金融危機における銀行国有化と銀行間市場のとある論文について

以下のワーキング・ペーパーに対するコメント。 Cassola, Horta and Kastl(2012) "Liquidity Auctions, Fixed Rate Tenders & Bailouts in the EURO Zone"
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Kohei Kawaguchi=Sunada @mixingale

昨日のKastlのセミナーhttp://t.co/6GZjnRHDuvはエコノメトリカ近刊のhttp://t.co/puMvqhVF51の後続論文。まずリーマン前のECB流動性入札数十回分のそれぞれのオークション時点(t)での各銀行(i)の支払意思関数(v_it(q))を推定。

2013-03-12 22:23:09
Kohei Kawaguchi=Sunada @mixingale

1) 各銀行の支払意志関数の推定値の列と各銀行の会計数値やその後の救済措置などの別の指標との関係をみることによって推定値の外部妥当性を検証、概ね予想通りの関係になっていることを確認した上で、2) その支払意志関数を"データ"と見なして銀行間のショックの連動の仕方を解析する。

2013-03-12 22:27:37
Kohei Kawaguchi=Sunada @mixingale

各オークション時点(t)での各銀行(i)の支払意志関数を推定するために、t時点での各銀行のタイプの条件付き独立性を仮定していて、それがその後の分析で考慮されているシステミックリスクの存在と整合性がとれてないような気がしたんだけど、まあ「こまけえこたいいんだよ」ということで。

2013-03-12 22:29:25
Kohei Kawaguchi=Sunada @mixingale

厳密に言うと、その後の解析では他銀行からの影響は他銀行の支払意思のラグ項を通じてしか入れてないので分析の枠内では整合性は取れてるとは思う。ただ、ショックのクロスセクションの相関や他銀行の同時点内生変数の混入は条件付き独立性を担保するため排除せざるをえなくなってるということ。

2013-03-12 22:36:33
Kohei Kawaguchi=Sunada @mixingale

とはいえ、そもそも入札行動のデータを使えば週間レベルで各銀行の流動性危機の様態や金融市場全体のシステミックリスクのあり方を把握することができるって時点で実践的には十分な前進なのだから「こまけえこたいいんだよ」という彼の姿勢には全面的に同意する。

2013-03-12 22:40:07