおる6th @windcreator

あちらからこちらへ。彼は地図の上で私に旅路を説明してくださいましたが、よくわかりませんでした。どうやら、この国の古い街や村の長たちに会って「王様は死にました」を言いに行かねばならないらしいです。伝令の方だったとは、今知りました。そう言うと彼は笑って言いました。私も、今教わったよ。

2010-08-29 04:53:03
とおる6th @windcreator

私は彼の隣で、様々な人に会いました。長老と呼ばれる白髪の方も、若頭と呼ばれる逞しい方も、姐様と慕われる美しく大きい方もいらっしゃいました。彼は、誰にも変わらない物腰で「王様は死にました」を伝えていきました。酒を飲む方や、涙する方や、ため息を吐く方など様々でした。旅はまだ続きます。

2010-08-29 05:02:39
とおる6th @windcreator

地図には彼が書き込んだ文字や印が増えていきますが、相変わらず私にはわかりません。そして相変わらず暇です。暇なので、彼から難しい言葉や文字を教わりました。彼は私のために日記を一冊買ってくださいました。なのでこうして、かつての私はここにいます。いつかの私が読んだらどう思うでしょうか。

2010-08-29 05:07:36
とおる6th @windcreator

街から村へ、村から山へ。山から川へ、川から海へ、再び街へ。私は彼の隣でたくさんの人と出会い、たくさんの景色を見つめ、たくさんの言葉を知りました。そして、十一人の賢者への伝令が終わった時には、再び月が丸くなりかけていました。彼が帰るよと言った時、私は初めて自分の言葉を知りました。

2010-08-29 05:17:48
とおる6th @windcreator

私は今までお城しか知りませんでした。あなたのことも、知りませんでした。今、私は、まだまだ知らないということを知っています。まだまだ知りたいと、思っています。あなたは、何故私を伝令の付き添いにしたのでしょう。私は、今、生まれて初めて自分のために疑問しています。何故でしょうか」

2010-08-29 05:21:46
とおる6th @windcreator

彼は笑って言いました。お城に帰ろう。帰ったら、何もかも説明するよ。でも、帰らないと何も説明できない。伝令役は、君のおかげで滞りなく済んだ。お城では、私たちを待っている人がいるんだ。急げばまだ、満月の前に帰れる。きっと、今の君なら、答えを出せると思う。私には出せない君だけの答えを。

2010-08-29 05:26:35
とおる6th @windcreator

私には何もわかりません。私はただ、城に仕えるだけの女です。そのはずでしたが、今は掃除も料理もしていないので、ますますわかりません。それでも城は近づき、月は太ります。遠く、美しい町並みと城が見えて、彼は呟きました。「ただいま……さん」あまりにも小さい声で、私にも聞こえませんでした。

2010-08-29 05:36:22
小岩井よつば3号 @428bot_3

@windcreator おかえり 萌えようびのトオルッティ!なにかってきた?

2010-08-29 05:37:06
とおる6th @windcreator

城に帰ると、葬儀の準備が慌しく進んでいました。後は、王位継承の儀を済ませれば国中に「王様は死にました」と伝令が走るのだそうです。伝令役の彼も葬儀の準備に忙しそうです。帰ってきてからの私は、長様に命じられて彼の給仕や身の回りの世話役にされました。朝から夜まで常に傍にいなさい、と。

2010-08-29 05:43:42
とおる6th @windcreator

満月の日に葬儀は行われました。何故か私は、着たこともない綺麗な生地の黒いドレスを着せられ、伝令役の彼の後ろに控えていました。彼は壇上で高らかに「王様は死にました」と言いました。続けて、「されど我が国は死なず、我は十一の賢者より国を任されし者なり」、と。彼は振り返り、私を呼びます。

2010-08-29 05:52:57
とおる6th @windcreator

「十二人目の賢者がここにいる。彼女が証人として我が王位を認めるならば、王冠を私に与えるであろう」彼はそう言って跪きました。私は今までの事とこれからの事を考えました。どうやら暇だと感じていたのはただの勘違いのようです。私は静かに先王の王冠を手に取り、彼にだけ聞こえる声で聞きます。

2010-08-29 06:01:47
とおる6th @windcreator

「何故、私なのでしょうか?」

2010-08-29 06:02:21
とおる6th @windcreator

彼は私にだけ聞こえる声で答えます。「君だけは、城に仕えながら本当に何も知らなかった。私の名も、王子であることも。そして、君は誰よりも知っていた。自分が何も知らないということを。今では、更に知らないと思っている」私には彼がいつもの顔で笑っていることがわかりました。だから、言います。

2010-08-29 06:08:35
とおる6th @windcreator

「私は何も知らない者です。何もかも知りません。ですが、この方の笑い方や怒り方、話し方や教え方を知りました。そして私は、もっと知りたいです。この方がどんな王様になるのか、王様が何をするのか、何のために王様がいるのか。だから、私はこの方に王冠をお預けします。そして、ずっと傍にいます」

2010-08-29 06:12:43
とおる6th @windcreator

葬儀は静かに終わり、彼の言葉と私の言葉を携えた伝令が国中に走っていきました。長様は葬儀を終えた私に深々とお辞儀をした後、頑張りなさい――命令ではないけれど、と初めて笑顔を見せて去っていきました。私は何故かお妃様と呼ばれて彼と同じ部屋に押し込められ、少し途方に暮れています。

2010-08-29 06:19:10
とおる6th @windcreator

煌々と満月が空に昇った頃、新しく王様になった彼は部屋に帰ってきました。色々と王様は忙しいんだ、と言うので明日からは私も一緒に傍にいようと思います。私はいくつか言いたいことがあったのですが、夜も遅いので一つだけ確かめることにしました。「何故私がお妃様と呼ばれるのでしょうか?」

2010-08-29 06:23:53
とおる6th @windcreator

「必要だから。僕には、何もかも知らない君が必要だったんだ。そして、君が『私』の傍にいると言ってくれたから」その答えは、わかりそうでわかりません。妃とは、王の妻のことだったように思いますが、傍にいればそれでいいのでしょうか。彼はいつもの笑顔で私を抱きしめました。「これから教えるよ」

2010-08-29 06:32:48
とおる6th @windcreator

私は今でも何も知りません。あれから彼の傍で多くの人々と出会い、多くを知り、学びましたが、やはり私はまだまだ何も知りません。彼の子を生み育ててもなお、やはり私には知らない事の方が多いままです。それでも、彼の傍で問い続けています。何故なのでしょうか、と。彼は変わらずに笑って答えます。

2010-08-29 06:40:24