田中ピカ○ュウの火力主義講座#4

Wグデーリアンの陸戦講義の裏メニュー的な何かです。 今回もアフリカ戦線、特にエル・アラメインの戦いについてのお話がメインです。
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田中ピカチュウ @sovozisan

講座行きます。前回タグが長くてまともにできたもんじゃないという問題点が発覚したのでタグを短くします。ゴメンね!!! #火力主義講座

2013-03-13 23:38:18
田中ピカチュウ @sovozisan

何かタグが自分で入力しないと出てこないバグが…… #火力主義講座

2013-03-13 23:38:53
田中ピカチュウ @sovozisan

戦間期に流行した機動戦理論が火力戦の展開を避けたことで、その最先端を行くドイツ軍の誇る電撃戦は、火力の十分な敵を相手にすると普通に止められるという宿命を持ちます #火力主義講座

2013-03-13 23:39:50
田中ピカチュウ @sovozisan

戦車の機動を止めるには強力な対戦車砲群が必要ですが、相手がそれを用意した時点で戦車は打つ手が無いのです。ではその対戦車砲は誰が処理するのかと言えば、砲兵なのです。 #火力主義講座

2013-03-13 23:41:04
田中ピカチュウ @sovozisan

火力集中によって敵戦車を受け止めて撃破することができたら、その次は友軍の機動突破作戦が始まります。今度は敵の対戦車砲、野砲を対砲兵戦で撃ち破ることが砲兵の仕事になります。これは1918年の戦いを経験した軍隊にとっては当たり前の話でした #火力主義講座

2013-03-13 23:42:42
田中ピカチュウ @sovozisan

ただ、戦後の軍縮による機材の不足と世界大戦の悲惨な記憶から火力戦の再現を諦め、あるいは怖れた結果、一度発見された陸戦の原則が忘れられていたに過ぎません。 #火力主義講座

2013-03-13 23:43:55
田中ピカチュウ @sovozisan

ここで「失われた原則を取り戻したイギリス軍がそれに気づかないドイツ軍の機動戦を撃ち破った」と言い切ることができると面白いのですが、一方が獲得した新しい認識は、もう一方も、多少の遅れはあろうとも気がついてしまうのが現実です。 #火力主義講座

2013-03-13 23:45:14
田中ピカチュウ @sovozisan

ドイツ軍がどのあたりで自らの機動戦部隊の火力不足を認識し始めたのかを探ると、それは1942年初めから半ばにかけてのようです。それまで細々と限定的に発注されていた自走砲の開発命令が次々に発せられるのがこの時期だからです #火力主義講座

2013-03-13 23:46:34
田中ピカチュウ @sovozisan

イギリス軍が2年かけて火力戦に復帰したように、ドイツ軍もまた火力戦に復帰しようとするのですが、結局のところ、後手に回ったドイツ軍は二度と優位に立てません。 #火力主義講座

2013-03-13 23:48:08
田中ピカチュウ @sovozisan

それまで代用砲兵として利用されていた空軍も連合軍に押され、ドイツ軍の機動戦を支える火力は、陸空どちらにしても不足し始めて、終戦までまともな機動突破作戦を実施できなくなります。 #火力主義講座

2013-03-13 23:49:09
田中ピカチュウ @sovozisan

エルアラメインは両軍ともに火力戦への転換を強く意識しながら、それが間に合わないドイツ軍の焦りと、ようやく準備を整えてその成果を確認しようとするイギリス軍とのコントラストが際立つ戦場となります。 #火力主義講座

2013-03-13 23:50:02
田中ピカチュウ @sovozisan

この戦いでドイツ側の敗因として、地形が悪かったとよく言われます。機動部隊の迂回出来ない地形がアフリカ軍団の機動作戦を妨げたというもので「戦車の運用に適さない地形に防衛線を敷かれたので突破出来なくても仕方ない」といった評価です #火力主義講座

2013-03-13 23:51:39
田中ピカチュウ @sovozisan

これはまあ別に間違いという訳ではありませんが、そもそも戦車というものはこうした陣地線を突破するために第一次世界大戦時に生まれた兵器なのですから「少しばかり」強力な歩兵陣地があった位で停止しては話になりません #火力主義講座

2013-03-13 23:52:56
田中ピカチュウ @sovozisan

そもそも陣地線を突破できない戦車など何のためにあるのでしょう。戦車はいつからそんな「役立たず」に成り果てたのでしょうか。 #火力主義講座

2013-03-13 23:53:48
田中ピカチュウ @sovozisan

アフリカ軍団の精鋭部隊がエルアラメインを突破できなかった最大の理由は言うまでもなく火力の欠落です。補給線が伸びきったとか、ロンメルが兵站を無視したとか、色々な言い訳がなされますが、どんなに補給が順調でも火力に劣れば陣地線は突破できないのです #火力主義講座

2013-03-13 23:56:12
田中ピカチュウ @sovozisan

アフリカ軍団の戦車は野戦重砲の間接射撃で進撃を阻まれ、果敢に前進してくる対戦車砲に撃破されてしまいます。そして機動戦専門部隊であるアフリカ軍団にはそれを防ぐ手立てがありません #火力主義講座

2013-03-13 23:57:29
田中ピカチュウ @sovozisan

ドイツ軍は第一次世界大戦でも砲兵火力でほぼ4対1の劣勢にありましたが、エルアラメインの戦場ではほぼ10対1にまでその差が広がっています。 #火力主義講座

2013-03-13 23:58:18
田中ピカチュウ @sovozisan

もちろんロンメルもアフリカ軍団も愚かではありませんから、あらん限りの砲兵火力をエルアラメインに集中します。その数は約250門。北アフリカ戦の前半であれば見事な「火力集中」です #火力主義講座

2013-03-13 23:59:31
田中ピカチュウ @sovozisan

砂漠の陣地線など、これだけの火力集中が実現すれば突破できるはずですし、消耗し疲れ果ててはいてもアフリカのドイツ空軍はまだまだ健在です。「突破できる」という予想は当時のドイツ軍の視点からは十分に現実的です #火力主義講座

2013-03-14 00:00:19
田中ピカチュウ @sovozisan

野砲、対戦車砲ともに火力の集中が実現しているのですから、その支援さえあれば、たとえ秋を迎えて旗色が悪くなってからでも、ドイツ軍の対戦車砲陣地と戦車部隊による機動防御でイギリス軍を「後手から撃つ」ことさえ夢ではないのです。 #火力主義講座

2013-03-14 00:01:48
田中ピカチュウ @sovozisan

ところが10月23日に開始されたイギリス軍の反撃作戦はドイツ軍の予想を遥かに上回る規模の火力に支えられていました。2000門を超える野砲と野戦重砲は150万発の砲弾をドイツ軍陣地に撃ち込みます #火力主義講座

2013-03-14 00:02:40
田中ピカチュウ @sovozisan

第一次世界大戦以来の猛砲撃が行われた訳ですが、第一次世界大戦と異なるのは、砲撃の精度が極めて高くなっていたことです #火力主義講座

2013-03-14 00:03:30
田中ピカチュウ @sovozisan

航空優勢を手に入れたイギリス軍の綿密な写真偵察とドイツ軍野砲の音響測定、閃光測定の結果、ドイツ軍の砲兵陣地は正確に照準され、自在に行われる航空砲兵観測と無線ネットワークの充実によって柔軟性を増した砲兵戦指揮統制システムの下、砲撃がどんどん行われていきます。 #火力主義講座

2013-03-14 00:04:28
田中ピカチュウ @sovozisan

エルアラメインはイギリス軍にとってまさに第一次世界大戦の再現といえる大規模砲兵戦が展開された戦いです。歩兵陣地制圧を目的とした準備砲撃は1000門の25ポンド砲と中口径砲で12日間にわたって実施され、その後に対砲兵戦が繰り広げられます #火力主義講座

2013-03-14 00:05:29
田中ピカチュウ @sovozisan

こうした砲撃は単純に敵陣の徹底的破壊をテーマとした1917年型の砲兵戦ではなく、大規模砲兵戦が熟し切った1918年型の「敵の無力化」をめざした精緻なものだったことが重要です #火力主義講座

2013-03-14 00:06:33