國分功一郎@lethal_notionさんによる「疲労」「鬱」についての考察

疲労と鬱と“脳が焼き切れる”感覚に対する一考察
2
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

今朝配信のプラネッツメルマガ、人生相談の連載をお休みしてしまい、すみませんでした。しかし、頭の回路が焼き切れたというか、そんな感じです。今朝医者に行ったらフツーの風邪でした。人類の味方、抗生物質をもらいましたので大丈夫だと思います。

2013-03-15 10:29:42
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

英語にわざわざ「回復期」を意味するconvalescentという単語があることが昔から不思議だった。そんなに特別なことなのかなぁ、わざわざ一つ単語を作るほどのものなのかなぁ、と思っていたが、どうやら「回復期」というのは人間の生において特別なものではないかという気がしてきた。

2013-03-15 10:32:42
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

病気の人と健康な人がいるのではなくて、持続する回復の過程と持続する病の悪化の過程が存在していて、交差しているのではないか。

2013-03-15 10:33:42
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

さてそのピアリンクで話題になったのが、鬱を発症した人たちは「疲れがよく分からなかった」ということ。そして実は俺もそう。数年前まで、疲れるということがよく分からなかった。疲れていても「身体が疲れているだけだから、気合いを入れればなんとでもなる」という考えでやってた。

2013-03-15 10:35:12
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

で、一昨日からの疲労と心神耗弱的状態で分かったのは、俺は確かに疲労というものを理解していなかったが、しかし、身体の方で勝手に風邪を引いたりして、全身を休めてくれていたということだ。俺はだいたい一年に一度は大きな風邪をひいて寝込んでいたが、あれは身体が判断してそうしていたのだろう。

2013-03-15 10:37:05
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

実際、『風邪の効用』という本がある。風邪をちょくちょくひくひとは、大病をしないという話。さもありなんと思う。風邪をひくと身体を休めることができる。

2013-03-15 10:37:45
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

昨日、「もしこの心身の状態で、"他の人に迷惑がかかるから"などといった理由で仕事しなければならないとしたら、完全に俺はぶっ壊れる」と思った。そしてそうしたことが実際に起こっているのだろうと想像できた。

2013-03-15 10:38:45
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

しかし肉体の疲れはそれなりに理解できるが、頭脳の疲れとは何だろうか? 一昨日からは完全に頭が疲れていた。本当に複数のことを同時にずっと考えている状態、しかも相当に真剣に考えないとマズイ複数の案件を考えている状態だったが、その結果として頭が疲れた。ベルトで締め付けられている感覚。

2013-03-15 10:40:15
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

脳の仕組みはよく分からないのだが、「脳の回路が焼き切れる」というのは比喩ではなく、ホントにそうしたことが起こっているのではないかと思った。鬱というのは実は心の病ではなくて、身体の病ではないか?オーバーロードに陥った脳が物質的に破損しているのではないか?

2013-03-15 10:42:29
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

産業革命後は心神耗弱が増えたという。過度な労働が人の心身を極限的に疲労させた。グローバル化では鬱が増えている。極度のフレキシビリティーを求められた人が、これもまた極度の疲労を強いられた結果ではないだろうか。もちろんそれだけではないだろうが。

2013-03-15 10:44:26
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

フロイトは神経症のメカニズムを心のメカニズムとして明らかにした。しかし、最近読んだ、とある論文によると、どうやら鬱はそれとは別の水準で起こっているようである(フロイトが扱ったのは精神病としての「鬱」だけとのこと)。

2013-03-15 10:47:47
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

とにかく疲れている時には自分で「俺は疲れているぞ」と理解できるようになることが大切だ。そして疲れている人を見たら「おい、お前疲れてるぞ、休め」と声をかけるようにしよう。

2013-03-15 10:50:31
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

この前のピアリンクで「残業が月に200時間だった」という話が出て、俺は恐れおののいたのだが、しかし、自分の仕事を残業とかに換算するとどうなるのかなと思った。何時間労働という時間は決まっていないが、しかし、四六時中「次はこれをやらないと」と思って生活しているわけで…。

2013-03-15 10:52:45
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

ものを考えすぎて脳が焼き切れるというのは本当に実感がある。なんか「ものを考えすぎて…」なんてというとちょっとカッコいいイメージがあるが、そういうことじゃなくて、単にタスクの数が多すぎて休む暇がないだけ。

2013-03-15 10:54:38
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

たとえば一個の論文に集中して強力に難しい問題に集中しているときには、こういう「考えすぎて脳の神経が焼き切れる」感覚はない。これは全然違う。

2013-03-15 10:55:08
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

要するに問題は『暇と退屈の倫理学』で取り上げた「環世界間移動」ではないだろうか。「環世界間移動」は大量のエネルギーを必要とする。だから、人は「環世界間移動」が繰り返されることに耐えられない。考えるべきタスクの数が多いと「環世界間移動」の連続遂行を強いられる。だから脳が焼き切れる。

2013-03-15 10:56:45
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

多分、一つの環世界に留まってそこで深まっていくことは人の脳にそれほど損傷を与えない。脳の中の同じ回路が広がり、強まっていくだけだから。しかし環世界を移動すると新しい別の回路を作らなければならない。それが連続して起こると多分、脳の回路が焼き切れる。

2013-03-15 10:58:22
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

久しぶりの連投、失礼しました。再び床につきます…。

2013-03-15 11:16:14