ツイッター上のカワカミン

だいけ　”夢送人”という字名を名乗るも、 @daike000

【25】「どーも、通報あったんで来たんだけど。大変だねこりゃ」アスファルトの下から、虹蛇と呼ばれる存在が現れた。別名、「ワムナビだっけか」トールの呟きにワムナビは頷き、「思考、熱量、溶かす。単純な図式だろ？」言うが早いか、ゲルに飛び込んで行った。

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【26】狸は、さとーさんが嬉しさの余り気絶するのを見て、感激の涙を流していた。少し離れた場所では、良い位置に入ったのか、白眼を剥いてピクリとも動かない狐が居るが、狸は既にその存在が見えない。「さとーさん。いや、さとーたああああああん」狸と、泡を吐くさとーさんとの饗宴が続く。

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【27】「今日もクロなの一杯書けて満足にゃー」「もっと見たいでス―――ン」ヒラキとヒイラギの２人が仲良く歩いていた。そして、２人は見て、そして聞いた。ワムナビとゲルの果てしない争い。――そして、トールが「もう手におねええええええ！」と走ってくるのを。

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【28】トールは、目の前をのんびりと歩いている２人に叫んだ。「ゲルだっ。ゲルに飲まれるぞっ！」そして目を白黒させて戸惑う二人の手を取って、半ば引き摺るようにして走った。…いや、走ろうとした。そして、小さな事件が起こった。

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【29】実はジョニーは、某国の潜入工作員と呼ばれる類の人間である。そのジョニーは今、上司の指示で現場に向かっていた。自身の、２本の足で走っていた。自転車を使おうとしたら、『それじゃキャラが被るんだよ！』と上司に怒られた。理不尽だと思った。後悔は、先に立たなかった。

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【30】「何コレ…」そしてジョニーは、辿り着いた。現場一帯を見渡すことの出来る場所へ。…カメラをセットして、本国へと映像を送る。上司も誰もが、無線機越しに息を呑んでいるのが分かった。それほどまでに、凄い光景だった。――広がるゲル。そのゲルから逃げるように走る、２人と１匹の影。

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【31】駆け抜けるトールの右手は、ヒラキの手を確かに掴んでいて、人の重さが確かにあった。だが、左手が妙に軽い。「――あれ？」トールが視線を落とすと、そこには、「えぇ、角だけーー！？」背後、「すーーーン！」鳴き声は、すぐに聞こえなくなった。

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【32】「ちくしょう！ヒイラギさんまで…っ！」トールのその声を、大名行列の主、しゅくやが聞いていた。「狸が騒いでたと思ったら、こっちも騒がしうわわわわわわわ！？」「しゅくやさん、走って！追いつかれる！」

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【33】「あ、銀色？居る？そっちから、状況が見えてる！？」ジョニーは無線機を置いて、携帯で捲くし立てる。「そう！熱！さっき虹蛇だっけ？そんなのが突撃したでしょ？多分足りてない。そう、熱量。アンタさ、良い知恵、あるでしょ？」電話越し、銀色の返事は、――。

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【34】「手持ちのブーンを全部ぶち込む！」「何、ブーンって！？違うで」銀色はジョニーとの会話を電源ボタンポチリで強制終了した。そして携帯をポケットに放り込んで、それから背負ったリュックから、『ソレ』を取り出した。「みんな、よろしく」――点火、投下、

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【35】銀色が責められるとしたら、彼を巻き込んだその一点に尽きるだろう。もし銀色がもう少しだけ周囲に気を配っていたら、そんなヘマはしなかった筈だ。その程度には、銀色も焦っていた。だから、れいるが爆風を受けて宙を舞っていることについて、銀色は完璧に無視をした。

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【36】「あれ、何で俺、空飛んでんだ…？」れいるは空を飛びつつ、下を見た。緑とも赤とも●とも見える何とも言えない混ざり合ったゲル状の何かが、一杯に広がっていた。その中央、白い塊がどんどんと膨らんでいくのが見えた。「ふむ。これはつまり、俺はこれから、」れいるの声は、そこまで。落ちた

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【37】爆発音がして、思わずトール達は振り返った。ゲルの侵攻は止まっていた。「あれ、何かにゃー…？」ヒラキの指差した先。ゲルの中央。白い塊が膨らみ始めていた。

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【38】同時刻。監視のためにゲル上空を飛び回っていたみすとが、無線機越しの上司の呼び声を無視したジョニーが、全てを出し尽くした銀色が、呆然と立ち尽くすトールとヒラキとしゅくやが、そして中心に落ちたれいるが、――見た。

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【39】餅は加熱されると膨らむ。膨らんで、膨らんで、膨らんで――。だから、れいるは引き金を引いたのだ。

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【40】――全てが、弾け飛んだ。

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【41】「あれ、また俺、飛んでる…？」れいるは、空を舞っていることを自覚しつつ呟いた。飛んでいるのは彼だけではない。ゲルも角無しヒイラギも林檎もバナナも自転車も、体育座の人も、誰もが空を舞った。

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【42】ジョニーの監視カメラは、みすとが●直撃で落下する様を捉えていた。無線機の向こうは、『何だあの空飛ぶ物体は！？』『ゲルはもういい！それよりあの物体を捕まえろ！』無線機の電源をオフにして、携帯を取り出した。「銀色、聞こえるー？」電話越し、「はいはい、エフィです！」「誰だ…」

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【43】さて、残りは後日談の部類である。狸は気絶したさとーさんまっしぐらで、しばらくしたら何時も通りにいちゃつき始めた。狐はそれを横目で眺めて、溜息交じりにその場を立ち去った。

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【44】後頭部に風薬の突き刺さった約全裸のぼん太君は何事もなかったかのように書店に辿り着いたし、パスタ好きな猫耳は家に帰ってパスタをそのまま齧って満足していた。ロボは何事もなかったかのように立ち尽くしており、次の誰かを探して歩き始めた

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【45】体育座は自転車を回収して、それから冷えて固まった餅も回収して籠に乗せてまた走り出した。しゅくやは『風』や『雨』達の誰もが無事なのを確認して、トールとヒラキに別れを告げて家路に着いた。「旦那様ー、何かさっき、大きな音したねー？」と、この２人も勿論何事もなく、平和に帰宅

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【46】林檎とバナナはアスファルトの上、仲良く並んで放置されて涙目。その上を、虹蛇が飛んでいくのを、トールとヒラキが見送った。「ありがと、ワムナビー！」人嫌いで有名な竜は、その逸話通りに彼らの声を無視しようとして、だが、「呼んでくれれば、いつだって来るさ」尻尾を振って、地に還った

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【47】「終わりよければ全て良し、これもまた、ツイッター上のクロニクルで御座ったな」誰かが落ちた電柱の上、黒装束に身を包み、腕を組んだ忍びが呟いた。

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【Extra】「カッコつけてんじゃねぇよ、もげろ！いやむしろもがれろ！」鎌を掲げた番人が、怒りとも嘆きとも取れる表情で電柱の上に立った。「うわ、危ないで御座る、危ないで御座るよっ！」…世界のどこかで、忍びと番人の抗争が始まっていた。

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【Extra2】「はいはい、エフィです！」「誰だ…」エフィは困惑していた。掛けてきた相手から「誰だ」などと聞かれるなど、想定外だったからだ。だから、「私、エフィって言います」「相手は、詰まらなそうに相槌を打つ。それにめげずに、「お友達になって頂けませんか？」…悪くはない、と思う