蓮見さんと菊崎さん

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL 久々ゾンサバ話。@futimothy　さんの菊崎さんとの蓮見さんのお話。　

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL 化け物共の相手をしてるうちにいつの間にか椿とはぐれた。携帯は、とかけてみるが留守電。まああの狙撃手は万能なのでそのうち会えるだろう。と、濡れた足音が耳につく。ほんと、どっから湧いてくるんだ。うんざりしつつ、足音を辿ると、倒れた化け物を組み敷く人影が見えた。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL まさか。以前見た光景を思い出し、足を止めると人影は気配を察したのかこちらを振り向いた。目深に被った帽子の下の目は、俺と同じ黒。思わず肩の力が抜ける。口の周りを血塗れにしたそいつは、俺を睨み付けるとゆっくり立ち上がった。何か用か。いや、奴らの足音がしたから。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL 手助けがいるならと思って。余計な世話だ。にべもない。どこぞの獣と良い勝負の無愛想ぷり。でも食べ方はあいつと違う。もっとも俺が最初に想像してたのはこのタイプなのだが。肉と血と腐敗した何とも言えない匂い。まだ何か用か。忌々しいと言いたげなそいつに、思わず問う。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL ねえ、こういう食べ方だと腹膨れるの？失言だと気づいた時には飛びかかられてた。反射的に後ろに飛び退くと更に睨まれる。思えば最近大人に甘やかされてた。…ごめん、悪かった。お前に、何が分かる！うん、ごめん。振り上げられた手首を思わず掴む。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL 傍らにあったチェーンソーを持ち出されたら、とヒヤリとする。と、銃声と共に俺とそいつの間に銃弾が撃ち込まれた。万能狙撃手、さすがは仕事が早い。椿さん！大丈夫だから！見えてるなら多分、聞こえる筈だ。俺の手を振り払ったそいつは、茫然と辺りを見回した。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL お前の仲間か。うん。…どこから。さあ？あの人は何でも出来るから。それより、ごめん。気を悪くさせて。あいつ以外に食ってる奴見たの初めて会ったからつい、気になって。…あいつ？うん、俺の恋人も食うの。食い方、あんたと違うけど。…どうして、まだ恋人と呼べるんだ。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL え？私なら、お前から逃げる。そんな自分を見せたくない。うん、逃げられた。あっさり言うと顔をしかめられた。見ないでくれって言われたけど、そんな状態で一人にしとけねえだろ。だから追いかけた。で、はっ倒した。まあ、正確には押し倒され、俺があいつを喰ったわけだが。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL はっ倒したって…女を？あ、そいつ男。何？友達の友達だったけど、ほっとけなくて。…お前の話を聞いてると、恋人になったのは、彼が捕食するようになってから、と言うことになるが。そうだよ、悪い？問い返すと黙られた。……変わった奴だな。よく言われる。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL …腹は。ぽつりと、下を向いてそいつは口を開いた。腹は膨れない。ただ、普通の食事では満たされない何かがずっとある。奴らを見ると我慢が効かない。食べた後に腹の底に熱が溜まったような…そんな感じだ。そっか、ありがと。あいつはあまり語りたがらない。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL 喰う姿も一度見たきりだ。知られたくない、見られたくないと思ってるのは分かってる。それでも少しでも苦しみを共有したいと思うのは俺のわがままだろうか。余計に苦しめるだけだろうか。お前は、恋人が食べる姿を見たことがあるのか。ん、一回ね。…どう思った。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL 俺が困った顔をしたのだろう。冷ややかに苦笑された。正直に答えてくれ。私はお前の質問に答えただろ。あー…エロい、と思った。…何？俺の恋人、綺麗なの。でも愛想悪いの。けどそれを崩すのが楽しみなんだけど。惚気は聞いてない。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL あーごめん、だからさ、俺にしかそういう顔見せないって思ってたらあんな化け物喰う時同じ顔するんだと思うと腹が立つやら襲いたいやら…え、何？………お前、馬鹿だろう。その声が今まで聞いてたそれよりやや高いことに気付く。そう言えばさっき握った手首も意外と細かった。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL うん、あいつからもよくそう言われる。君は馬鹿だ。剃刀みたいに鋭い深緑の瞳。話してくれて、ありがと。あんまりしつこく訊くと嫌な顔されるからさ。どうして、その男を愛せる。どうしてって、何が。…怖くないのか。別に？むしろ、俺がゾンビになったら喰ってほしい位。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL 馬鹿か。そう言ったら絶対に嫌だって泣きそうな顔で言われたの、 愛するしかねえだろ？右手を預けていた刀の柄が小さく鳴く。お姉さん、伏せて。不審そうな顔をするそいつの頭上から化け物が降りてくる。胴を真っ二つにすると同時に銃声が響き、化け物の眉間を撃ち抜く。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL …あ、ごめんこれでも喰える？…そんなことまで気にしてくれてなくていい。久々に外に出れた蝶々さんは名残惜しそうに鞘に戻る。どうして女だって分かった。だって手首細いし、声。俺の言葉に女は手で口を覆う。確かにこんな街で生き抜くには女と隠した方がいいかもしれない。

ゆき。 @Yukilinus

@itsumonoTL お姉さん強そうだけど、気を付けて。話に付き合ってくれてありがと。そろそろ戻らないと、撃たれるのは俺だろう。もしくは飯抜き。狙撃手は容赦がない。握手を、と思ったが何となく拒否されそうなのでやめる。ねえ、名前訊いていい？女は少し迷った様に黙ってから口を開いた。