萃香さんのお話。

TLで拾った一連のツイート。 萃香さんが語る物語。
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「萃香さんのお話。」

2013年2月26日。
私のTLにRTと言う形でこんなお話が流れてきました。
一応本人からのOKももらっているので、ここ(Togetter)に乗せておきます。

🍉 @suica_yojo

@AACharacters あ、いいよいいよ、もともとツイートで公開したようなやつだし!使っておくれよ自由に

2013-02-26 21:59:10

ここから一連のツイート↓

🍉 @suica_yojo

さてさて、はじめるよ。

2013-02-26 20:38:42
🍉 @suica_yojo

むかしむかし、あるお山にいっぴきの子鬼が産まれました

2013-02-26 20:39:15
🍉 @suica_yojo

その鬼は、乞われ生まれた鬼でした

2013-02-26 20:39:54
🍉 @suica_yojo

伊吹山には鬼がいる。人を喰い、富を奪う鬼がいる。伊吹山には近づくな。さもなくば鬼に食われてしまうぞ。

2013-02-26 20:41:06
🍉 @suica_yojo

鬼は、人間に、人食い鬼と乞われ生まれた鬼でした

2013-02-26 20:42:10
🍉 @suica_yojo

鬼は、人間が好きでした。

2013-02-26 20:42:40
🍉 @suica_yojo

人間が好きでした。たまらなく好きでした。だから鬼は、人を喰いました。

2013-02-26 20:43:17
🍉 @suica_yojo

人を食らう鬼と乞われ生まれた鬼は、そうすることで大好きな人の為に鬼でいたのです

2013-02-26 20:44:40
🍉 @suica_yojo

やがて、人は鬼を畏れました。人を食らう恐ろしい鬼を憎みました。鬼は喜びました。大好きな人の為に、鬼で在れたからです。

2013-02-26 20:46:05
🍉 @suica_yojo

鬼は畏れられ、そうするうちに名を知られ、より力を持ちました。鬼は喜びました。人にそうあれと願われた存在として、より人を食らうことができると。鬼は人の為にそこにありました。

2013-02-26 20:48:07
🍉 @suica_yojo

恐れた人は鬼を伐とうとしました。しかし、それはとうとう果たされませんでした。畏れられた鬼は、人をとうに越え、鬼として君臨していたのです。

2013-02-26 20:49:49
🍉 @suica_yojo

やがて、鬼の元へ同じようにして生まれた鬼が集い始めました

2013-02-26 20:50:25
🍉 @suica_yojo

彼等は、自らを産んだ人を愛してはいませんでした。

2013-02-26 20:51:32
🍉 @suica_yojo

鬼だからと狩られる。理不尽に首を晒される。そんなことをする人間を恨んでいました。鬼は、より強い鬼の庇護を求め、集いました。

2013-02-26 20:52:33
🍉 @suica_yojo

それは、伊吹山の鬼にとって、最初の『仲間』となりました。

2013-02-26 20:53:37
🍉 @suica_yojo

鬼は、人を愛していました。だけど、愛するものに鬼の言葉は届きませんでした。鬼は、孤独でした

2013-02-26 20:54:25
🍉 @suica_yojo

鬼は、慕い集った彼らもまた、愛しました。

2013-02-26 20:55:01
🍉 @suica_yojo

集った鬼は、伊吹山の鬼にこう請いました。もう理不尽に討たれるのはうんざりだ。鬼よ、私達を守っておくれ。貴女を愛する私達を守っておくれ。

2013-02-26 20:56:18
🍉 @suica_yojo

鬼は、一晩だけ泣きました。

2013-02-26 20:56:47
🍉 @suica_yojo

そして、鬼は人を愛するが故に人を喰らい、鬼を愛するが故に人を喰らいました。

2013-02-26 20:57:43
🍉 @suica_yojo

幾度となく、鬼は人を喰らいました。愛するが故に喰らいました。こうすることで、皆が幸せでいられると信じて喰らいました。

2013-02-26 20:59:03
🍉 @suica_yojo

やがて、人は知恵を持ちました。鬼を超える知恵を持ちました。

2013-02-26 20:59:59